富士山じゃなく八ヶ岳を目指す!~自分の「ちょっと得意」を組み合わせて、戦わずに勝つ方法
「富士山じゃなくて八ヶ岳を目指す」といっても、
みんなで夜通し八ヶ岳に登って、頂上からご来光を見よう!
という楽しい登山計画を提案をしたいわけではありません。
お話したいのは、レオス・キャピタルワークスの藤野英人さんの提唱する
「八ヶ岳戦法」をもとにした、“ちょっと得意”を組み合わせるスキル設計について、です。
「八ヶ岳戦法なら知ってるよ」という方も、
今日は、ミルクボーイさんの漫才ネタをブレンドした、
ちょっとコーンフレーク風味の「八ヶ岳戦法」をご提案するので、
少しの間、お付き合いください。
「八ヶ岳戦法」をご存じない方は、ラッキーです!
今日から、富士山じゃなくて八ヶ岳を目指す生き方ができますよ!
「八ヶ岳戦法」とは
私たちは、一流になること、頂点に立つことを目指すよう教えられてきました。
まるで、富士山のように、ひときわ高く、誰もが憧れる存在。
それはたしかに、素晴らしい、堂々たるキャリアの形です。
でも、そうなれるのは、ごく一部の人だけ。
しかも、その道のりは険しく、体力も才能も、タイミングも必要です。
「一流になること」「頂点に立つこと」には、時間もお金も、人生のかなりのリソースを注ぎ込まなくてはならない。
藤野英人さんの提唱する「八ヶ岳戦法」とは、
「富士山」という1分野で頂点を極めるのではなく、
「八ヶ岳」という複数の分野でそれぞれ8割の出来を目指すという戦法。
根底にあるのは、「ニッパチの法則」と呼ばれている理論です。
(別名:「パレートの法則」、「80:20の法則」など)
その法則とは、
全体の数値の大部分(80%)は、
全体を構成するうちの一部の要素(20%)が生み出している、とするもの。
言葉だけでは難しく感じるかもしれません。
具体的にイメージしてみましょう。
・売上の80%は、全顧客の20%が生み出している
・売上の80%は、全従業員のうちの20%が生み出している
・売上の80%は、全商品銘柄のうちの20%で生み出している――
売上の話を並べてみましたが、
似たようなことは、日常でも実感としてあるのではないでしょうか?
テストで80点を取るのに必要な時間は、勉強時間の20%ほどで、
あと20点を上乗せするには、残り80%以上の時間(労力)が必要……。
つまり、ある程度のレベルまではそこそこの努力でいけるけど、
そこから上を目指すには、ものすごく時間がかかる、ということです。
さらに重要なのは、「膨大な時間をかけたからといって、
誰もが頂点にたどり着くわけではない」ということ。
藤野さんは、次のように説明します。
八ヶ岳は富士山ほど大きくないけれども、8つの連なりによって1つの形になっている。日本一になるのはしんどくても、いくつかを組み合わせて誰もできない境地に達すること。例えば、編み物ができるトライアスロンの選手…となると極端に少なくなる。(中略)
なので、富士山を目指すのもいいけれど、80%できるものが複数あれば、他の人と違った境地や評価がされる。
一昔前に比べると少なくなってきたとはいえ、
世の中、「一流至上主義」はまだまだ根強いと思います。
でも、一つの分野で頂点を目指すことだけが、
成功や幸せの道ではありません。
むしろ、いくつかの「それなりにできること」を組み合わせることで、
自分だけの強みができる――
私は、そんな「八ヶ岳戦法」の方が、
これからの時代にはフィットする気がしています。
それなりにできることを複数持つ
私自身もいろいろなスキルをかじってきましたが、
だいたい「それなりにできる」と言えるレベルまでは、
意外とスムーズに到達できます。
でも、そこから先は、急に壁が高くなるんですね。
いわゆる「1万時間の法則」というのがあって、それは、
ある分野でスキルを磨いて一流として成功するには、
1万時間もの練習・努力・学習が必要だ、というもの。
でも、ここで考え方を変えて、仮に「1万時間」あるなら、
1つのスキルにすべての時間をつぎ込むのではなくて、
2000時間ずつ、5つのスキルを学んでみたらどうでしょうか?
「2000時間」というのは「1万時間」の20%なので、
理論上は、5つのスキルについて80%程度を学べることになります。
これで十分ですし、5つの分野で80%のレベルに達しているなら、
それだけでも希少人材といえるかもしれません。
「一芸に1万時間」よりも、
「五芸に2000時間ずつ」のほうが、実用的であり、戦略的であり、かつ現実的。
なにより、「2000時間ずつかけたスキル」を組み合わせたときに生まれる相乗効果がすごい。
データ分析×プレゼン力で「説得力」が増す
デザイン×ライティングで「伝える力」が倍増
接客経験×マーケティング知識で「売れる仕組み」がつくれる
それぞれは“中の上”でも、
組み合わせの妙によって、まるで“特化型”のような価値を発揮できる。
それはちょうど、料理でいえば「家庭でつくれるレベルの素材」でも、
絶妙な味付けとバランスで“レストランの一皿”に仕上がるようなものです。
目指すのはスペシャリストではなく、組み合わせの達人。
たとえば――
料理が得意で、動画編集もできる人
占いが趣味で、プログラマーでもある人
子育て経験があって、キャリア支援にも携わる人
それぞれのスキルは“富士山”ほど高くはないかもしれないけれど、
組み合わせることで“唯一無二の地形”ができるのです。
藤野さんの言う「編み物ができるトライアスロンの選手」って、
まさに八ヶ岳戦法の象徴です。
僕自身もファンドマネジャーだけど、ピアノ、将棋、社交ダンスもやっていて、各ジャンルで極めた人には及ばなくても、いろいろな『そこそこ』を組み合わせている。それも一つの選択かなと
ピアノも弾けて、将棋も指せて、社交ダンスもできるファンドマネジャー。
それって、もはや「唯一無二」じゃないですか。
だから、私も、自分の「八ヶ岳」を大事にしようと思っています。
すべての山で8合目くらいを目指して、そこそこ頑張る。
一つのジャンルでは敵わない相手にも、
「この組み合わせでは誰にも負けない」
と言えるような“山並み”を育てていければいいと思っています。
「全部あわせて“私”になるなら、それでいいじゃないか」
――と。
自分の得意な項目だけで勝負する
さて、ここで思い出すのが、ミルクボーイさんの漫才ネタ。
M-1の決勝戦で披露された名作「コーンフレーク」です。
このネタ、お笑いとしても秀逸ですが、実は“キャリア設計の本質”を突いた内容だと私は思っています。
ネタの中で、コーンフレークの特徴を説明する、
こんなセリフが出てきます。
パッケージにかいてる五角形むちゃくちゃデカイんやからあれ!
でも俺はね、あれは自分の得意な項目だけで勝負してるからやと睨んでんのよ
そう!
得意な項目だけで勝負する。
この姿勢、まさに「八ヶ岳戦法」そのものじゃないですか。
「いろんなことに手を出してるだけ」に見えるかもしれない。
でも実は、「自分の得意なフィールド」で、
八合目まで登り切っているもの、登り切れるものを、
ちゃんと戦略的に選んでいる。
何かひとつを極めるのではなく、
いくつかの“得意な項目”をピックアップして、そこに集中。
不得意な部分には深入りせず、あえて切り捨てる。
――「人よりデカい五角形」をつくるために!
そして、ネタの続きでは、こんな展開がありました。
ほんであれ、よー見たらね、
牛乳の栄養素を含んだ上での五角形になっとんねん
もう、これが本当に深い。
ため息が出るほど深い。
このデカい五角形、
「自分の力」だけで作った形じゃないんです。
牛乳(=外部の力)を加えて、ようやく完成するカタチ。
これって、私たちにも当てはまります。
たとえば、私の八ヶ岳の一角には、
「文章力」や「読書力」、「FP」、「IT」、「音楽」……
みたいなスキルが並んでいます。
でも、それを支えてくれているのは、
家族との対話だったり、先人の知識だったり、
ちょっとしたテクノロジーだったりします。
言い換えれば、私の人生のパッケージは「牛乳入り」なんです。
牛乳(他人/道具/環境)を加えて、ようやく成立する五角形。
でも、それでこそ、オリジナルの、
しかも人よりデカい「五角形」を作れるのです。
この「牛乳入り五角形理論」のポイントは、
――“自力主義”からの脱却。
かつての成功モデルでは、「努力して全部自分でできるようになる」ことが評価されました。
でも今は、「どう外部の力を使いながら、自分の強みを発揮するか」が問われています。
自分が得意な山に集中し、不足は“牛乳”で補う
得意な山が集まって、山脈全体として美しくなる
設計された“風景”として自分の「これまで・これから」を整える
それが、これからのスキル形成とキャリア設計の基本姿勢です。
一見、お笑いネタのように見える「コーンフレーク理論」。
……いや、お笑いネタですよ?
でもその中には、
自分の得意だけで勝負するという発想
足りない部分は外部の力を取り入れる柔軟性
全体としての完成度より、“戦える型”を持つ戦略性
といった、現代に通じる補完性と共創の哲学が込められているのです。
「自分だけの八ヶ岳」という地形図
ここまで、「八ヶ岳戦法」が伝えてきたメッセージは一貫しています。
ひとつのことを極める“富士山型”の道だけが人生じゃない。
いくつかの「ちょっと得意」を組み合わせれば、
あなただけの“山並み”で勝負することができる。
でも、実はもう一つ、大切な視点があります。
それは――
自分のスキルや経験を、どう組み合わせて“構成”し、どのように“意味づけ”していくか。
スキルの山をただ並べるだけでは、価値は十分に伝わりません。
大切なのは、それらの山を地形図としてつなぎ直す視点です。
それには、多少の編集力が必要です。
自分のスキルを分解して見つめ直す力
そのスキルを必要としている場所に気づく力
「自分にとって自然な組み合わせ」を試してみる柔軟性
でも、どれも特別な訓練が必要なわけではありません。
むしろ、複数のスキルを持っている人なら、すでに“素材”は手元にあるのです。
大事なのは、それを「中途半端だからダメだ」と切り捨てないこと。
むしろ、“未完成であること”こそが、拡張性や編集余地の源なのだと気づくこと。
ここで、ひとつ大切な視点を共有したいと思います。
「全部中途半端」は、見方を変えれば「全部使い道がある」ということ。
時代は、「何ができるか?」ではなく、
「何と何を組み合わせて、どこでどう使うか?」の勝負に変わってきています。
そして、それができる人こそが、
これからの時代において“新しいプロフェッショナル”なのです。
たとえば、あなたのスキルが次のようなものだったとします:
文章を書くのがわりと得意
Excelはまあまあ使える
誰かの相談に乗るのが好き
趣味で動画編集をしたことがある
プレゼンはちょっと苦手だけど、図解は得意
どれも「そこそこ」かもしれないけれど、
これらをどう並べるかによって、全く別の印象になります。
たとえば……
「文章力 × 図解力 × 課題整理力」
→ 誰かの想いを“わかりやすく届ける人”という意味を持ちます「Excel × 人の話を聞く力 × 提案力」
→ 相手に寄り添いながら“業務改善”をサポートする人かもしれません「動画編集 × 図解 × 趣味の熱量」
→ インスタやYouTubeで「伝える場」を広げられる可能性もある
スキルは“単品”で見たときの強さよりも、並び方での意味づけが肝心なのです。
自分のスキルをレーダーチャートのように描いてみると、
五角形でも六角形でも、どこかいびつな形になるはずです。
「ちょっと得意」を並べたときに、
100点満点の項目ばかりが並ぶ人は珍しいでしょう。
でも、その凸凹こそが「個性」であり、
その形の“連なり方”こそが、自分だけの山脈――
つまり、地形図になります。
この地形図には、次のような問いかけが隠れています。
「自分の“得意”がどこに偏っているのか?」
「その偏りを、どう活かせるか?」
「どの山とどの山を、一本の稜線でつなげられるか?」
地形図にしたときに「これとこれ、意外とつながるじゃん!」という発見もあります。
そしてそれは、あなたの物語構造にもなっていく。
誰かに伝えるとき、自分で選ぶとき、
「私はこういう山並みで構成されています」と見せられること。
それが、「一芸ナシ」でも力強く生きるためのスキル設計なのです。
八ヶ岳戦法で生きるというのは、
「すべての山を高くそろえる」ことではありません。
高い山がいくつかあれば、他は“連なり”として意味を持つのです。
たとえば……
誰よりも尖った「図解力」
それを支える「資料構成力」
補助的に効く「リサーチ力」や「共感力」
など、“山脈全体で勝負する”という考え方。
そのためには、どのスキルが“主峰”で、どれが“支線”なのかを知っておくことも大切です。
そして何より、山脈は“今この瞬間の姿”で固定されているわけではありません。
少しずつ崩れたり、成長したり、また新しい山が現れたりもする。
そうやって、生きている地形図として描き続けていくことができれば、それで十分です。
あなたの中の「ちょっと得意」を、どう束ねて、どう構成し、どう活かすか。
八ヶ岳型のスキル地形図には、あなたにしかない地形がきっとあります。
その凸凹を、誰とも比べずに大事にしてください。
誰も登ったことのない稜線こそ、あなたが歩くべき道かもしれませんから。
「八ヶ岳の地形図」を描くメソッド
では、自分の“八ヶ岳の地形図”を描くには、どうすればよいのでしょうか?
簡単にできるメソッドをご紹介します。
【STEP1】自分の“山”をリストアップする
得意なこと(スキル)
興味を持ち続けてきたこと(趣味・関心)
続けてきたこと(経験・役割)
人に感謝されたこと(価値)
まずは、思いつくままに紙に書き出してみてください。
「大したことじゃない」と思えるものも、遠慮せずに。
【STEP2】「8合目」まで登れている山を選ぶ
自分が“80%の完成度”で話せる/使える/活かせるスキルを選びます。
読書歴20年(読解力・要約力)
自作サイトでブログ運営(ライティング・Web運用)
育児経験あり(ファミリー支援の共感力)
このとき、「5合目未満」の山は、いったん保留でOKです。
【STEP3】「組み合わせて意味が生まれる地形」を探す
ここが最も“編集的”なステップです。
自分の山の間に、どんな共通項やつながりがあるか?
どんな組み合わせなら“価値”になるか?
どんな人に向けてなら、それが“役立つ地形図”になるか?
つまり、「この山とこの山を縦走したら、新しい景色が見えた」みたいな
構成の妙を見つけていく作業です。
「編集型キャリア」が力を発揮するのは、
単なるスキルの足し算ではなく、
「自分という存在が文脈になる」ときです。
どうしてそのスキルを持っているのか
どういう背景で身につけたのか
どんな価値観と結びついているのか
それを語れる人には、“説得力”と“納得感”があります。
そして、それが信頼や選ばれる理由になる。
八ヶ岳の登山ルートに「正解」がないように、
編集型キャリアにも、唯一の正しい組み合わせはありません。
でも、地形図は描けます。
自分の得意と経験と関心をつないで、
他人には見えない、あなただけの山並みを可視化することができる。
それが、八ヶ岳戦法の醍醐味であり、
編集型キャリアがもたらす自由さです。
あなただけの八ヶ岳を目指しましょう
誰かのように“一流”になれなかった。
肩書きや実績で、他人を納得させられるほどの「強み」もない。
まるで、どこかの山のふもとでうろうろしているだけのような――
そんな焦りや虚無感を、あなたは抱えたことがあるかもしれません。
でも、どうかその不安を「登れていない」と決めつけないでください。
あなたが歩いてきたその道には、じつはちゃんと、山があったのです。
しかもそれは、ひとつではありません。
大小さまざまな、なだらかな、そして連なった山々――
そう、それはまるで「八ヶ岳」のような地形だったのです。
それぞれの山が8合目でも、組み合わせ次第で希少性のある人材になれる。
「それぞれ“ちょっとすごい”を5つ持っている人」は、
“ひとつの分野で100点の人”には敵わなくても、
「この組み合わせでは、ほぼ敵がいない」という状態を作れるのです。
もちろん、「一つのことを極める」生き方を否定するわけではありません。
ただし、それが全員に向いているわけではない。
むしろ、これからの時代は、「一点突破」よりも「多点編集」によって、
柔軟でユニークなキャリアを作る人が、より活躍しやすくなるのではないか。
「八ヶ岳戦法」は、そうした時代の風向きをとらえた、「新しい生き方の地形図」。
これからの時代、問われるのは
「あなたは何者か?」ではなく、
「あなたは何を、どう組み合わせて生きているか?」
という問いです。
たとえ専門家でなくても、
たとえ何かの“第一人者”でなくても、
あなた自身が組み合わせた道には、唯一無二の価値があります。
・ちょっと得意なこと
・飽きずに続けてきたこと
・昔ハマっていたけど、最近また再燃してきたこと
それらを地形図上で線でつなぐように歩いていくこと。
それが、自分の“八ヶ岳”を旅するということです。
人は、つい“富士山”に憧れます。
「何か一つを極めないと」と思ってしまう。
でも、実際のところ、
「八ヶ岳型」のほうがずっと生きやすいし、楽しい。
すべての分野で頂点を取れなくても、
いくつかのスキルを「8割」まで育てて、
それを組み合わせることで、唯一無二の存在になれる。
それは、きっと「才能」や「天才性」とは別の、
「編集力」や「選択力」のたまものです。
そして、これはまさに、
私たち凡人が実践できる“現実的な戦法”でもあります。
もし、何かひとつのことに打ち込むのが苦手だと感じているなら。
もし、「どれも中途半端で……」と悩んでいるなら。
それはむしろ、あなたの“武器”かもしれません。
いろんなスキルを組み合わせて、あなたにしか見えない風景を作る。
それこそが、「八ヶ岳戦法」の真髄なのです。
自分の中にある「ちょっと得意」を、ひとつひとつ大事に育てて、
ときには“牛乳の力”も借りながら、
自分だけの景色を作っていきましょう。
たくさんのnoteの中から、私の記事を見つけて読んでいただき、
ありがとうございました。
「なんかいいかも」と感じていただけたら、
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どうぞ、よろしくお願いします。
