『口に関するアンケート』|Jホラーとしては及第点。でも、それだけだった。
『口に関するアンケート』|Jホラーとしては及第点。でも、それだけだった。
※ネタバレは極力避けています。
Jホラーとしての完成度は高い
『口に関するアンケート』を観ました。
率直な感想は、「Jホラーとしては及第点」です。
派手な驚かせ方ではなく、不穏な空気や違和感を少しずつ積み重ねていく演出はとても上手いと感じました。
途中に仕込まれた叙述トリックもきれいに機能していて、最後まで緊張感を切らさずに観ることができます。
ホラー映画としての完成度は十分に高い作品でした。
タイトルが意味するもの
タイトルの『口に関するアンケート』には、何か象徴的な意味があるのだろうと考えながら観ていました。
まず思い浮かんだのは、「口は災いの元」ということわざです。
劇中では、口にしたこと、聞いてしまったこと、誰かへ伝えてしまったことが、次の出来事へとつながっていきます。
「口」が災いを生み、広げていく。
そんな構造が物語の土台になっているように感じました。
「好奇心は人を殺す」の物語
一方で、私にはもう一つ強く感じたテーマがありました。
それは、「好奇心は人を殺す」ということです。
知らなければ平穏に過ごせたかもしれない。
それでも人は知ろうとする。
見なくてもいいものを見てしまう。
危険だと分かっていても確かめようとしてしまう。
この作品は、怪異そのものよりも、人間のそうした性質を描いているようにも思えました。
この映画が本当に伝播させたかったもの
観終わってから一番印象に残ったのは、この映画は呪いが伝播する映画ではなく、映画そのものを伝播させるために作られた作品なのではないか、ということです。
劇中では呪いが人から人へと広がっていきます。
一方で現実では、観客が「あれってどういう意味だった?」「結局どういうこと?」と誰かに話したくなる。
その口コミや考察が、新しい観客を呼び込む。
劇中の「伝播」と、現実世界で映画が広がっていく「伝播」が重なる構造になっているように感じました。
最近の映画らしい構造
最近は、こうしたメタ的な構成の映画をよく見かけます。
物語をスクリーンの中だけで完結させるのではなく、映画館を出たあと、観客が誰かに話したくなることまで作品の一部として設計しているような作品です。
『口に関するアンケート』も、その流れにある一本なのだと思います。
だからこそ、「伝播」というアイデア自体は面白かったです。
でも、それだけだった
ただ、その構造に気づいた瞬間が、この映画のピークでもありました。
「なるほど、そういうことか」と思った一方で、その先にあるテーマやメッセージまでは、私には響きませんでした。
ホラーとしては十分楽しめる。
叙述トリックもよくできている。
でも、観終わったあと何日も考え続けてしまうような一本ではなかった。
Jホラーとしては及第点。
