落書き
教科書の文字の囲われた部分だけを、黒く塗りつぶすのが好きでした。「穴があったら入りたい」ではなく、「穴があったら塗りつぶしたい」と思ってしまうのです。
その欲求は思いのほか強く、授業中も先生の声は遠く、手元の教科書とペンだけが世界のすべてでした。塗り続けていると時間はするりと過ぎ、見開き一ページが埋まったとき、達成感と恍惚感が残りました。
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