ドイツ一人旅_チュース!_08_15【海外旅行】
1999年冬 8日目 ミュンヘン
4人揃っての記念撮影が終わるといよいよお別れだ。
彼らは遠路はるばる5時間かけてカイザースラウテルンまで車で帰るのだ。アルミンとミカサは明日大学の授業があるので、会社で午前の半日休暇をとっていた大男のエレンが運転して帰るとのことだった。
別れ際、ミカサが僕の方に近づくとマフラーを僕の首に巻いてくれた。
「プレゼント!」
それはカイザースラウテルンが昨年優勝したときに記念して作られたマイスターシャーレが描かれたマフラーだった。マイスターシャーレとはリーグ優勝したチームがもらえる優勝皿のことだ。
「本当にもらっていいの?」
「ヤー!(いいよ)」
僕は少しでも気を緩めると涙がポロポロと零れ落ちそうになるくらい嬉しかった。
「ダンケ シェーン !(ほんとうにありがとう!)」
ああ、もどかしい。この嬉しい気持ちを、幸せな気持ちを、感謝する気持ちを言葉で伝えたい。でも「ダンケ シェーン」を繰り返すことしかできない。ああ、もどかしい!
僕も何かプレゼントがしたい。そうして思いついたのが日本の硬貨だった。財布に入っていた100円玉を3枚取り出すと3人に渡した。
すると今度はアルミンが1マルク硬貨を取り出すと「プレゼント」と渡してくれた。僕は何度言ったかしれない「ダンケ シェーン」をまた繰り返した。ああ、もどかしい!
「チュース!(じゃあね!)」
「 Have a nice trip !」
僕は右手を上げてバイバイと手を振ると、彼らは何度も振り返りバイバイと手を振ってくれた。そして駐車場へと去っていった。僕は踵を返して駅へと向かった。
『ぐぅ~~』
お腹が鳴った。そういえばお金を使い果たして夕飯を食べそびれてしまった。それでもアルミン達と出会うことができて僕の心は満たされていた。
次の話 (表示されない場合は次回更新までお待ちください)

これまでの話
0日目 きっかけと準備(日本)
1日目 初めての海外(フランクフルト)
2日目 初めての散策(カッセル)
3日目 初めてのビール(ケルン)
4日目 初めてのサッカー(ドルトムント)
5日目 長い長い一日(ベルリン)
6日目 ドナウの旅人(パッサウ)
7日目 ドナウの風景(レーゲンスブルク)
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