「やる気スイッチ」は突然やってくる~不登校から動き出す子どもの“意志”の力~
こんにちは。臨床心理士のかちゆみこです。
4人のこどもを育てながら、オンライン専門のセラピールームを開いています。
上の子二人に不登校だった時期があります。
私の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。
高校2年になった我が家の長男の姿をみていて、このタイトルが思い浮かびました。
彼は今、夢中になってある「目標」を目指しています。
臆病で、繊細で、自分の世界に閉じこもっていたかつての彼からは、まったく予想すらつかなかった姿です。
「やる気スイッチ」は突然に・・・・。
今、不登校に悩む皆さんに希望の光が届けられたらうれしいと思い、記事にしてみます。
「動かない時期」にこそ、心の準備が進んでいるかもしれない
不登校の子どもと過ごすなかで、「このままで大丈夫なんだろうか」「ずっと動けないのでは」と親が不安を感じることは少なくありません。
でも、表面上は動かなくても、子どもの内面では、少しずつ“動く準備”が進んでいることがあります。
やる気の芽生えは、目に見える形でやってくるとは限りません。
時にそれは、何気ないひと言、ちょっとした態度の変化として現れます。
そして、親が予想もしなかったタイミングで、「やってみようかな」と動き出す瞬間が訪れることもあるのです。

「やる気スイッチ」は、外からは押せない~でも、環境がそのスイッチを“育てる”ことはできる~
心理学の「自己決定理論(Deci & Ryan)」によると、人のやる気は「自律性・有能感・関係性」が満たされたときに内側から生まれるとされています。
つまり、「やらされる」のではなく、「自分で選んだ」「できた」「誰かとつながっている」と感じられる環境が、子どもの意志の芽生えを促すのです。
逆に、親や周囲が「早くなんとかしなきゃ」と無理に引っ張るほど、子どもは防衛的になり、さらに心を閉ざしてしまうこともあります。
我が家でも、なんとか長男の「やる気スイッチ」を押そうと焦って、長男とバトルになったり、逆にやる気をつみとってしまったこともありました。
長男とのバトルの末に、「このままではいけない」と親である私たちが意識と対応を変えることができたからこその「今」なんだと感じています。
長男とのエピソードはこちらに詳しく書いています。
私たちの失敗談も含めて感じるのは、焦らず、でも無関心ではなく、適度な距離感で子どもの“自律性”を尊重することが大切だということ。

親の関わり方が、やる気スイッチを「育てる」土壌になる
子どもの意志の芽生えは、まさに“発芽”のようなもの。
土が整い、水や光が注がれて、はじめて顔を出します。
親の関わり方は、その土壌を耕し、環境を整える役割を果たします。
では、どんな関わり方をすればいいの?と、具体的な方法を知りたくなるかもしれません。
そのご家族によって、土壌の耕し方も、ケアのタイミングも異なると思うので、「ご参考」までに私の家族がしてきた取り組みを簡単にピックアップしてみます。
・学習の意味を、その都度伝え続ける
・葛藤への共感と、小さな励まし
・健康面でのサポートや感覚のケア(例:聴覚トレーニング)
・学校との橋渡し、外部支援(放課後等デイなど)の活用
・進路や社会について一緒に考える時間
・親子での率直な話し合いの場
・親自身のトラウマケアやセルフケア
これらは、すぐに成果が出るとは限りません。
でも、これらの積み重ねが、子どもが「動き出そう」と思ったときの支えになるということは、長男の事例を通しても確信しています。
成長は、一直線ではない
子どもたちに「成長」の兆しが見えると、親はとても嬉しくなり、期待を込めます。
これはとても自然なことですが、このとき、親として意識しておかなければならない大切なポイントがあります。
それは「成長は一直線で起こるのではなく、紆余曲折、行ったり戻ったりしながら、少しずつのびていく」ということ。
こどもの成長を感じたときでも、親は「これで大丈夫」と完全に手を離してしまわず、「どんなことが起こってもサポートできる態勢と、親自身の心の余裕」をもち続けることが大切です。

不登校やさみだれ登校を繰り返す中で、成長していないように見える時期もあるかもしれません。
けれど、子どもはそのたびに考え、迷い、模索しています。
その積み重ねが、少しずつ“考える力”を育て、「自分で選ぶ力」へとつながっていきます。
ある時期は親が決めた進路だったとしても、そこをきっかけに「自分はどうしたいのか」「本当はどうなりたいのか」を見つめ直し、意志の力が芽生えることもあります。
「過去の足かせ」が、突破の力に変わるとき~発達課題と意志の芽生えの関係性から考える~
発達心理学では、各年齢に応じた“発達課題”があるとされています。
小学生:自分への自信(勤勉性)や、集団の中での協調性
中学生〜高校生・大学生:自己理解、アイデンティティの確立、将来の方向性の模索
不登校の子どもは、これらの課題に直面しづらい状況にあります。
しかし、課題が達成できなかったからといって、もう取り戻せないわけではありません。
子どもが自分なりに悩み、苦しみながらも、「もう一度やってみたい」「今度こそやりたい」と思えたとき——その瞬間こそ、かつてのつまずきが“突破の力”に変わるときです。
子どもが自らの意志を持ち始めたとき、それまでのすべての関わりが意味を持ち始めるのだと、私は感じています。
現に、長男の場合も、小学校・中学校と学習に対する「やる気」はほとんどありませんでした。
今になってやっと、長男は「学習の意味」を身をもって実感し、私たち親が繰り返し伝えてきたことを理解しつつあります。
ただ、発達の道筋は、決して一本道ではありません。
もし、満たされていない課題があったら、そこに戻っていつからでもやり直せばいい。
その子なりのペースで、必要なときに必要な課題に取り組めばいいのです。

「やる気スイッチ」は、静かに、でも確かに育っている
子どもは、動かない時間の中でも、何かを感じ、考え、少しずつ内面を育てています。
外から見えにくい子どものそのプロセスを信頼して、親自身も「考え」、できることをひとつひとつ試してみること。
それが親にできる最も大切なことかもしれません。
やる気スイッチは突然入るように見えるけれど、実はそれまでの積み重ねの上に訪れる“タイミング”。
だからこそ、焦らず、でも手を離さず、そっと寄り添いながら、子どもの力を信じていきたいものですね。
不登校リカバリーCPC

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全員が不登校の我が子の子育てに奮闘し、克服してきた経験を持っています。
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