ジョン・C・リリーのこと
わたしたちの意識ってどこにあるか、考えたことはありますか?
最初に、わたしにこの疑問を投げかけたのは
ジョン・C・リリー(John Cunningham Lilly)という科学者です。
彼は、脳科学、イルカ研究、そして人間の意識の探求において、あまりにもぶっ飛んだ、それでいてきわめて真摯な軌跡を残した孤高の科学者です。
今回は意識はどこにあるかというシリーズの最初の記事として、
ジョン・C・リリーとその研究について紹介します。

アイソレーション・タンク(感覚遮断)の誕生
リリーの意識研究のスタート地点として有名なのが、1950年代に彼が開発した「アイソレーション・タンク(感覚遮断タンク)」。
当時の神経生理学では「脳は外部からの刺激(光や音など)がなくなると、活動を停止して眠ってしまうのではないか?」という仮説があったのです。
リリーは「いや、外部刺激をゼロにしても脳は自発的に動き続けるはずだ」と考え、それを証明するために自らタンクに潜りました。

結果はリリーの予想通り。
光も音も温度も感じられない極限の静寂(感覚遮断:センサリー・デプリベーション)の中で、人間の意識は眠るどころか、驚くほど鮮明な内的ヴィジョンや未知の精神世界を描き出し始めたんです。
これが、彼のその後の「内宇宙(インナースペース)」への旅の始まりになりました。
イルカとの対話と「地球外知性」への視点
1960年代に入ると、リリーはイルカの脳の大きさと複雑さに着目して、彼らとのコミュニケーション研究に没頭しました。
カリブ海のセント・トーマス島に研究所を建てて、イルカに人間(英語)の言葉を教えようとしたり、彼らの発するクリック音やホイッスル音を解析しようとしたりしたんです。
ここで面白いのが、リリーにとってイルカは単なる実験動物ではなく、「地球上に存在するもう一つの高度な異種知性」だったこと。
「人間以外の知的生命体と出会うための訓練」としてイルカ研究を捉えていた節があって、この視点はのちにSETI(地球外知的生命体探査)の先駆者たちにも大きな影響を与えています。
ケタミンと「人間のコンピュータ・モデル」
1970年代以降、リリーの研究はさらに過激な領域へ踏み込んでいきます。
アイソレーション・タンクの中に浸かりながら、麻酔薬の一種であるケタミン(K)やLSDなどの物質を摂取し、自らの意識を極限まで変容させる実験を繰り返しました。
この時期の彼の思想を象徴するのが、人間の脳と心をコンピュータに例えた「メタプログラミング理論」。
人間の心は「人間のコンピュータ(Human Computer)」である脳というハードウェアの上で、信念やトラウマ、常識といった「プログラム」が動いている・・・
リリーはタンクと物質を使って「自分の脳のOSを書き換える(メタプログラミングする)実験」を命がけでやっていたんです。
その過程で、彼はECCO(地球偶然性管制局)と名付けた、宇宙的な高次知性体(ネットワーク)とコンタクトしたと真面目に報告しています。
科学と神秘の境界線を駆け抜けた男リリーの軌跡は、当時の正統派アカデミズムからは「マッドサイエンティスト」として距離を置かれることも多かったのですが、
精神医学、イルカの認知科学、そして現代のメタバースやVRにも通じる「意識のシミュレーション空間」という概念を、半世紀以上前に身をもって体現していたのはすごい先見の明だと思うんです。
「人間のコンピュータ・モデル」と「メタプログラミング」は、現代の認知科学やマインドフルネス、さらにはサイバーパンク思想の源流にもなった斬新な意識のアーキテクチャ(構造)論です。
最近は、顕在意識や潜在意識、思考や意識、精神、魂など、違った意味を持ってなんとなく使われてしまっているので、今回は、意識ということをリリーの理論で解説してみます。
リリーは、人間の脳と精神を以下のような構造を持つ「生体コンピュータ」として定義したんだ。
人間のコンピュータ・モデルの基本構造
リリーの理論では、人間の心は階層型のOS(オペレーティングシステム)のように階層化されていると考えられていました。
ハードウェア(肉体と脳)
細胞やニューロンといった、物理的な生体マシンの部分。
下位プログラム(自動化された処理)
呼吸、心拍、生存本能、あるいは「熱いものに触れたら手を引く」といった、生存のためにあらかじめ組み込まれた自動プログラム。
これは潜在意識がやっていることといえます。
無意識化で自動的に行われるもの。
プログラム(日常の思考・信念)
「自分はこういう人間だ」「社会とはこういうものだ」という、育った環境や教育、トラウマによって後天的に書き込まれた、日常の行動を支配するソフトウェア。
これは本来の自分(魂)とは別で、スイスの心理学者C.G.ユングが提唱した社会生活に適応するために私たちが身につける「外的側面(社会的仮面)」ペルソナにも通じます。
メタプログラム(プログラムを書き換えるプログラム)
上の「日常のプログラム」を客観的に観察し、修正・選択・削除できる、より高次の管理システム。
ここが、引き寄せとか、いろいろ試されているメソッドに通じるのではないかと考えています。
プログラマー(自己の核心・純粋意識)
メタプログラムをも動かす、すべての中心にある「観察者(真の自己)」。
これが大いなる自己とか魂と呼ばれるものなんじゃないかなって考えています。
具体的にどうやって意識(プログラム)を書き換えるのか?
リリーいわく、普通の人間は自分で自分のプログラムを書き換えられない。なぜなら、日常の五感の刺激(光、音、人間関係、社会のルール)が多すぎて、脳がその「入力処理」で手一杯になり、プログラムが強制駆動し続けているから。
そこで、意識を書き換える(メタプログラミングする)ために、彼は3つのステップを実行したんです。
ステップ①:感覚遮断(入力をゼロにする)
まずアイソレーション・タンクに入ります。
光、音、温度、重力といった外部からの入力情報を極限までゼロに近づけることで、脳の処理能力(リソース)を完全に解放するんです。
これにより、生体コンピュータは「アイドリング状態(初期化待ち)」になるというわけです。
ステップ②:物質(ケタミンやLSD)によるコードの可視化
リリーはタンクの中でケタミンなどの物質を使いました。
これらの物質は、脳内の既存のネットワーク(「私はこういう人間だ」という固執した回路)の結びつきを一時的にバラバラにする作用があったのです。
これによって、普段は無意識の奥底でオートで動いている「トラウマ」や「固定観念」といったプログラムのコード(文字列)が、まるで映画のスクリーンのように客観的なヴィジョンとして目の前に現れる(可視化される)空間が作られるんだそうです。
ステップ③:プログラマーとしての「再書き込み(リプログラミング)」
プログラムが可視化されたら、中心にいる「プログラマー(純粋意識)」がそれを書き換えます。
例えば、「私は人前で話すのが怖い」というプログラムを見つけたら、「それは過去のこの記憶が原因で動いている古いバグ(不要なコード)だ。
消去して、新しく『リラックスして話せる』というコードに書き換えよう」と、タンクの中で強力に自己暗示やイメージングを行います。
外部の刺激に邪魔されない極限状態だからこそ、この「書き換え」は脳の深いレベルに直接定着(インストール)されるとリリーは考えたんですね。
リリーはこの理論の中で、とても有名な名言を残しています。
「精神の領域においては、人が真実であると信じることは、真実となるか、あるいは体験によって真実となる。そこには体験や信念の限界が存在するが、それらの限界はさらに超越されるべきプログラム(メタプログラム)にすぎない」
つまり、「自分にはここまでしかできない」「これが現実の限界だ」と信じていること自体が、ただの「脳内のプログラム」にすぎないってこと。
その限界のプログラムに気づき、「これもただのコードじゃん」と認識した瞬間、人間はその限界を書き換えて、どこまでも自由になれるということです。
今回は意識はどこにあるかとう話の最初の記事です。
ちょっとプログラムの話が多くなってしまったのですが
リリーは、意識は自分の中と、外のどこにでも存在する。
という結論を出しました。
まずは、これを覚えておいてください。
最近は、アイソレーション・タンクを体験できる施設はたくさんありますが、自宅でもできます。
とにかく真っ暗な部屋
これがなかなか難しいかもしれませんが、アイマスクでなんとかなるかな。
音も遮断したいので、耳栓をしてください。
ベッドの上で脱力します。
できるだけいいマットの上に寝てください。
脱力して、幽体離脱するイメージをします。
・・・実は20代の時に、これで本当に抜けちゃったので、注意してください(笑)
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