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犬養道子著「お嬢さん放浪記」パワフルな行動力の秘訣とは♡

近所の映画館で公開中だという、地元の小さな映画祭へ夫と足を運んだ。

上映されたのは、数種類のショートフィルム。けれど、最初の10分で私の興味は完全に途切れてしまった。申し訳ないけれど、どれもアマチュアの習作にしか見えなかったのだ。リクライニングシートの心地よさに身を委ねているうちにウトウトとしてしまい、いくつかの作品の結末を見逃した。

客席を見渡せば、ほとんどが映画の関係者らしき人々。上映後、スクリーンの前に並んだ監督たちを見てさらに驚いた。若い若葉のようなクリエイターたちかと思いきや、全員が私と同年代に見えたのだ。身内らしい観客たちからの歓声で盛り上がる中、冷ややかな感想を抱いている自分の場違いさに少し戸惑う。

けれど、時間と金を無駄にしたと感じたなら、それは受け手である私の問題だ。彼らの表現に非はない。最後は思いきり拍手をして席を立った。出口では、ロビーに集まった関係者たちがセレブのように気取って記念撮影を楽しんでいる。

「なんだ、ただの内輪受けのイベントか」

そう切り捨ててしまうこともできた。けれど、私は不思議と、激しく勇気づけられている自分に気づいたのだ。

周囲の評価や自分の可能性をスマートに計算しすぎていると、人はなかなかエンジンをかけられない。ブレーキを踏みっぱなしで「行動できない」状態のまま人生をやり過ごしてしまう。そちらの方が、この内輪受けの熱狂よりもずっと悲しいし、世界をどんよりと暗くしてしまう。 難しく考えすぎて巨大な抵抗を生み、動けなくなることは、私にだって多々ある。

そんなとき、先日お客様から届いた熱いメールの一節が頭をよぎった。コントラストの真っ只中にいた彼女が、自分を奮い立たせるために手にしたという犬養道子著『お嬢さん放浪記』のエピソードだ。

戦後間もない時期に自力で渡米したものの、到着早々に結核が判明し、サナトリウムへ強制入院となった著者。普通の女性なら絶望して帰国するところを、彼女は「下らぬ学校で学ぶより、ここで読書三昧した方が勉強になる」と腹をくくった。 さらに、入院費以外を自分で稼ぐため、お見舞いに来た軍人から「パラシュートの紐から極上の糸が取れる」と聞くやいなや、それを解いてレースやベルトを編み、売る。売れすぎて新聞広告を出し、周囲の患者まで巻き込み、ついには退院日までに注文がさばけずに入院を延長してもらったという。

もうひとつの、アジアの学生たちのために「お城をもらった話」も凄まじい。 無料でもらい受けたものの、とてつもないオンボロ城で修繕費がない。考えても案が浮かばない彼女は、気晴らしに訪れた旅行代理店で、偶然「若い大工の組合が旅行へ行く」と知る。すかさず彼女は「城の修繕をしてくれたら、滞在中の食費と宿泊費をタダにする」と交渉し、お城を直させてしまったのだ。

メールを読み終え、私は一刻も早くページをめくりたくてKindle本を即座に購入した。

スマホもGoogleマップもネットもない時代に、圧倒的な意志の強さとエネルギーの高さで流れを掴み、物事を展開させていくたくましさ。何より、彼女の信条である「何事につけても、一番むつかしいところから片付けようとするのは、愚の骨頂である」という言葉が、私の胸に深く刻み込まれた。

難しく考えないから、抵抗なく動き続けられる。そのバネが社会への愛なのだから、震えるほど格好いい。

映画館を出た私たちは、ふらりと近所のレストランに立ち寄った。 満席のため案内されたバーカウンターで、隣り合ったカップルと不思議なほど意気投合した。近所にセカンドハウスを買ったばかりだという彼らは、この街に居場所を持てた歓びに満ちていて、まるで昔からの友人のように楽しい時間が流れた。

もし、あの退屈な映画を観に行っていなければ、この出会いもなかった。 何ひとつ、無駄なことなんて起きやしない。世界はいつだって、動き出した人間に味方するようにできている。


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