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【#4】僕に寛容な心を下さい

蜂に追いかけられた

親指くらいのサイズがあるオオスズメバチだ

昼休憩が終わりハーネスと腰袋を装着した時に、
ドローンのモーター音の様な音が聞こえた。
後ろを振り返ったら50cm先に
こっちに突っ込んでくる黄色い奴がいた。

全力でメロスになった

それはもう必死で走った

メロスは妹の結婚式が楽しくて
お酒を呑みすぎてしまい
人質になってくれているセリヌンティウスの事を忘れたいと思いながら寝坊したような奴だから
僕はメロスより必死で走ったと思う。

200m位走ったところで後ろを振り返ったら、
まだ追いかけてきていた。

休憩中だったので巣を壊してもいないし、
イタズラに蜂を挑発してもいない。
なぜ怒っているのか見当もつかないが、
蜂の脳みそは1mm程度しか無い。

つまり馬鹿だ
馬鹿の沸点など知る由もない

考えるだけ時間の無駄だと瞬時に悟った僕は、
蜂の怒りが収まるまで走り続ける体力の余力が無いことも瞬時に分析、判断した。

そして機転を効かせて、
突っ込んでくる蜂の方にUターンして突っ込んでみた。
皆んなもこの判断力は見習って欲しい。

盛大にコケた

前言撤回と言ったところだろうか。
突っ込んでくる蜂と綺麗にすれ違うかたちで
出し抜くことができたのだが、
出し抜けた優越感も束の間、
確認の為振り返ってみると
蜂もUターンして追いかけてきていた。

絶望感が頭を覆い、そして前を向き直した瞬間に足が絡まりバランスを崩して盛大に転けた。

こんなに転けたのは小学生以来だと思う。
最初に左手で全体重を支え、
左肘、そして両膝の順番で地面にぶつかった…
いや、刺さったと言ってもいい。

痛みに堪えながら蜂の所在を確かめたら、
天高く空に昇っていた。

「俺様が手を下すまでもなかったわ」

とでも言いながら離れていったのだろう。

全身が痛すぎて怒りも湧いてこなかった。
なんとか身体を引きずって、
軽トラに身を寄せて痛みが引くまで膝を抱えて丸くなっていた。

多分泣いていたと思う

1時間程痛みが引くのを待ち、
軽い擦り傷と打撲しかないのを確認、
ついでに働く気力がなくなったのも確認して
14時頃には帰路についた。

帰り道の途中、
自分へのご褒美で
高めのアイスを買ってあげようとコンビニへ寄った時、
一つしか空いてない駐車スペースにバックで入れる為に切り返していたところに、
後からきた車に頭からスッと入られて
順番抜かしされた。

怒りで気が狂いそうな自分を必死で抑え込みながら、般若の顔でコンビニへ入り金のアイスを選んで車に戻り、400円もする金のアイスを一口食べたら、
ミルクの甘さが口の中にふわぁ〜っと広がり色んな事がどうでもよく思えてきた。

自分の般若になるほどの怒りは
400円で収まるのだと知り、
少しだけ恥ずかしくなった。

この世の中には変えられない不条理が沢山ある

「努力しても報われないこと」
「理不尽な死や病気」
「人生の無意味さ」

その不条理を受け入れる寛容な心が欲しいと思った

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