いまの大阪松竹座にて最後の松竹新喜劇
笑えました。
笑ったと思ったら泣かされ、泣かされたとおもったら笑わされ。
【秋だ!笑いだ!松竹新喜劇 九月公演】を観てきました。
『愚兄・愚弟』と『駕籠や捕物帳』の2本立て、演歌スターの辰巳ゆうとさんがゲスト出演です。
『秋だ!笑いだ!松竹新喜劇 九月公演』
大阪松竹座 さよなら公演
2026年5月の公演をもって、大阪松竹座および大阪松竹座ビルが閉館します。
それなりに改装工事もしていたはずのところでの閉館、さらに「今後は未定、劇場が入るかどうも含めて未定。」とのアナウンスは衝撃でした。
道頓堀五座、と呼ばれたのも遠い昔。映画館すらなくなった道頓堀で、大きな劇場を維持するのは難しいのか。
街並み、人も景色も変わった。
来年以降、どこで歌舞伎を観ればいいのか……
吉本が道頓堀に劇場をオープンしたらしいけど、歌舞伎は出来へんしなぁ。
『愚兄・愚弟』
同じ町内でそれぞれ魚屋を営む兄と弟ですが、仲の悪さは町内に知れ渡るほど。
兄の家に居候する義妹(妻の妹)の縁談を聞きつけた弟は、自分の家に居候する実妹(不仲兄弟の実妹)を先に嫁がせようと画策。
弟が狙いをつけた男性は、実は兄の義妹の婚約者で……
『駕籠や 捕物帳』
女好きで浮気者のお殿さまが、お忍びで町にやってきた。茶店の娘に目を奪われるも、出入りする駕籠かき二人組みとなぜか意気投合。
ところがそのお殿さま、偶然にもお尋ね者の大泥棒と瓜二つ、目印の手首の傷までそっくりで……
おまけ『辰巳ゆうとショー』
若殿様の出で立ちで、2曲歌ってくれました。ペンライトを振る熱心なファンもお出ででした。
リピーター割引があるから、演歌スターをゲストに呼ぶのはいいアイディアだと思う。
弥三郎の感想
松竹新喜劇、オモロイ!!
【曽我廼家】の名跡を復活させてから何度か観てきたけど、本当に面白くなりました。
なにが違うのか分からないけど、素直に笑えるお芝居で楽しめました。
時代設定が昭和だったり時代劇だったり、テレビドラマとはちょっと違う世界観。
コテコテの大阪の人情芝居、筋書きだけじゃ面白さは伝わらない。ナマの舞台で見るからこその面白さです。
客席にいた子供さんの笑い声が、一層お芝居の笑いを盛り上げていました。
松竹新喜劇、オモロイです!!
観に行って良かった、次回も楽しみにしてます。
演目に込めた願いに
どちらの作品も、松竹新喜劇の古典とも言えるような作品です。だけど現代にも通ずるところがありありです。それも身近なところだけじゃなくて、あらゆる時代・世界に通ずる、普遍的なもの。
いがみ合うこと、かみ合わないこと、あるやん。
でもそんなんじゃ、寂しいやん、悲しいやん。
笑って泣いて、また笑って、またちょっと泣いて。
アホやなぁ、しゃーないなぁ、って許し合えるような世の中が良いやんなぁ。
そんな願いが強く込められています。
可笑しさは、可愛らしさ。
みんなどこか足りないところがあるわけで、それこそがヒトの可愛らしさですから。
とかく比較したり相手を叩いたりしてしまいがちな現代社会の空気ですが、笑いながら話しながら向き合えたら、ちょっと良いんじゃないかな。
歌謡ショーもイイね
ゲスト出演の正統派二枚目、辰巳ゆうとさんの歌謡コーナー。2曲聴かせてもらえました。
演歌・歌謡曲は好んで聞くことはなくても、ナマで聞くとやっぱりイイね。
こういう単独である程度のお客さんを呼べる人にゲスト出演してもらうのは良いアイディアです。今回の松竹新喜劇は、リピーター割引(半額)があります。
ゆうとさんの固定ファンならリピーターになってくれる確率はグッとあがるし、
半額なら親戚のおばちゃんに声かけてあげよう、連れてきてあげよう、なんてこともあるかも。
お芝居は券が売れないことには続けられない。たとえどんなに良い芝居をしてても、お金が続くかどうかは別の問題。
売り出し中の歌手なら新規ファンの獲得につながるし、華のある人が舞台に立つのは、新喜劇にとってもプラスになる。
三方良しですね。
あとがき
いまの大阪松竹座は来年の5月で閉館。時代の流れと言うたらそれまでやけど、自分(弥三郎)のホームグラウンドのような劇場がなくなってしまうのはツラい。
いまの松竹新喜劇は、本当に面白い。
曽我廼家一門の新メンバーが入って、藤山扇治郎さんと渋谷天笑さん、5人のしっかりした軸のようなものが定まってるように感じます。
よっぽどの努力があったに違いない。それだけに、松竹新喜劇のホームグラウンド、大阪松竹座がなくなってしまうことのやりきれなさよ。
座員たちが頑張ってるんやから、松竹は本気でこの先を考えてやってほしい。ちゃんと宣伝すればきっと届くと思うし、昭和のコテコテで救われる人は多いと思う。平成・令和の人には描きようのない世界観やと思うから、途絶えさせてしまったらアカンのです。
松竹新喜劇の筋書きは至ってシンプルと言うか、ありがちなものやと思う。
だからこそ、それでしっかり笑わせて泣かせてまとめるって、簡単なことじゃない。次の展開が分かってるのに笑わされるんやもん。
古典落語なんかでもそうでしょ?それって役者の技量でしょ。
頭をカラッポにして楽しめる庶民の娯楽、松竹新喜劇。
微力ながら応援していきたいと思います。
