「初恋のゆくえは二度目のキスから」──幼なじみだから言えない。ライバルだから認められない。こじらせた初恋が動き出す青春BL
幼なじみ同士の恋愛には独特の魅力があります。
距離が近すぎる。
相手を知りすぎている。
だからこそ素直になれない。
本作「初恋のゆくえは二度目のキスから」は、そんな幼なじみBLの魅力をこれでもかと詰め込んだ作品です。
主人公は大学弓道部のエースとして活躍する蓮と晴馬。
幼い頃からずっと一緒に育ってきた二人は、親友でありライバルでもあります。
しかしその関係は決して素直ではありません。
顔を合わせれば口喧嘩。
本音とは逆のことばかり言ってしまう。
それなのに誰よりも相手を気にしている。
そんな二人の関係が、一度のキスをきっかけに大きく動き始めます。
■ 蓮と晴馬の関係性がとにかく絶妙
本作最大の魅力は間違いなくここです。
蓮と晴馬は幼なじみ。
しかも大学弓道部では不動のエースとして並び立つ存在です。
お互いの実力を認めている。
誰よりも信頼している。
しかし同時に意識しすぎてもいる。
だから素直になれない。
好きだと言えない。
構ってほしいのに突き放す。
その不器用さがとにかく可愛いのです。
読んでいると、
「もう付き合えばいいのに」
と何度も思います。
けれど本人たちは真剣。
だからこそ、もどかしさがたまりません。
■ 晴馬が想像以上に愛されている
序盤を読むと、晴馬はかなり自由です。
思ったことを口にする。
感情が顔に出る。
良くも悪くも真っ直ぐ。
一方の蓮は感情を内側へ抱え込むタイプです。
だから読者はすぐ気付きます。
蓮がどれほど晴馬を特別視しているのかに。
晴馬本人はなかなか気付きません。
しかし読者には丸分かり。
その温度差が本当に面白い。
蓮の独占欲や嫉妬が少しずつ見えてくるたびに、物語の甘さが増していきます。
■ 蓮の兄・仁の存在が物語を動かす
本作の重要人物が蓮の兄である仁です。
晴馬にとって憧れの存在。
そして蓮にとってはコンプレックスの対象でもあります。
仁が弓道部のコーチとして戻ってきたことで、蓮の感情は大きく揺れ始めます。
晴馬が仁を見ている。
楽しそうに話している。
それが面白くない。
本人も理由をうまく説明できない。
けれど読者には分かります。
それは嫉妬です。
恋愛感情が無意識に表面化し始めているのです。
この流れが非常に自然で説得力があります。
■ 「酔った勢いのキス」が最高のスタート地点
恋愛作品ではキスがゴールになることもあります。
しかし本作では違います。
むしろ始まりです。
蓮は酔った勢いで晴馬にキスをしてしまう。
問題はその後。
晴馬が聞くのです。
「あの時のキスってどういう意味?」
この一言が強い。
蓮は答えられない。
好きだから。
関係を壊したくないから。
だから逃げる。
ここから始まる両片想いの空気がたまりません。
■ 弓道部という舞台が作品に合っている
本作は大学生BLですが、弓道部という舞台設定も非常に良いです。
弓道は派手なスポーツではありません。
集中力。
精神力。
礼節。
そうした部分が重視されます。
だからこそ蓮と晴馬の感情も映える。
静かな競争心。
ライバル意識。
相手への信頼。
それらが恋愛感情と自然に重なっていくのです。
スポーツBLとしても読み応えがあります。
■ ケンカップル好きにはたまらない
公式でも「幼なじみケンカップル」と紹介されていますが、その表現が本当にぴったりです。
仲が悪いわけではない。
むしろ仲が良すぎる。
だからこそ遠慮がない。
だからこそ喧嘩になる。
そして気付けば相手のことばかり考えている。
この距離感が絶妙です。
ケンカップルが好きな読者ならかなり刺さると思います。
■ 蓮のクーデレぶりが破壊力抜群
蓮は一見するとクールです。
落ち着いている。
感情を出さない。
しかし晴馬のことになると話が変わります。
嫉妬する。
焦る。
独占したくなる。
そのギャップが非常に良い。
普段との落差があるからこそ破壊力があります。
読者レビューでも蓮の感情が見え始める場面を評価する声が多いのも納得です。
■ 青春の眩しさが詰まっている
本作はBLですが、同時に青春漫画でもあります。
大学生活。
部活動。
将来への不安。
友人との時間。
その中に恋愛がある。
だから空気感が爽やかです。
重すぎない。
けれど軽すぎない。
読みやすいのに感情はしっかり動く。
そのバランスが非常に上手い作品だと思います。
■ 幼なじみだからこそ難しい恋
「初恋のゆくえは二度目のキスから」は、大学弓道部のエースである蓮と晴馬が織りなす青春BLです。
しかし本当に魅力的なのはキスそのものではありません。
長年積み重ねてきた関係。
ライバルとしての意地。
幼なじみだからこその遠慮。
そして初恋を認める怖さ。
それらが丁寧に描かれています。
蓮、晴馬、そして仁。
三人の関係が動くたびに感情も揺れる。
だから続きが気になるのです。
読み始めた頃はケンカばかりしている二人に笑っていたはずなのに、気付けば
「早く素直になれ」
と応援してしまっている。
そんなもどかしさと胸きゅんが詰まった、王道でありながら完成度の高い幼なじみBLでした。
