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書斎派アウトドア司書の冒険読書#3/『宝島』

暑い夏こそ、読書で「冒険」に出かけましょう!

「夏の冒険読書」の連載では、児童文学の名作たちを、
毎回1冊ずつ配本(紹介)していきます。

バックナンバーはこちらから!

配本を届けたい方としては……
・子育てや教育に関わっている方
・読書好きの方/昔、読書が好きだった方
・日々の生活に疲れ、現実逃避したいと思っている方

つまり、これを読んでいる方、ほぼ全員ですね(笑)。

さて、第3回配本としてお届けするのは、
「冒険小説」の代名詞と言っても過言ではない、あの名作です!


第3回配本

『宝島』

ロバート・L・スティーブンソン(福音館書店)

名作中の名作ですので、たくさんの本が出ていますが、
ここでは、挿絵がわかりやすいと評判の
「福音館古典童話シリーズ」を挙げておきます。

出版社によって、翻訳の雰囲気や挿絵がまったく違うので、
自分好みのものを探す楽しみもありますね。

さて、本書『宝島』には、
魅力的な物語のピースがぎっしり詰まっています。

宝の地図、謎の老水夫、片足の船長、裏切り、戦闘――

冒険心をくすぐる仕掛けのオンパレード。

その他にも、
手に汗にぎるストーリー、考え抜かれたプロット、
メッチャうまそうなラム酒(笑)など、
魅力はたくさんあるのですが……

特筆すべきは、キャラクターの魅力、です。

特に、悪役である、1本足の海賊シルバー!

読んだことない人にまで、
肩にオウムを止まらせたその姿を知られている、抜群の存在感!

悪役には違いないんですが、
主人公にとって、敵でもあり、行動をともにする仲間でもあり、
どこか、冒険の師匠のような雰囲気すらある、善悪を超えた存在です。

彼の存在は、
・正義と悪は単純に分けられないこと
・人間とは矛盾を抱えた存在であること

そういった大人の事情を、
子どもたちに(そして、大人たちにも改めて)教えてくれます。

彼こそ、海賊界のベスト3に入る大海賊であるのは間違いないでしょう!
……いや、悪党だから「ワースト3」というべきか?

海賊といわれて頭の中にイメージが浮かぶ、
海賊「御三家」のひとりですね。

<きのころ選/海賊「御三家」> 
①『宝島』のシルバー
②『ピーター・パン』のフック船長
③『パイレーツ・オブ・カリビアン』のジャック・スパロウ

ちなみに、この「御三家」、
すべてにディズニーが深く関わっていることをご存知ですか?

②と③は言うまでもなく、①の『宝島』も、
1950年にディズニー初の全編実写作品として映画化された他、
2002年には、舞台を宇宙に置き換えたアニメ映画
『トレジャー・プラネット』が製作されています。

このように、海賊と縁が深いディズニーですが、「海賊版」には容赦ありません(笑)。


今こそ、大人に読んでほしい物語

かつて少年・少女だった人へ。
冒険の話だと思ってスルーしていた人へ。

『宝島』とは、単なる宝探しの話ではなく、
「人間の成長の物語」です。

「正しさとは何か?」
「選択とは何か?」
「人は、どうやって大人になるのか?」

そんな問いを、
銃声の向こう側から、ひっそり投げかけてくる本なのです。

まだ読んだことない、または、むかし読んだけど忘れちゃった、
なんていう幸せな方は、今年の夏、宝島へ出かけてみませんか?

島に埋まっている海賊のお宝よりも、
ずっと素敵な宝物を手にするために。


他にもこんな名作が

作者のスティーブンソンは『宝島』だけの一発屋ではありません。

この名前、どこかで聞いたことありませんか?

そう、蒸気機関車を発明した人です!

……というのは、冗談です。すみません。
子どもの頃、私自身が勘違いしていたことでした。

蒸気機関車の人と同じ名前ですが、
まったくの別人ですので、ご注意ください(笑)。
(蒸気機関車を発明したのは、ジョージ・スティーブンソン)

「宝島」の作者であるロバート・ルイス・スティーブンソンは、
『ジキル博士とハイド氏』という怪奇小説も書いています。
こちらも、世界的に有名な名作ですよね。

冒険小説としては、他に『さらわれたデービッド』という
イングランドとスコットランドの争いを描いた
「血わき肉おどる冒険小説」を書いています。

どれくらい血わき肉おどるかというと、
「こちらの方が『宝島』より面白い」という人もいるくらいです。

これも「福音館古典童話シリーズ」で読めます。

他には『自殺クラブ』という作品があります。
ボヘミアの王子の冒険譚。これも面白いです。

昔、あかね書房「少年少女世界推理文学全集」の1冊、
『ジキル博士とハイド氏/自殺クラブ』という本が
たまたま我が家にありまして、繰り返し読んでいました。

——「少年少女世界推理文学全集」、ご存じでしょうか?
背表紙に「?」マークをあしらった装丁が印象的でした。

『自殺クラブ』は、
『新アラビア夜話』(または『新アラビアン・ナイト』)
という作品集の一部です。

以前、福武文庫からも『自殺クラブ』というタイトルで出ていましたが、
あかね書房版も福武文庫版も、入手しにくくなって残念——。

と思っていたら!

今は、かなり良い本が出ているんです。
(次の章で紹介します)

ちなみに、ここまで、福音館書店の表記にあわせて
「スティーブンソン」と記載してきましたが、

「スティーヴンスン」、「スティーヴンソン」、
「スチーブンソン」など、出版社によって表記がまちまち。

有名作家なのに、これだけ表記揺れがあるのも珍しいんじゃないかと思います。


大人が読むならこれ!

これから、大人が読むなら、
「光文社古典新訳文庫」版が最強の選択肢になりそうです。

こちらは、翻訳も読みやすくて良いですが、
一番の魅力は、「Kindle Unlimited」の対象、ということ。

「Kindle Unlimited」会員なら無料で読めるんです!

……「Kindle Unlimited」、契約されてますか?

私はAmazonの回し者ではないですが、
・無料で読める
・今すぐ読める
・場所を取らない
という点で、「Kindle Unlimited」は本当におすすめです。

会員でない方は、検討してみてはいかがでしょうか。

こちら、「オウムのフリント」が表紙を飾る『宝島』。
「Kindle Unlimited」対象です。


もうひとつの代表作。怪奇小説『ジーキル博士とハイド氏』。
これも、「Kindle Unlimited」対象です。

「ジーキル」の表記には違和感しかありませんが、
現在、「ジキル」派と「ジーキル」派が混在している状況のようです。

「リンカーン」と「リンカン」みたいなものですね。
あなたはどっち派?


先ほど話題に出した「自殺クラブ」を含む、
『新アラビア夜話』の第一部をすべて収録した短編集です。
「Kindle Unlimited」対象。


『新アラビア夜話』の第二部をすべて収録した短編集。
「Kindle Unlimited」対象。


これは、古典新訳のシリーズではないですし、
「Kindle Unlimited」対象でもないですが、あわせて紹介させてください。

「新アラビア夜話」の続編として、
「続・新アラビア夜話」と題された作品集(妻ファニーとの合作)
がありまして、これ、2021年に初めて日本語訳が出ました。

原書は1885年の出版なので、実に、136年越しの翻訳になります。

いやー、長生きはするもんだ!?

『宝島』『ジキル博士とハイド氏』で名高い、英国の文豪スティーヴンソンの知られざる傑作小説。
恐怖の爆弾テロリストたちの暗躍を物語の経糸にして、黄昏の世紀末ロンドン、合衆国の荒野、はたまたカリブ海の小島を舞台に繰り広げられる、怪奇で波瀾万丈な奇談の数々。ドイルやマッケンにも大きな影響を与えた連作小説、本邦初訳なる!!

以上、参考情報多めの『宝島』紹介でした。


さて、今回の「配本」、いかがでしたでしょうか。

「冒険読書」の連載では、これからも、児童文学の名作を、
週1くらいのペースで「配本」していきます。

あなたの心に、冒険の火が灯りますように🔥


<関連note>


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