ことばの宝箱⑧~宮部みゆきさんからの学び ミステリー3作品から 20選
NOTEに書く前から、本を読むことが好きで、気に入った言葉をノートに書きぬくことをよくしていました。
続けているうちに、テレビやラジオ番組、新聞、時に職場の同僚の一言、家族から の話・・・つまりは、身の回りにあふれる「言葉」にアンテナが立ってきて、なほどと思ったり、心に響くなと感じたりした言葉を集めるようになっていました。
気づいたら、ノートが20冊を超えていました。
これまでもNOTEの記事にまとめる時、今の自分の気持ちに似ていたり、伝えたい内容を一言で表しているなと思ったりした言葉をよく引用してきました。
今回は、そんな集めてきた中から、ミステリー作家である宮部みゆきさんの3作品から選んだ言葉です。宮部さんの作品は、特に作品に登場してくる人物の気持ち描写(動機)から、人間の本質や社会情勢をうかがい知れる言葉がかなりあります。
・他人事ではなく、自分も同じ状況に陥ったかもしれない。
・同じ状況なら、似たような気持ちにもなるか?
・さりげない行動の意味やその真意は?
などなど。ただの謎解きだけではなく、人間について、社会について考える手掛かりとなる言葉も多いです。
よかったら、お付き合いください。
1 「火車」
<あらすじ>
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意志で失踪、しかも徹底的に足取りを消して・・・なぜ、彰子はそこまでして、自分の存在を消さなければならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?_謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。
・その場では店のレジでは、カード1枚出して伝票にサインするだけで買うことができるならば足元が浮ついた気分になって、あれもこれもと思うのは人情だ。問題は、そこで歯止めをかけるものがないということだ。
・使い捨て社会のせいじゃないか。ぜいたくな使い捨て。
みんな生活が派手になってるし、その代わりにお金の使い方についての教育がされていない。
・努力して良くなるってことは、やっぱり才能があったのよ。ダメな人は、どれだけ好きでもダメだもん。
・人生行路で躓いているとき、同級生会うのは本当に嫌なものだ。
・鉄仮面みたいな完璧な美女になりさえすれば、100%人生バラ色、幸せになれると思い込んでいる。だけど、実際には整形したって、それだけで彼女が思っているような「幸せ」なんか訪れないわけですよ。
・怒りは人を雄弁にするものだ
・赤の他人に親しい人間に言えないような内内の話をしてしまうということはよくある。他人同士なので、かえって気楽だからだろう。
・交通事故において、ドライバーの責任論だけを云々して、おざなりな自動車行政や安全性よりも見てくれと経済性ばかりにこだわって、次から次へとニューモデルを出してくる自動車業界の体質に目を向けないことは間違っている。
・たしかに、一部には問題のあるドライバーがいます。免許をとり上げた方が社会の為だという人間だ。しかし、そういうドライバーと、なんの過失もないのに事故で命を落とした人を一緒にして「ただ事故にあったのは、本人が悪いから」と言い捨てることは間違っている。多重債務者についても同じだ。
2 「理由」
<あらすじ>
事件はなぜ起こったのか。殺されたのは「誰」で、いったい「誰」が殺人者であったのか・・・。東京荒川区の超高層マンションで凄惨な殺人事件が起きた。室何には中年男女と老女の惨殺死体。そして、ベランダから転落した若い男。ところが、4人の死者は、本来そこに住んでいるはずの家族ではなかった・・・。ドキュメンタリー的手法で現代社会ならではの悲劇を浮き彫りにする、直木賞受賞作。
・「オレは一般人では終わりたくない」という、ほとんど恐怖に近いまでの願望。
・人間追いつめられると判断がつかなくなる。
・対岸の火事の見物は誰にとっても面白いものだ。それは醜いことであるが、現実である。
・人を人として存在させているのは「過去」なのだ。この「過去」は経歴や生活歴なんて表層的なものじゃない。「血」の流れだ。あなたはどこで生まれ誰に育てられたのか。誰と一緒に育ったのか。それが過去であり、それが人間を二次元から三次元にする。そこで初めて「存在するのだ。それを切り捨てた人間は、ほとんど影と同じなのだ。本体は切り捨てられたものといっしょにどこかへ消え去る。
・人間には「見る」というシンプルな動作はできない。人間にできるのは「観察する」「見下す」「評価する」「にらむ」「見つめる」など、何かしら意味の有る目玉の動かし方だけで、ただ単に「見る」なんてことはできない。
・「マスコミ」という機能を通してしまうと、「本当のこと」は何ひとつ伝わらないということ。伝わるのは「本当らしく見えること」ばかりだ。そして、「本当らしく見えること」は、しばしば全くの「空」のなかから取り出される。
・自分の長所をアピールしあうのが恋愛なら、短所をさらし出し合うのが結婚だ。
3 「魔術はささやく」
<あらすじ>
それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び降りた。二人めは地下鉄に飛び込んだ。そして三人めはタクシーの前に、何人たりとも相互関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた・・・・。だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていくのだった。日本推理サスペンス大賞受賞作。
・平明で客観的な報道記事からは、ある事件・事故の関係者もしくは現場に居合わせた人たちの受けた衝撃のすべてをうかがい知ることはできない。読者はそこで何が起こったのかを知ることはできても、そこに何が起こったのかを知ることはできない。
・鍵というものは、他でもない、人の心を守るものなんだよ。
・じいちゃんが思うに、人間ってやつは二種類あってな。一つは、できることでも、そうしたくないと思ったらしない人間。もう一つは、できないことでも、したいと思ったらなんとしてでもやりとげてしまう人間。どっちがよくて、どっちが悪いとはきめられない。悪いのは、自分の意思でやったりやらなかったりしたことだ。言い訳を見つける事だ。」
・いつの世にも真の悪人というものが確かに存在するということだ。しかし、幸いなことに彼らは絶対数が少ない。彼らだけでできることなどたかが知れている。本当の問題は。その彼らについていく者たちなのだよ。
宮部みゆきさんの作品は、現代の社会情勢を反映させた内容や登場人物がいて、フィクションであると分かっていても、なぜか身近に感じる、思い当たる出来事がたくさん発見される話が多いです。そして、ひょっとしたら自分も同じような境遇や環境にいたら、登場人物たちと同じような行動をとったかもしれないという、気持ちにもさせられました。
何事にも表と裏があります。世の中では「売り込む」ために「光の部分」だけが強調されることが多々あります。その影の部分、落とし穴にも目を向けないと、現実社会でも、宮部さんの作品に出てくるような「落とし穴」「怪物」が生まれかねないと思わされました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます
皆様の心にのこる一言・学びがあれば幸いです
