『詩』 あやとり
避けられない痛みと削られる可能性
そんな変わらない中の、変えられるものとは…
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
あやとり
手が痛い
指が痛い
ずっと、何をしてても痛い
少しあたっただけで激痛がはしる
ピリピリする節
力の入らない指先
いろいろなものが抜け落ちていく
鍵盤で踊ってた指は悲鳴をあげ、弦を押さえていた指先はたどたどしくて頼りない
指のあいだからぬけおちる編み針と糸
他にもあった気がするが、気がつきたくない
少しの動作で鈍い痛みが広がる手首
箸での食事に伴う、耐えられない重み
好きなことができなくなってきた
やりたいことができなくなってきた
思いつくこと全てに必要な手
先の可能性が見えない
叫んでみたものの、世界は特に変わらない
変わらないいつもの風景
いつもの空
いつもの道
変われない私
坂の上から見る街の夕方は、変わらない「いつも」
道端に続く電柱が夕影に映える
そんな電柱の輪郭に痛む手を沿わせ、その先端に痺れる指先が添う
見つけた
絢爛たる夕焼けと手がつむぐ――あやとり
こわばる指から伸びる色糸のような電線
夜に向かう空気が、熱っぽい手を冷ます
絡まりそうで絡まない、この手と空がつくりあげた
私の世界が少し新しくなった
世界は特に変わらない
でも、私は少し変われたかも
∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴∴
ココロのすり傷
処方箋
深さ ➕〜➕➕➕
