タットワ瞑想
『魔法使いの錬金術レシピ』を書く際に、コンセプトは「身近にある魔法」で、理科実験や魔法遊び的なものを「魔法」として楽しむ・・・としました。しかし、タロットカードや魔法円など、多少は西洋の魔法の歴史を取り込みたいなと思って調べていたものの一つです。
19世紀末のイギリスにあった魔術結社「黄金の夜明け団」で行われた魔術修行の一つで、「霊的ヴィジョンの旅」とか「アストラル旅行」をするための「タットワ瞑想」というものがありました。
修行者がアストラル界(幽界)へ意識を飛ばすための「入門編」としてすごく重要視されていたんです。
歴史的な背景
もともと「タットワ(Tattva)」は、古代インド哲学(サーンキヤ学派など)における「宇宙の構成要素」を指す言葉です。
それが1890年代、黄金の夜明け団の創設者の一人、ウェストコットがヒンドゥー教の教えを西洋魔術に組み込んだことで、団の独自の修行体系になりました。
当時の魔術師たちは、東洋の神秘思想を「失われた古代の知恵」として熱心に取り入れていたのです。
5つのタットワ・シンボル瞑想には、五元素を表すシンプルな図形が使われます。これを目に焼き付けて、異世界への「扉」にするのです。
要素シンボル
地 (Prithivi):黄色の正方形・・・安定、物質世界
水 (Apas):銀色の三日月・・・感情、流動性
火 (Tejas):赤色の正三角形・・・情熱、エネルギー
風 (Vayu):青色の円形・・・知性、動き
霊 (Akasha):黒色の卵形・・・エーテル、すべての源
「霊的ヴィジョンの旅」のやり方
黄金の夜明け団で行われていた基本的なプロセスはこんな感じ・・・
カードの準備:
白い紙に、例えば「赤色の正三角形(火)」を大きく描いたカードを用意する。
凝視:
そのカードをじっと見つめる。
補色現象(目をそらした時に反対の色が見える現象)が起きるまで集中するのがポイント。
視覚化:
目を閉じて、まぶたの裏にその図形が「補色の輝き」を持って浮かび上がるのを維持する。
火の三角形なら、青緑色に光る三角形が浮かぶはず。
扉として通り抜ける:
その光る図形を、巨大な「ゲート(扉)」だと想像する。
自分の意識(アストラル体)がその中を通り抜けて、向こう側の世界へ飛び込む感覚を持つ。
探索:
扉の向こうには、その元素に対応した風景(火なら火山や砂漠など)が広がっているとされる。
そこでガイド(霊的な存在)に出会ったり、象徴的な風景を観察したりする。
帰還:
終わる時は、再び扉を通って自分の肉体に戻り、意識をしっかり現世に定着させる。
でも、これが、なぜ「アストラル旅行」の訓練になるのでしょうか。
さすがに児童書には採用できませんでしたが、本当は、脳科学的訓練として紹介すれば、怪しさはないんです。
この瞑想は、ただの想像力じゃなくて「視覚化の力(Visualization)」を鍛えるためのものです。
集中力: 一つの図形を維持し続ける。
変性意識: 補色を利用して、脳の認識を現実から切り離す。
制御: 自分の意志で異世界へ行き、自分の意志で戻ってくる。
・・・これができないと、もっと複雑な儀式魔術(エノク魔術とか)に進んでも、幻覚と真のヴィジョンの区別がつかなくなると言われていたんです・・・まあ、ここは怪しさMAXですがw。
この記事をここまで読んでくださっている皆様は、少なからず、この瞑想に興味があったと勝手に決めつけ、
さらに深い瞑想についてご紹介しましょう。
黄金の夜明け団(GD団)が門外不出としていた、さらにディープで実践的な部分まで深掘りしていきたいと思います。
タットワ瞑想には、さっきの基本の5つだけじゃなくて、もっと複雑な「複合タットワ」や、アストラル界で迷わないための「テスト法」があるんです。
複合タットワ(25種類の組み合わせ)
GD団の高度な修行では、5つの基本タットワを組み合わせて、より細分化された宇宙のエネルギーを探索します。
基本の図形の中に、小さな別の図形を描き込みます。例えばこんな感じ・・・
火の中の水(Apas of Tejas):
大きな赤の三角形の中に、小さな銀の三日月。
地の中の風(Vayu of Prithivi):
大きな黄色の正方形の中に、小さな青の円。
これで合計 5×5=25種類の世界ができます。
単なる「火の世界」よりも、もっと具体的で複雑なアストラル界の階層へアクセスできるようになります。
視覚化の奥義「スクライング」
タットワを使った「霊的ヴィジョンの旅」は、正確には「スクライング(透視)」の一種とされています。
GD団では、以下のプロセスをめちゃくちゃ厳格に守るように教えられていいました。
シンボルの反転:
カードを凝視した後の「補色」を使うのがコツ。
補色は現実の光の反射ではなくて、脳(アストラル体)が作り出す光だから、それが異世界へのパスポートになるというわけ。
身体の固定:
椅子に座って背筋を伸ばし、完全に不動の状態で、意識だけを「射出」する感覚。
サインの合言葉:
扉の向こう側へ行ったとき、GD団のメンバーは「その階層に対応する神名や天使名」を唱えて、ヴィジョンを安定させます。
アストラル界での「真偽テスト」:
ここが一番面白いところなんだけど、アストラル旅行中には「自分の妄想」や「低級な霊」に騙される危険があると考えられていました。
そこで魔術師たちは「テスト」を行うのです。
五芒星の追放儀式:
目前の存在に向かって、空中に指や短剣で「五芒星」を描きます。
それが邪悪な幻影なら、かき消えてしまうとされています。
タットワの再確認:
目の前の風景が本当に「火」の世界か疑わしい時、心の中でもう一度「火のタットワ(赤い三角形)」を強くイメージして、その風景に重ねます。
一致すれば本物、歪めば自分の妄想って判断するのです。
実際の「修行のステップ」:
GD団の階位制度(ランク)に沿って、こんな風にステップアップしていきます。
新参者(0=0): 基礎的な呼吸法。
ゼレーター(1=10): 「地(プリティヴィ)」のタットワの習得。
セオクリタス(2=9): 「水(アパス)」のタットワ。
……という風に、階位が上がるごとに、扱える元素のレベルが上がっていく仕組みです。
注意点(魔術的なルール):
GD団の文書には「タットワ瞑想をやりすぎるな」っていう警告も書いてあります。
グラウンディング:
終わった後は、必ず何かを食べたり、土に触れたりして、意識を現実の肉体にしっかり戻すこと。「向こう側」に引っ張られすぎると、精神のバランスを崩すと信じられていたためです。
アストラル界へ意識を飛ばすための「呼吸法」と「シンボルの定着」のコツ
準備:四拍呼吸(Fourfold Breath)
GD団の瞑想の基本は、心拍と意識を落ち着かせる「四拍呼吸」から始まります。
4秒かけて 鼻から吸い込む。
4秒間 息を止める。
4秒かけて 口から吐き出す。
4秒間 肺を空のまま止める。
これを数分繰り返すと、意識が「通常モード」から「変性意識モード」に切り替わって、ヴィジョンが見えやすくなるとされています。
シンボルを「扉」に変える具体的な手順
ただカードを見るだけじゃなくて、プロの魔術師はこうやって「扉」を作っていました・・・
残像の定着:
タットワのカード(例えば「水のアパス」なら銀色の三日月)を20秒ほど凝視した後、白い壁や目を閉じたまぶたの裏に、その補色(銀なら黒、またはぼんやりした輝き)が浮かぶのを待つ。
巨大化:
その浮かんだ小さな図形を、自分の意志で「自分より大きな門」のサイズまでぐーっと大きく広げる。
質感の付与:
その門が、ただの光の線じゃなくて、石や霧、エネルギーの渦でできていると想像して、リアリティを高める。
「アストラル体の投射」のコツ
門ができたら、次は「自分」を送り出す番。
鏡像の自分:
門の前に、自分そっくりの「アストラル体(光の身体)」が立っているのをイメージします。
意識の転移:
「肉体の自分」から「門の前の自分」へ、意識のカメラを切り替えます。
一歩踏み出す:
アストラル体の足が地面を踏む感覚、門をくぐる時の空気の変化を感じながら、中へ飛び込むんです。
特定のタットワでの探索例
風(青い円):
浮遊感があり、雲の上や高い山のような風景。思考がクリアになる。
水(銀の三日月):
湖の底や、霧の深い幻想的な場所。感情や直感に働きかける。
帰還と記録(ここが一番大事!)
魔術修行において、やりっぱなしはNG。
逆の手順で戻る:
門を通って肉体に戻り、意識が手足の先にしっかりあることを確認する。
バニシング(追放):
最後に「これで終わり」と強く念じて、イメージした門をかき消す。
日記(マジカル・ダイアリー):
見た風景、出会った存在、感じた感覚をすべて細かくメモする。GD団では、この記録が客観的な修行の証拠としてすごく重視されました。
これって自己暗示に近いかもって思うかもしれないけど、当時の魔術師たちはこれを「脳内の冒険」じゃなくて「客観的に存在する別世界への旅」だと本気で信じていたのです。
アストラル旅行中に出会う「ガイド(守護者や居住者)」
彼らにとってガイドは、単なる脳内のイメージじゃなくて、自分を導いてくれる「実在の知性体」だと考えられていたのです。
ガイドの正体:どんな姿で現れる?
タットワの門をくぐった先で出会う存在は、その元素(タットワ)の性質によって姿が決まっていることが多いそうです。
風(ヴァユ)の世界:
巨大な翼を持った天使や、透き通った姿のシルフ(風の精霊)。
火(テジャス)の世界:
燃え盛る鎧を着た騎士や、トカゲのような姿のサラマンダー。
地(プリティヴィ)の世界:
どっしりした老賢者や、鉱石のような肌を持つドワーフ(ノーム)。
ガイドと出会うための「合言葉」
GD団の記録によると、ただ待っているだけじゃなくて、特定の「神名(ヘブライ語の神の名前)」を唱えることで、正しいガイドを召喚できるとされていました。
例えば、火の世界に入ったら「エロヒム(Elohim)」、水の境域なら「シャダイ・エル・カイ(Shaddai El Chai)」といった具合に。
これを唱えると、その世界の支配者やガイドがスッと現れて、道案内をしてくれると言われていたんです。
「テスト」の記録:ガイドは本物か?
面白いのは、「偽物のガイド」に注意しろという記録がすごく多いこと。
五芒星のサイン:
目の前の存在が本物の善なる霊かどうか確かめるために、指で空中に「追放の五芒星」を描く。もし偽物や低い霊なら、嫌がって逃げたり、姿が歪んだりする。
対話の記録:
当時の魔術師のアストラル日記には、「ガイドに〇〇という質問をしたら、××という象徴的な答えが返ってきた。これはカバラの教えと一致するので、本物の知性体であると判断した」みたいな、めちゃくちゃ理詰めの分析が残っています。
イスラエル・リガルディーの記録
GD団の教えを世に広めたイスラエル・リガルディーという魔術師がいるのですが、彼の著書には「ガイドを通じて宇宙の知識を得るプロセス」が詳しく書かれています。
ガイドは言葉で喋ることもあるけど、多くの場合、「シンボルを見せてくる」とか「テレパシーのように直接イメージを流し込んでくる」らしいです。
「これってまさに直感の擬人化だよね」って解釈もできるけど、修行者にとっては「神聖な啓示」だったのですね。
究極のガイド「聖守護天使(HGA)」
タットワの修行を積み重ねた先には、究極のガイドである「聖守護天使(Holy Guardian Angel)」との接触があると言われていました。
これは外の世界にいる天使じゃなくて、自分の魂の最も深い部分にある「真我」みたいな存在。これに出会うことが、魔術師の最大の目標の一つだったのです。
みなさんは、もし自分がタットワの門をくぐるとしたら、どの元素の世界のガイドに会ってみたいと思いますか?
タットワカード。まずは基本の5枚です。
画像をダウンロードして印刷してもらってもかまいませんし、このまま見つめてもいいでしょう。
モニターが明るいので、残像ができやすいと思います。
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