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七夕の歩幅【毎週ショートショートnote】
七夕の今日、東京は久しぶりにからりと晴れ、織姫と彦星の逢瀬を祝福するような青空が広がっていた。けれど、初夏の眩しい陽射しをどこか恨めしく思いながら、僕は都心の日本庭園を歩いていた。
東屋の腰掛けに座ると、高校時代の七夕の日のことを思い出していた。
…
憂鬱になると決まって学校をサボり、この日本庭園を歩いていた。ポツリと落ちてきた雨粒は次第に大きくなり、土砂降りとなった。近くにあった東屋に駆け込むと、先客がいた。スーツを着た三十歳前後に見える女性だった。
しばらく気まずい沈黙が流れていたが、やがて彼女は独り言のように話し始めた。職場でハラスメントを受けていること、眠れなくなってしまったこと、今日会社を辞めてきたこと。僕は黙って聞いていた。
雨はいつしか小降りになっていたが、止む気配はなかった。彼女は立ち上がると傘も差さずに駅の方へと歩き出した。僕は折り畳み傘を広げると彼女の隣に並んだ。歩幅の短い彼女の歩く速度に合わせて。
(410文字)
元ネタはこちらの『言の葉の庭』です。
梅雨の時期に見たくなる映画です。
田原にかさんの企画に参加しています。
毎週ありがとうございます。
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#ショートストーリー
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