喫茶店|東京・新御徒町『コーヒー長谷川』静かに幕を下ろした、街の喫茶店
あなたは「いつでも行ける」と思っているお店はありませんか?
世界は常に更新され続けています。
だからこそ、今日という日を少しだけ丁寧に味わいたくなりますね。
3月1日の日曜日。
久しぶりに、いつもの階段を上がろうと思いました。
引越しやら何やらで、しばらく足が遠のいていた近所の喫茶店『コーヒー長谷川』。
日曜日のお昼によく通ってました。
「今日もチーコンにしよう」
チーズ&コンビーフトースト。
略して、チーコン。
分厚いトーストに、とろりと溶けたチーズ。
塩気の効いたコンビーフ。
その上にちょこんと乗ったレモン。
そして日替わりのコーヒー、「レギュラー」
いつもの組み合わせを、久しぶりに味わおうと思っていたのです。


けれど、お店の入り口に立てられていたのは、閉店のお知らせでした。
「2/28閉店致しました
42年間ありがとうございました
皆様もお元気で!!」
一日遅かった。
あまりに静かな幕引きで、少し呆然としました。
いつでも行けると思っていた場所。
変わらずそこにあると思っていた風景。
だからこそ、あまり店内の写真も撮っていませんでした。
また来ればいい、と。

42年。
それだけの長い時間、この街で店を開け続けるというのは、
言葉にするのは簡単ですが、実際にはとても大きなことだと思います。
毎日お店を整え、
コーヒーを淹れ、
お客さんを迎え、
その時間を積み重ねてこられた。
私が通っていたのは、その長い年月のほんの一部分にすぎません。
それでも、いつでも同じ味、同じサービスで迎えてくれました。
店内は、昭和の空気をそのまま残したような、
落ち着いた純喫茶でした。
花模様のカップ。
木のテーブル。
静かに流れる時間。
店主の方と、たくさん言葉を交わしたわけではありません。
(うちの猫のワコちゃんは長谷川さんとも呼ばれていたので、勝手に親近感を持ってました)
それでも、丁寧に淹れられたコーヒーや、
きちんと作られたトーストの一皿から、
この店を長く守ってこられた誠実さは、十分に伝わってきました。
多くを語らなくても、
通う人の心に残る店があります。
コーヒー長谷川は、私にとって、まさにそういう喫茶店でした。


引越しで、日々を慌ただしくを過ごしている今、おなじみの場所でホッとしたかったので、
このできごとは、胸に刺さりました。
いつでも行けると思っていた場所は、
ある日、静かに幕を閉じます。
また今度。
落ち着いたら行こう。
「そのうち行こう」は、
案外、すぐに期限切れになる。
チーコンとレギュラーは、もう味わえません。
けれど、あの厚切りトーストの焼き色と、
静かな店内の温度は、ちゃんと記憶に残っています。
42年間、おつかれさまでした。
ありがとうございました。
お店に続くいつもの階段を上がり、いつもの落ち着いた時間は、確かにここにありました。
長い時間をかけて、この街にひとつの景色を残してこられたように、
私もまた、いつか終わりを迎えるその日まで、
日々のものづくりの仕事をひとつひとつ大切に育てていきたいと思います。

◆ コーヒー長谷川 2026年2月28日閉店
東京都台東区台東4-1-10 関建設ビル M2F
営業時間
・月・水・木・金:09:00〜18:00
・土・日・祝:08:30〜18:00
火曜日定休
※営業は終了していますが、記録として残します。42年間、お疲れ様でした。
