未来を整える魔法ー(エイブラハム)
アメリカを出発する前、珍しく少しだけ心に不安を感じていた。
一人で海外を旅することには慣れているし、かつては幼い息子の手を引いて母子で世界を移動していたほどだ。しかも行き先は、世界一便利でシステムが整っている日本。周囲からは「一人だし、今更何をそんなに心配することがあるの?」と不思議がられたけれど、私には私なりのちょっとした事情があった。
けれど、いざ出発してみると、すべてが恐ろしいほどスムーズに展開していった。
自宅を出てから日本の滞在先にチェックインするまで、重いスーツケースを持ち上げる瞬間がほぼゼロ。 今回は成田着だったので成田エクスプレスにすんなりと乗る。大きな駅は勝手を知ってるのですぐにエレベーターを見つけ、出口に立ったらすぐにタクシーが停まってくれた。到着したマンションの入口にも段差はなく、エレベーターでスッと部屋までたどり着けた。
これって当たり前のようでいて、実は奇跡のようなことなのだ。
ヨーロッパの旅を思い返すと、毎回のように「移動の試練」が立ちはだかる。 デコボコの石畳でスーツケースを引きずりながら発狂しそうになったり、アムステルダムやイタリアの漁村で信じられない傾斜の階段に絶句したり(荷物を運んでくれたシニア夫に感謝しかない)。ベルリンで借りたアパートは5階なのにエレベーターがなく、鍵の解明に小一時間かかったこともある。
だからこそ、移動がただ快適で順調であるだけで、私は「ありがとう、ありがとう」と心の中で拝みたくなるほど大感激してしまうのだ。
実は今回、移動の不安を和らげるために、前もって自分の波動や意識を「心地よい状態」に整えておくこと(意識の事前準備)をいつも以上に丁寧に実践していた。
エイブラハムのWS(ワークショップ)で、ある音楽教師の男性がこんな話をしていたのを思い出す。
彼が生徒たちに新しい課題を教えるとき、「これから話すことは、きっとすんなり理解できるよ」と、あらかじめ生徒たちの緊張を解き、受け取る準備を整えてあげる言葉がけ(事前準備)をしているのだという。
それに対してエイブラハムは、エスターが乗ったタクシーの運転手さんの話をしてくれた。 その運転手さんは「居場所のない若者を救う施設を作りたい」と熱く語っていたのだが、その施設名を「最後の救い(Last Resort)」にしたいと言ったのだそう。
それを聞いたエスターは「そこは『最初の希望』や『新しいはじまり』という名前にしなきゃ!『この子たちはきっとダメだろう』 なんて目で見ながら教えるくらいなら、釣りにでも行っていた方がマシよ」と答えたという。確かにな、と思いながら聞いていた。
「この子はできる」「すべてはスムーズにうまくいく」 そうやって相手や未来の可能性を100%信じて整えてあげることこそが、本当の優しさなのだ。
振り返ってみれば、私の人生において「きっと大丈夫だよ」と静かに未来を整えて、不安を打ち消してくれる存在は、いつだって夫や息子だった。
今回も彼らの存在に支えられ、事前準備のおかげで最高に快適な移動を叶えることができた。
少し寒さの残る街で、あたたかいお茶を飲みながら、自分を温かく見守ってくれる家族と、この快適な日本の街の優しさに深く感謝した。
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