妄想日報 7月21日「イグナチオ・ロヨラ」
8:48出勤。
テルさんが自身の「婚活」にまつわる「シモ」にちなんだお悩み中。「シモ」とはいえど、コレ確かに男女が避けては通れぬ「夜の営み」。その際、否が応にも関わってくる事柄で。
「VIO脱毛です。いまの20代から40代の女性って、結構やってる割合高いんですってね!一説によると全体の7割とか。それで、若い世代では特に、脱毛処理してない男性が苦手って女性もいるらしくて。アソコのもじゃもじゃ見て、ヤル気なくされちゃうとか…」
いまだ処理済みでないテルさんは、今後「ソウイウこと」に至れたときにそれが原因でお相手に不快な印象を抱かれるのもなあ、とのご懸念。これに対してユミさんが
「でもわたしの友達、旦那いるのに若い男の子と付き合ってるのがいるんだけどサ。ままま。
その彼女ね、自分が脱毛終わってないのに、相手の男性はツルツルみたいだからちょっと恥ずかしいって。ちょっとムリって。『ソウイウこと』から逃げ回ってるんだとサ」
皆で「難しいねー」「でも、処理するにこしたことないんじゃ?」「ま、それも含めて相手との相性?」とアレコレ意見交換。まるで最前からソコにいたような顔した、上の階のシステム部のロヨラさんまで参加してきて
「ワタシも、コノ頭の上のぐるりを剃毛してるんデスヨ。これヤソ教では、エス様が十字架のハリツケに際シテ被せられたイバラの冠を元ネタにしておりまシテですネ。まあ、要するに、オノレで『ハゲにいく』、ワガで『ハゲにいく』ってわけですネ。
コレを『トンスラ』って言いマス。イマでは違いますが、聖職者の身分を示すものとして『トンスラ』は13世紀以降は全修道士に強制サレタのです」
「『トンスラ』⁈」「ハゲを強制⁈」「しかも全修道士で『ハゲの被せ』って⁈」と、皆が思わずその過酷な教義に息を呑む。だが、そんな教義もどこ吹く風といった風格のロヨラさんは
「『トンスラ』コレ正確には、鉢巻のような形状のみのヘアーを残シテ、アトは前髪、トップ、サイド、バック、襟足とすべて隈なくカットします。ただ、ワタシはもともと頭髪がトボシかったせいか、ナンカ鉢巻もウマイこと作れず。まるでモト冬樹さんのような、あまりオモシロくない、マコトに『弱いトンスラ』になってシマッテ…。」
と、なにやら痛切な悔恨の述懐。さらには
「イッポウで、同じイエズス会のザビエルなんかオモシロいデショウ?フットボールアワーの岩尾サンばりの『ぽっかりトンスラ』で!
ホカにも『M字トンスラ』のブラマヨ小杉さん。『後退トンスラ』のいしだ壱成。なにより『とっちらかりトンスラ』の海原はるか師匠、温水にエガちゃん。あのかたがたは、めちゃくそオモロイ『トンスラ』ですよネ!
ホンマのザビエルに関しては、こちらに残された絵のような、あんなオモロ『トンスラ』の時期は実際なかったソウですが、それならナオサラずっちいですよネ!ワタシもせめて自前の渾身の『トンスラ』で爆笑とりたかった!『レッドカーペット』出たかったデスヨ!」
と、唾を飛ばさんばかりに、思わずほとんど十字を切りながら、「トンスラ」への篤い信仰を披瀝した。
「トンスラ」だけで『爆笑レッドカーペット』には出れないし、一部の人は「トンスラ」で笑いを取ろうとはしてないけどなあと思いつつも、その訴えを圧倒されながら聞き届けた一同。ややあって
「うん。失くすも生やすも自己表現。いずれも、自分に正直に、前向きに生きる行為には違いないんですね!」
先程まで迷える「シモの」羊だったテルさんが、つまづいた自身の足下と股下を慈しむように眺めながら力強くつぶやいた。
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