月面を走るネズミ
私は今、空を飛んでいる。
ビルよりも高く、光よりも速く。
ペン先ひとつで、
物語の中では何でも起こる。
ねずみが二本足で歩き、歌い、踊る。
誰も驚かない。
あれは空想だから。
現実には、できないことがある。
たとえば、光より速く動くこと。
光速は現代物理で最速で、 それ以上の速さはない。
この宇宙のどんな物質も、情報も、
光の速さを超えることはできない。
これは宇宙の交通法規で、例外は一つも見つかっていない。
———本当に、
例外は一つもないのだろうか。

遠くに大きな壁がある。
強力なレーザーポインターを持っている。
壁に、小さな光の点ができる。
手元でポインターをすっと振ると、光の点は壁の上を走る。

壁は遠くだ。
月の上にある。
少し手を動かす。
実はその時、
点は、
光速を超える。
これは有名な話だ。

そこで、
壁を半透明にする。
たくさんのポインターを持つ。
地球から、何千本ものレーザーを向ける。
一本のレーザーは、一つの光点を担当する。
そして、
半透明の壁の
向こう側の席に座るあなたの前に
ある像が映し出される。
白い顔。
大きな、黒く丸い耳。
赤いズボン。
黄色い靴。
陽気なネズミ。
ミッ…彼だ。
監督は、光点を、一斉に動かす。
あの物語が始まる。
地球では、ほんのわずかな手首の動き。
三十八万キロ先では、桁違いの疾走になる。
計算すると、
スクリーン上の「彼」は、
光の何倍もの速さで走っている。
この速さは
比喩ではない。
錯覚でもない。
空想ですらない。
測ればいい。
月面での位置を測れば、
本当に光速を超えている。
彼こそ、例外なのではないか。
彼らは、そこに居るのだ。

この時、
宇宙の交通法規は、
破られていないのだろうか。
残念ながら、
破られていない。
彼は、誰も追い越していないからだ。
今ここにいる彼と、次の瞬間の彼。
それぞれ、地球から届いた別々の光で描かれている。
光は一本一本、順番に光速で飛んできた。
監督から観客までの情報の伝達速度は
規定の範囲内だ。
それなのに。
彼だけが、光を置き去りにして走っていく。
彼は昔から自由だ。
左で消えて、右に現れてもいい。
何千という映画館に、同時にいてもいい。
それでも私たちは、彼を一匹として見る。
名前を呼び、笑い、愛してきた。
そしてその一匹は、
(条件さえ整えば)
物理的に光速を超えて走ることもできる。
作品の中だからではない。
空想だからでもない。
現実のスクリーンの上を。
現実の光でできた彼が。
実際に、光より速く走る。

この宇宙で、光を超えられるものはない。
それは間違いない。
私たちが一緒に育った、
彼らを除いては。
残りの挿絵



AIの制作日誌
(本文制作後にそれぞれに生成してもらったもの)
Claude:
GPT:
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