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カーレースの騒音の中で過ごす週末

私の春は、『爆音』から始まる。
数ミリオン規模の、ガチのロードレース。
でもこのイベント、日本の技術なしでは1ミリも進まないって気づいてないアメリカ人も多いと思う。冠スポンサーはNTT ・タイヤはFirestone(中身はブリヂストン) ・多くのエンジンはホンダという顔ぶれ。

最初は『耳栓なしじゃ無理、うるさすぎ!』なんて思ってたのに。
今じゃわざわざ、その地響きを全身で浴びに行ってる。これを順応と呼ぶのか、沼落ちと呼ぶのか。
爆音の中で戦うエンジニアたちも、鼻血が出そうなくらいかっこいい。ピットインして、給油やタイヤ交換をする数十秒の集中力と、スピーディで狂いのない動き。耐久レースとなると、そこでドライバーがチェンジする。

ひとたびレース場に入ると、騒音はなぜか気にならなくなる。大きな円を描くように連続する超高質エンジン音には、私たちの中からアドレナリンとセロトニンを同時に引き出す魔力があるらしい。もちろん、耳栓が必須の人たちも多いとは思うが。

最終日の今日は、朝の練習を見てから、時速300キロ超えの100周レースを見守った。スタンド席を買ったのに、結局、いろんな場所で見たくて、夫婦でコース内をウロウロ徘徊した週末だった。

そういえば、昨日の朝はヨガを終えた夫と、ヨガ仲間のマリアと朝食をとるためにレストランで合流した。私は早朝ヨガにはいかないが、その日はレースの練習のエンジン音で目覚めた。

レストランは3マイルほど離れていたけれど、「ブォン、ブォン」と地響きのような練習音が届いていた。スタッフの女性が「一体何の騒音でしょうね!」と目を丸くしていた。 逆に、このお祭り騒ぎを知らない人がいることに、驚いて笑ってしまった。

食事を終えて、私は夫の車の助手席にどっしりと座り込んだ。 すると、夫がポカンとした顔でこちらを見ている。

「……君、自分の車で来たんだよ?」

私はボケはじめているのかもしれない。


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