あきらめた先に待っていた桜並木

「今年はお母さんと一緒に満開の桜が見たいな」
そんな私の願いを知った夫が、サプライズでプレゼントしてくれた日本への一人旅。
けれど、いざ日本に到着して母を訪ねてみると、義父の介護などで忙しく、ゆっくりお散歩をする時間を合わせるのは難しいとのことだった。
滞在中に会える時間はあっても、近所の桜は日ごとにどんどん散っていく。 「どんなに叶えたくても、お天気や相手の都合など、自分ではコントロールできないこともあるんだな」と、今回は半ばあきらめていた。
ところが、滞在も終盤に差し掛かったある日のこと。 母たちと「今日も女子会ランチをしよう!」ということになり、ふらりと訪れたレストランの駐車場に車を止めたときだった。
道路の反対側、少し坂下になった場所に、ピンク色のふわふわとした雲のようなものが連なっているのが目に入った。
近づいてみると……なんとそこには、息をのむほど見事な満開の桜並木!
「なぜ今、ここにこんなに咲いているの!?」と3人で大びっくり。 地元の人しか知らないような静かな場所で、奇跡のように満開の桜が私たちを待っていてくれたのだ。
しかも、その日は時間にゆとりがあり、母たちと手をつなぐようにして、ゆっくり桜並木を散歩することができた。
「母と一緒に、満開の桜の下を歩きたい」
一度は手放したはずの願いが、一番予想外で、一番美しいかたちで叶ってしまったのだ。
ダメだったとガッカリしても、宇宙はいつでも最高のタイミングとサプライズを用意してくれている。 自分の「心地よさ」に意識を向けて毎日を機嫌よく過ごしていると、こんな風に、思いがけない扉がそっと開く瞬間に出会える。
満開の桜の下で弾けた母たちの笑顔と、温かな春の風。 またひとつ、胸の奥に一生ものの愛おしい思い出が増えた素晴らしい日だった。
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