紅葉色_04【シロクマ文芸部】【オートリバース】
「紅葉色に染めてやるよ」
休み時間、クラスでいじられキャラの白石を、奴らが取り囲んでいた。奴らのうちの一人が黒板消しを持ってきて、座席に座っている白石の頭の上でパンパンと叩いていた。
白石がよくいじられるのは、すぐに過剰な反応をしてしまうからだ。その様子を見て、奴らはゲラゲラと笑う。反応すればするほど、どんどんエスカレートしていくことを白石はわかっているようで、今日はぐっと唇を噛み締めて、耐えていた。
白石を哀れむ気持ちもあるが、いじめの標的が僕以外に向かっていることに、正直ほっとしていた。そんな自分の心に嫌気が差し、席を立って、なるべく白石から遠ざかろうと窓際に移動して、外の景色を眺めるふりをした。
しかし、これが失敗だった。
誰かが近づいてくる気配を感じ、肩を叩かれた。振り向くと、黒板消しが目の前に差し出されていた。黒板消しを持った奴と目が合うと、奴は何も言わずにアゴで白石を指した。
ーお前もやれ、ということだろう。
奴らは汚い。
決して言葉で指示することはしない。あとで言い逃れするためだ。「オレはやれなんて言っていない」と。このまま無視を続ければ、いじめの標的が僕に向いてしまうのは目に見えている。観念して黒板消しを受け取った。
僕は白石の後ろに立つと、頭の上で黒板消しを軽く、一度だけ叩いた。
「やめてくださいっ!」
「えっ?」
白石が席から勢いよく立ち上がると、振り向いて僕を睨みつけていた。
「なんでこんなことをするんですかっ!」
「えっ?いや、その…」
「おい、何してるんだ」
担任の先生が教室に入ってきた。
「白石、どうした?」
「黒田くんにいじめられました」
「おい、黒田。何をしてるんだ!」
「えっ?いや、その…」
「職員室まで来いっ!」
先生のあとを追うように、とぼとぼと職員室について行った。
「おい、黒田。いじめられているお前が、いじめてどうする?」
「えっ?いや、その…」
そのあとの先生の言葉は覚えていない。先生はたしかに「いじめられているお前が」と言った。つまり、先生は僕がいじめられていることを知っているのだ。それなのに、僕のことは守ってくれない…
You 貴方らしくもないわ
しくじったくらいで
立ち上がらずに座ったまま無視をしていればよかったんだ。変に動いたから巻き込まれたんだ。しくじった…
このまま我慢さえし続けていれば、同じように繰り返される日々から抜け出せる日が、いつかくるのだろうか?
ショートストーリーをつなげて連載中です。毎週金曜日頃投稿予定です。目次に各話のリンクを貼っていますので振り返りにどうぞ。
小牧幸助さんの企画に参加しています。
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