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妄想日報 6月13日「縄文杉」

8:48出勤。
ナオさんのお母様は朗らかでお元気で人気者。「わたしは遅い末っ子だから、母はことし『喜寿』を迎えたのね」
そこで、やや歳下のお仲間を中心に、地域サークルの皆でお祝いをしてくれたのだそう。
「でも、ソコに一人、母より歳上のかたがいるらしくって。そのかたイチイチ
『あらアタシのほうが歳上ね』『あらアタシのほうが健康ね』『アタシなんて大きい病気で手術3回もやってるのにこんなにピンピン!』みたいに、母を『超えてこよう』とするんだって」
聞いていた皆が「うわ!すごい対抗心…」「『シルバー川柳』みたいな張り合いかた…」「お歳を召しても『マウント』ってあるんですね…」
と少々ウンザリした反応をする。
だが、当のナオさんは
「でも、『マウント』って言ってもサ、母をそうやって刺激することで元気にしてくれてるワケだから」と拍子抜けするほど心が広い。
そのとき近くを通りかかった庶務の杉さん。通称おスギさんは、話の尻尾だけ捕まえて「ごめんね。お母様っておいくつになったの?」と改めて尋ねてくる。
ナオさんがそれに答えると
「あら、そお!77歳!ソラお元気だねえ!」
といたく感心したそぶりのおスギさん。しかしながら
「そう、ウチのおふくろもね、だいぶん高齢なんだけどモウたいそう元気でねコレ。高尾山の薬王院のほうにいるんだけど、今年で樹齢700ウン歳!
うどんこ病とかでワクラ葉がたまにあるくらいで、ほかはイッコも病気しないんだから。スゲエよ母ちゃんは!」
と、怒涛の「オレの母ちゃん自慢」をおっぱじめた。そのうえ
「そもそもウチの家系ってエライ健康で長生きでさ、屋久島にいる遠縁のジイさんなんて推定で樹齢4000歳あまりダヨ。その歳なのに、幹週16mの、樹高25mくらいダヨ。
もう外来樹なみだろ?こんなに長命って『ウチの家系はどんだけ日頃の行いがいいんだヨ!』って。法事なんかで集まると、みんなで毎回オッタマゲてんだよね!」
おスギさんはひとしきり家系の長命を寿ぐと、やけに勝ち誇った背中で去っていった。その背中を見送った皆はシラけた顔で
「…樹が人を『超えてこよう』としてんじゃん」
「『喜寿』に対抗して『樹寿』ってどういうこと?…」「うわっ!樹でも『マウント』してくることってあるんですね…」と口々に述べたが、当のナオさんは
「でも、木の『マウント』って言ってもサ、木が防風林になって山崩れを防いでくれたり、根が雨水を貯めて山の水資源を保全してくれたりするワケだから」
と、山林施策の観点からも、やはりヤタラと心が広かった。

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