金魚玉_10🥁_【でこぼこ】【シロクマ文芸部】
「金魚玉だ」
「ん?金魚玉?」
「ほら、ここ」
「金魚鉢のこと?」
佳雄は凌太のスマホ画面を指差していた。そこには金魚玉のキーホルダーががぶらさがっていた。
「そうとも言うな」
「いや、そっちじゃなくて。こっち」
凌太は『でこぼこ兄弟』のキーホルダーを指差して、以前、健人が同じものを購入していたことを佳雄に伝えた。その画像は佳雄の母親のいかがわしい画像を拡散した投稿者が過去に投稿したものだった。つまり、投稿者は健人である可能性が非常に高い。
これは間違いなく犯罪だ。健人に投稿者であることを認めさせ、警察に突き出してやると息巻いた。凌太の興奮を抑えるように佳雄はつぶやいた。
「これは俺の問題だ。あとは俺がやる」
なんでも自分一人で解決しようとする佳雄に対して、凌太は少し引っ掛かりをもっていた…
…
佳雄は健人に相談があると言って、学校の屋上へ呼び出してた。佳雄と凌太は屋上で健人が来るのを待っていた。
「凌太、投稿者を特定してくれてありがとな」
「健人の野郎で間違いないよ。絶対に許せない」
「これまで辛かったぜ。ネットの怖さを身をもって体験したよ」
「一旦拡散すると止められないからね」
「これで決着をつけられるよ」
「ねえ、そっちに行ったら危ないよ」
屋上の柵には扉があり、壊れていて簡単に開いてしまう状態になっていた。
「なんで、こんなところに扉があるんだ」
「雨どいに溜まった土とかを清掃するために出入りできるようになっているじゃないかな」
「ここに健人を連れてきて、後ろから押してみようか」
「押すなよ、押すなよ、って」
「ダチョウ俱楽部かよ」
「ほら、そんなに近づいたら危ないよ」
佳雄は凌太の心配をよそに扉の方に近づいていった。昔から佳雄は凌太の注意に聞く耳をもたないでいた。
「平気だよ。ほんとだ簡単に開いた。このまま放っておいていいのかよ…」
『ギュイン、ギュイン、ギュイン』
突然、携帯が震えて不快な音が鳴った。緊急地震速報だった。地震が苦手な凌太は目をつぶって座り込んで身構えたが、地震は来なかった。
ショートストーリー?をつなげて連載中です。毎週金曜日頃投稿予定です。目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。
小牧幸助さんの企画に参加しています。
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