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【世にも奇妙な物語風】第27話:読者のいないページ

そのページは、
確かに開いていた。

白くもない。
破れてもいない。

ただ、
読まれていなかった。


朝。

ノートを開く。

昨日の続きが、
書かれている。

文字はある。
行もある。

でも、
目で追っても、
内容が頭に入らない。

意味が、
立ち上がってこない。


学校。

授業中、
先生が教科書を読む。

ページをめくる音。

全員、
同じ箇所を見ている。

……はずなのに。

誰一人、
同じ話をしていない。

質問も、
感想も、
食い違っている。


休み時間。

俺は、
試しに
何も言わずに座ってみた。

存在感を、
限界まで下げる。

すると。

誰も、
俺に気づかない。

ぶつかりもしない。
避けもしない。

そこに、
空白があるみたいだ。


分かった。

俺は今、
「読まれていないページ」
になっている。


帰り道。

看板を見る。

文字は書いてある。

でも、
通行人は
誰も読まない。

視線は、
自然に逸れている。

存在しているのに、
処理されていない。


夜。

テレビをつける。

音は流れる。

映像もある。

でも、
内容を覚えられない。

エンディングが来ても、
何も残らない。


考える。

読者がいないと、
どうなる?

消えるわけじゃない。

破棄もされない。

ただ、
影響を持たない。


第23話で、
観測されない出来事が
なかったことになった。

第24話で、
作者がいないと
責任が消えた。

第25話で、
誰も続きを
決めていなかった。

第26話で、
矛盾が
放置された。

そして今。

読者がいない。


それは、
完全な空白だ。


ノートのページを
指でなぞる。

紙の感触はある。

でも、
意味がない。

読まれない以上、
それは
物語じゃない。


怖いのは。

誰も、
それを問題に
していないことだ。

読まれないページが
増えても。

誰も、
困らない。


俺は、
最後に
一行だけ書いた。

「ここにいる」

その文字も、
すぐに
背景に溶けた。


理解した。

物語は、
読まれて
初めて成立する。

書かれても。
続いても。

読まれなければ、
存在しない。


そして今。

俺は、
その存在しない場所に
立っている。

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