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火星馬券【毎週ショートショートnote】

『蘇生試験』のつづき


拓海が開発した『冬眠特異的タンパク質』により、コールドスリープで人が冬眠できるようになっていた。

膵臓の病気で余命わずかである幼馴染の咲良はコールドスリープ装置の中で眠っている。治療方法が見つかるその日まで。

コールドスリープの開発は、人口爆発という新たな問題を生み出していた。冬眠する人々が増え、更に医療の発展も相まって、人類の平均寿命は100歳を超えていた。

解決策として、火星への移住計画が推進されていた。この火星移住においても、コールドスリープは不可欠な技術となっていた。地球から火星への移動は2年以上もかかり、移動中はコールドスリープが利用された。

宇宙船はペガサスの形状をしており、『木馬』と呼ばれていた。拓海は火星行のチケット、通称『火星馬券』を2枚購入していた。

「私をコールドスリープして、咲良と一緒に火星へ運んで欲しい。そして、膵臓の治療方法が確立されたら、一緒に蘇生して欲しい」

「ここはどこ?」
「火星だよ」

(410文字)



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