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種を守るには、受粉を知ることが先だった。自家採種で失敗してわかったこと

カボチャを作ったとき、驚いたことがある。
緑色のカボチャを育てたつもりが、オレンジ色のものができた。
斑(まだら)模様のもの、白っぽいものも出てきた。
交雑していた。
原因はわかっていた。
でも、当時は対策の知識がなかった。
その経験から、自家採種には「受粉の仕組みを知ること」が先に必要だと学んだ。


自家受粉と他家受粉、何が違うのか

野菜の受粉には大きく2種類ある。
自家受粉は、同じ花や同じ株の中で受粉が完結する。
トマト、ナス、ピーマン、インゲン、枝豆など。
ナス科と豆科に多い。
他家受粉は、別の株の花粉が虫や風によって運ばれて受粉する。
キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、トウモロコシなど。
ウリ科に多い。
ざっくり覚えるなら、

ナス科・豆科は自家受粉が多い。
ウリ科・トウモロコシは他家受粉が多い。

これだけでも、だいぶ違う。


カボチャで失敗したこと

他家受粉の野菜は、品種が混ざりやすい。
カボチャはその典型だ。
緑色のカボチャを作ったつもりが、オレンジ色、斑模様、白っぽいものが出てきた。
近くで別の品種が育っていると、虫が花粉を運んで交雑してしまう。
できた実は食べられる。
でも、その種を翌年蒔くと、また違うものが出てくる。
さらにその次の年も、形も色も揃わない。
一度交雑すると、品種を元に戻すのに何年もかかる。


ズッキーニと、梅雨の話

ズッキーニも他家受粉しやすい野菜だ。
栽培では雄花を摘んで雌花に人工授粉することが多かった。
虫による交雑を防ぐためだ。
梅雨時期に困ったことがある。
実の表面に透明〜半透明のゼリー状のものが付いて、その後白や灰色のカビのようになった。
原因は、雨が続くと実が水分を一気に吸い込み、表皮に細かいひび割れができること。
そこから細胞液がにじみ出て、カビが繁殖していた。
対策は、雨の前に少し若めで収穫すること。
ただし、ズッキーニは1日で驚くほど大きくなる。
昨日は小さかったのに、今日はもう大きすぎる。
収穫のタイミングを1日外すと、あっという間に巨大になる。
だから雨の前日に見回って、少し早めに採る判断が必要になる。
混み合った葉を整理して、風通しをよくすることも大事だ。
収穫の後半になるとうどん粉病が出ることもある。
実が先細りになってきたら、収穫の終わりのサインだ。


自家採種しやすい野菜、しにくい野菜

20年の経験からいうと、初めて自家採種に挑戦するなら、自家受粉の野菜から始めるのがいい。
やりやすいもの
トマト、インゲン、枝豆、落花生。
同じ株の中で受粉が完結するので、交雑のリスクが低い。
注意が必要なもの
ピーマンと唐辛子は交雑しやすい。
近くで両方を育てると、翌年ピーマンが辛くなることがある。
オクラは自家受粉もするが、虫による交雑もある。
若葉農園に入る前から採り続けているオクラの種は、今もこの点を気をつけながら繋いでいる。
特に難しいもの
カボチャ、ズッキーニ、トウモロコシ。
距離を離す、ネットで隔離する、人工授粉する。
何らかの対策が必要だ。


知識が入ったら、世界が変わった

岩崎さん・船越さんのところへ学びに行って、アブラナ科の交雑の仕組みを理解した。
どの品種とどの品種が交雑するのか。
時期をずらして防ぐ方法。
ネットを張って隔離する方法。
ズッキーニやカボチャの交雑については、現場の経験から少しずつつかんでいった。
それぞれの知識が積み重なって、自家採種の自給率が一気に上がった。
今では使っている種の8割が自家採種だ。
知識がなかった頃は、毎年同じ失敗を繰り返していた。
知識が入ってから、失敗がデータになった。


種を守るには、受粉の仕組みを知ることが先だった。
その順番を、カボチャの交雑が教えてくれた。


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