妄想日報 5月23日「鳥のカタログ」
8:47出勤。
昼食は課の数名で社食へ。メシアン部長とご同席する。なんでも、ユミさんは以前の課ではだいぶんお世話になったとのことで。
「部長は面倒見がいいし、なにしろグルメだから。よくお食事にも連れていっていただきましたよね!フレンチとかイタリアンとか」
「えー!部長ズルイですよー!」とキリさん。「この人なんて、顔キレイなだけで味なんか分かんないんですから。わたしも、ぜひ小難しいフレンチとか行きたいですー」
「いやいや」「あなたのが絶対わかんないから」「すでに小難しいとか言ってるし」と皆で総攻撃し、メシアン部長はただ穏やかに笑う。
ユミさんは引き続き
「部長は音楽もご作曲されてるんだよ。それも鳥の観察がご趣味で、鳥のイメージを曲になさってるって。おっしゃっていましたよね?」
「うん。まあ『鳥のカタログ』って曲をね」
「えー!」「素敵!」「ロマンチックですね!」
皆が興味津々で、いったいどのような音楽なのかを尋ねる。
「まあ、さまざまな鳥の印象だね。わたしの個人的な嗜好なんだけど、都会じゃ珍しいキバシガラスって鳥から始まってモリフクロウやモリヒバリ、ノスリにダイシャクシギ。
それから、希少なソリレス、ヤゲン、セセリ、ボンジリと。それに王道のハツ、ツクネ、レバー。あと、ねぎまは絶対ね。それを塩が合うのは塩、タレがいいのはタレで。わたしの個人的な嗜好なんだけどね」
「えー。それは魅力的な曲ですね!」とみんなが生唾飲んで引き込まれた。
食器を片付ける際、横に並んだキリさんが
「あの曲聴いてみたいけど、わたしは大人っぽい小洒落たトコロっていうよりは、赤ちょうちんみたいな気取らないトコで聴きたい、かな」
と、ちょっとイイ女みたいな顔して言った。
