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哀愁の燻製【毎週ショートショートnote】

学生時代の友人から夏山登山に誘われた。せっかくなので前日に山の麓でキャンプすることになった。

学生時代からよく一緒にキャンプへ行っていた仲間だ。結婚してからは回数は減ってしまったが、日帰りバーベキューには家族連れで何度か参加していた。

「明日の安全な登頂を祈念して、かんぱ~い」
「かんぱ~い」

食材は各々が用意する。格安店で調達した肉をベースに、地元で有名なソーセージやスペアリブ、魚介類などをどんどん焼いては胃袋に収める。

「そろそろ、いい頃かな」
「おっ、例のアレか!」

予め仕込んでおいた燻製をテーブルに並べる。

「今日はサーモン、ベーコン、卵、それからチーズを燻製にしてみた」
「燻製チーズ!やったー、久しぶり!」

「一番人気だからね」
「娘さんがえらく気に入ってたやつだな」

「そうだったな」
「よく『娘から尊敬の眼差しじゃなくて、恋する乙女の目で見られてた』って言ってたもんな」

「ああ、そんな時代もあったなあ…」
「哀愁が漂ってるぞ」

(410文字)



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