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garakutax
「ここだけの話だよ」【せりふ三題噺】
はらとけいさんの企画に参加します。
今週のお題は下記の通りです。
■セリフ
「ここだけの話だよ」
■三題
・サンダル
・日焼け止め
・藤棚
「そなたの肥しが必要なんじゃ」
近くのお寺の境内を歩いていたら、時代劇に出てくるような薄汚い着物を着た老人が話しかけてきた。気持ち悪いので足早にその場を去ろうとした。
「待ちなされ。金持ちになりたくはないか?」
4月に入社したものの、自分の理想とはかけ離れていて、一週間で会社を辞めていた。
「ここだけの話だよ」
どうせ暇なので老人の話に付き合うことにした。
「この藤棚を守るのじゃ」
「どうやって、ですか?」
「そなたの肥しが必要なんじゃ」
「肥しって、糞尿のことですか?」
「そうじゃ。そなたの栄養が必要なんじゃ」
「どうして、金持ちになれるんですか?」
「この藤は記憶を呼び起こす力があるのじゃ」
「記憶を?」
「よいな、藤を枯らすな。肥しを絶やすな」
「はあ…」
…
高級リゾートビーチで全身に日焼け止めクリームを塗りたくり、サンダルを脱ぎ捨て、ビーチチェアに寝そべっている男がいた。
男が育てていた藤から抽出された液体に、認知症を完治させる成分が含まれていて、製薬権を手にした男は大金持ちになっていたのだ。
「そなたの肥しが必要なんじゃ」
「ん?誰かいるの?」
「そなたの肥しが必要なんじゃ」
「ああ、あのときの。おかげで金持ちになったよ」
「そなたの肥しが必要なんじゃ」
「わかった、わかった。いくら欲しいんだ」
「金などいらぬ。なんじゃ、その体に塗っている薬は?」
「ああ、日焼け止めだよ。太陽から身を守っているんだ」
「なんと。そなたが作る肥しには、お天道様の力が必要なのに…」
「もう、帰ってくれ」
「もう、おしまいじゃ。そなたの最後の養分を頂く」
男の足元から藤のツルが伸びてきて、全身を包み込んだ。
(おわり)
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