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応援する場所を、探している

昨日はサルサのグループレッスン。いつもの顔ぶれが集まるスタジオに、ひときわ目立つ姿で顔見知りの女性が現れた。鮮やかな黄色のシャツに、真っ赤なショートパンツ。 一目でFIFAのどこかの国チームだと分かったけれど、サッカーに疎い私には判別がつかない。

「どこを応援してるの?」と聞くと、「エクアドルだよ!」と彼女は、きらきらした青いダンスシューズを履きながら答えた。

夜の9時から試合があるという。 「テレビ放映するスポーツバーに電話したんだけど、どこも予約でいっぱいで席が取れなくて。レッスンを早めに切り上げてどこか見に行ける場所を探したいの」

スポーツバーに詳しくない私ですら、ふらっと入ってテレビを眺めながら一杯飲めばいいのでは、ということくらいは知っている。「予約なんていらないんじゃない?」と私は言った。「うん、でもね……メキシコ人が少ないところじゃないと怖くって!」と彼女が言うので、思わず吹き出してしまった。その気持ちは痛いほどよく分かる。

実はその前日、私もブラジル戦を観にスポーツバーに行きたかったのだ。でも、ブラジル人サポーターの方が多いに決まっている場所に、一人で飛び込む勇気はなかった。そもそも、日本人がほぼいない街なのだ。昼間に一緒に観てくれる人もいなかったので、自宅のテレビでおとなしく観戦した。母や友達とLINEでやりとりしながら見てた。

この街はメキシコ人が多いので、同じスペイン語圏とはいえエクアドル人の彼女が身構えるのも当然よね、と思って聞いていた。
すると横にいた若い女の子が、「私、サッカーには全然興味ないけど、近くにバーならたくさん知ってるよ。一緒に行ってあげようか?」と助け舟を出した。 トントン拍子に彼女たちの夜の予定が決まっていく。こういう軽やかな繋がり、なんだかすごくいいな、と思った。

エクアドル人の彼女は、おそらく私と同年代。 南米人らしい陽気さにくわえて、お喋りで、よく笑う。彼女と話してると心が軽くなってしまう。子どもたちはもう成人して手がかからないらしく、毎晩のようにどこかでダンスをして、人生を丸ごと楽しんでいるらしい。
「あ、このシャツね、実は息子のを借りてきたの」と言って後ろを見せた。ダボダボなので、上手にピン留めして自分のサイズにしていた。真っ赤なショートパンツも似合っているけど、 無理な若作りとは違う。第二の人生を、自分の足で、自分の機嫌を取りながら楽しんでいる印象を受けるのだ。

私自身も、それなりに自由で軽やかに生きているつもりだれど、彼女のように「一人でサッカーを観にスポーツバーへ行こう」とは思わない。些細なことではあるけれど、それくらいの好奇心や行動力が今の私にはもう少し必要なのかもしれないな、なんてちょっと思った。

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