ビジネス用多色ペンの王道、ラミー2000を3年使って思うこと
いきなりだが私は眼鏡屋だ。
新入社員だった頃、具体的なきっかけは少し曖昧なのだが、たぶん初めて10万円近い眼鏡を販売したときだったと思う。
お客様にサインをいただく場面で、自分が差し出したのは、どこにでもあるような安いボールペンだった。
もちろん、それが悪いわけではない。
それまでの私はフリクションのような便利な筆記具も好きだったし、筆記用具にそこまで強いこだわりがあったわけでもない。
ただ、そのときは少し恥ずかしさがあった。
安くても1万円前後、それこそ補聴器を含めると数十万円になることもある買い物をしていただくのに、お客様にサインを書いていただくペンがこれでいいのだろうか。
そんな考えが頭をよぎり、サイン用のボールペンを購入して以降、仕事中に使う筆記用具にはそれなりに気を使うようになった。
正直なところ、これは考えすぎなのかもしれない。
実際、私の周りで筆記具をそこまで気にしている人は多くない。この記事の中に出てくる先輩くらいかもしれない。
それでも、自分が接客の場で使う道具として、どうにも気になってしまった。
今では自分の収集癖も相まって、私の店舗の各接客カウンターには、それなりの数の私物ボールペンが収まっていたりする。
そんな私が、ここ3年ほど愛用しているのが、ラミー2000の多色ボールペンである。

3年ほど使っているので、今ではいい感じに艶が出ている。
先日、新品を見る機会があったのだが、新品はもっとマットブラックに近い質感だった。使い込むことで少しずつ表情が変わっていくのも、このペンの魅力のひとつだと思う。
この多色ペンの何が良いのか。
まずは、やはりデザインである。
ラミー2000は、1966年の発売当時に「西暦2000年になっても色褪せない、古びないデザイン」というコンセプトが掲げられたシリーズだ。
その目標だった2000年から、さらに26年が経った今でも、古さを感じさせない。むしろ、今見ても洗練されていると思わせるデザインをしている。
多色ペンとしての機能も面白い。
ラミー2000の多色ペンは、振り子式という仕組みになっている。使いたい色のカラーマークを上に向けてノックすると、その色の芯が出てくる。
そのため、一般的な多色ペンのように、色ごとのノック部分が本体の周りに出ていない。
これにより、ラミー2000シリーズらしいすっきりとしたデザインが、多色ペンでありながら維持されている。
インターネット上のレビューでは、「何色が出るかわかりにくい」と言われていることもある。
ただ、個人的にはそこまで困っていない。
クリップを上にすれば黒。
その逆を上にすれば赤。
実務上は、これだけ覚えておけばほとんど問題ない。使い始めて2週間ほど経った頃には、ほとんど見なくても色を切り替えられるようになっていた。
そして、個人的にかなり気に入っているのが、シャープペンが入っていないことだ。
少し良い多色ペンを買おうとすると、大抵はシャープペンが入ってくる。
もちろん、それが便利な人も多いと思う。
ただ、機構上、シャープペンが入っている多色ペンは、どうしてもシャープペンが主役のようなポジションになりやすい。
仕事でシャープペンをほとんど使わない私としては、使わないものが主役になっている感じが、どうにも気に入らない。
その点、ラミー2000の多色ペンは潔い。
ボールペンとして使うための道具、という印象が強く、そこが自分の仕事道具としてしっくりくる。
もちろん、欠点もある。
ひとつ目は、純正リフィルの書き味である。
「すごく掠れて使い物にならない」とまでは言わないが、優れた日本のボールペンに慣れていると、正直かなり厳しいものがある。
ただ、これはジェットストリームのリフィルがそのまま使えるので、個人的には大きな問題にはなっていない。
プライム用のリフィルしか入らないので少し高めではあるが、書き味を考えると十分に納得できる。
もうひとつの欠点は、人と被りやすいことだ。
私と同じような考えの人が多いのか、それとも圧倒的なネームバリューのためなのか、仕事の場で意外と見かける。
実際、このペンはもともと会社の先輩が使っていた。
その先輩と一緒に仕事をするようになったのは3年半ほど前なのだが、当時の私は「お揃いのボールペンというのは少し気になるな」と思って、自分ではなかなか購入できずにいた。
その後、その方からプレゼントとしていただいたことで、今では仕事道具としてすっかり定着している。
他にも、営業の方とちょいちょい被ることがある。
とはいえ、その欠点を差し引いても、ラミー2000の多色ペンはとてもよくできた仕事道具だと思う。
高い使い勝手があり、パッとお客様に渡したときにも、「なんだか良いボールペンを使っているな」という印象がある。
それでいて、豪華すぎて嫌味になるわけでもない。
ビジネスの場で使う筆記具として、そのバランスがとても良い。
私はこのボールペンを、当分使い続ける予定である。
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