ゾイサイトの加熱実験
流通しているタンザナイトのほとんどは加熱によって、美しい青色に発色させています。
タンザナイトの鉱物名はゾイサイト。
これが加熱によって鮮やかなブルー〜バイオレットに発色するのには、結晶に含まれる微量元素バナジウム(V)の酸化状態の変化と、余分な色味の消去という大きな理由がるんです。
仕組みをわかりやすく整理すると、ポイントは主に2つ。
1. バナジウム(V)の価数(酸化状態)の変化
採掘されたばかりの天然ゾイサイトの多くは、褐色や黄色、緑色が混ざったような複雑な色合い(強い多色性)をしています。
加熱実験の前のゾイサイトを観察してみましょう。
結晶の中に不純物として微量に入り込んでいるバナジウムイオンは、加熱されることで電子の授受(電荷移動)が起こり、その酸化状態(価数)が変化します。
加熱前:V³⁺(バナジウム(III)イオン) などが主で、黄~褐色や緑の光を吸収・散乱する成分が強く残っている。
加熱後:加熱によってバナジウムイオンの酸化状態が、V⁴⁺(バナジウム(IV)イオン)へシフトし、青~紫色の光を強く透過する構造へと安定化する。
これがブルーの発色を生み出す根本的な化学的メカニズムです。
2. 黄色・褐色成分の吸収バンドが消える
天然のゾイサイトは3方向で異なる色が見える「三色性」(青/紫/黄色・褐色)を持っていることが多いです。
観察してみてください。
加熱処理を施すと、このうち黄色や褐色をつくっていた光の吸収バンド(緑~黄色の波長域の吸収)がキレイに消失・減少しちゃうのです。
加熱前(三色性):青 + 紫 + 黄色・褐色
全体として茶色っぽくくすんで見える
加熱後(二色性):青 + 紫(黄色が消去される)
澄んだ鮮やかなブルー・バイオレットが際立つ・・・つまり、単に青色を付けているというよりは、「青と紫を引き立てるために、邪魔していた黄・褐色みを加熱で吹き飛ばしている」という表現が近いかもしれません。
補足:地中で自然の地熱を受けて最初から青くなった「非加熱タンザナイト」も存在するけれど、鉱物学的な発色原理(バナジウムの存在と熱による成分消去)自体は加熱処理されたものとまったく同じです
青いのも含まれているか観察してみましょう。
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