目標達成より大切なもの。20年以上続けている私の目標管理術
元旦や年度が改まると、多くの人が目標を立てる。資格取得、昇進、ダイエット、資産形成などの数値目標、つまりKPIを掲げていることも多いだろう。私も毎年目標を立てている。ただ、誤解を恐れずに言えば、私は人格をKPIにしている。
私は人生を一つの経営体として考えている。会社に理念や経営計画があるように、人生にも方向性や計画があるべきだと思う。ただ、その中心にあるものは、売上や利益ではなく「どんな人間として生きたいか」だ。
今回は、私が20年以上続けている目標管理の方法を書いてみたい。少しずつ改良を重ねた人生の虎の巻なので、少しでも参考にしてもらえる人がいるとありがたい。
1. なぜ目標管理は続かないのか
会社でもない限り、目標管理はなかなか続かない。その理由は、決して意志の弱さではなく、「構造が弱いこと」だと思っている。
つまり、多くの場合、目標が人生の文脈とつながっていないのだ。「5kg痩せる」「資格を取得する」「英語を勉強する」――どれも素晴らしい内容だが、「なぜ自分にとって大切なのか」が曖昧だと、忙しい日常の中で優先順位が下がっていく。
それはつまり、目標そのものを考える前に、もっと上流にある「個人の価値観」や「将来の夢」を考える必要があるということである。
2. 人生を経営のように考える
会社には経営理念がある。理念があるから方針が決まり、方針があるから年度計画が決まり、年度計画があるから月次の活動が決まる。人生も同じ構造だと思っている。いきなり目標を決めるのではなく、まず北極星となる価値観や夢があり、そこから一年のテーマ、目標、行動という順番で考える。
では成果はどのように考えるか。成果は一年の行動の結果だが、私は人生においては成果の達成に執着することはあまり勧めない。
以前、甲子園の優勝校とじゃんけん大会の話を書いた。勝者という結果が発生することと、勝者が特別に優秀かどうかは別の問題だと考えている。目標管理も同じだと思っている。成果を追求することも大切だが、それよりも「正しく行動し、自身がそれに納得し、結果として成長を実感したか」のほうが価値がある。これが、私が冒頭で人格をKPIにすると言った理由である。
3. 私の年間計画の作り方
では具体的にどうするか。まず、昨年の日記やメモを見返す。何が自分を奮い立たせ、何に苦悩し、どんな言葉に心が動いたのか。振り返りは反省会ではない。一年という物語をもう一度読み返す作業だ。
その中で、なぜか心に残り続ける言葉があれば素晴らしい。本で出会った言葉かもしれない。誰かとの会話かもしれない。自分で書いたメモかもしれない。もちろんその中には、座右の銘や夢のような価値観も含まれる。それらを並べて「蒸留」していくと、おのずと共通するテーマが決まるはずだ。テーマは人格の方向性を示す北極星となる。
手帳の最初のページにテーマを書くのだが、なぜこのテーマになったのかも一緒に書き残す。昨年の出来事、そこから得た学び、一年をどう生きたいのか。単なる目標一覧ではなく、一つの物語、つまりナラティブとして残す。
テーマが決まったら、より具体的な目標を考える。私は以下6つのカテゴリで考えるのが人生のバランスを取りやすいと思っている。仕事、経済、家庭、精神、健康、教養の6つだ。それぞれのテーマについて、一年間で何をするかをより具体的に考える。
具体的な目標に対して、月次・週次の実行計画を決めていく。やっていること自体は一般的な目標管理と大きく変わらない。違うのは、すべてが自身の価値観とそのストーリーに接続されていることだ。
4. 成果ではなく人格を管理すると何が起きるか
この方法の面白いところは、結果に振り回されにくくなることだ。その年に大きな成果が出なかったとしても、行動につながり、自身が変化したなら、その年は成功だ。一般的な目標管理では未達かもしれない。しかし人格の観点では達成している。
弓道に「正射必中」という言葉がある。正しく射れば、結果として中る。中てることだけを考えるのではなく、まず正しく射ることを重視する考え方だ。人格を管理するという発想は、これに近いのかもしれない。
結果は完全にはコントロールできない。しかし、自分の行動や姿勢はコントロールできる。人格が行動となり、行動が習慣となり、やがて成果につながる。私はこの順番を信じている。
5. 私が20年以上使い続けている手帳
実はこの作業には、自分なりの制約をいくつか課している。元旦の未明という、一年で最も澄んだ時間に行うこと。一番気に入っているペンで手書きすること。決まった手帳のフォーマットを使うこと。
限られた時間、消せない手書きの文字、決まったフォーマット――その不自由さの中でしか立ち上がってこない言葉や決意があると思っている。
こうした管理をする上で、長年使っているのがタナベ経営のブルーダイアリーだ。手帳のフォーマットが、上述した思考のフレームワークそのままになっている。私がやりたいことと非常に相性が良く、気づけば20年以上使っている。
もちろん手帳は何でも構わない。大切なのはツールではなく、自分なりの制約と仕組みを持つことだ。
人生は会社経営とは違う。市場分析をしても、人生は思い通りにならない。努力しても失敗することはある。予想外の出来事も起こる。むしろ人生は偶然の連続だ。
だからこそ、方向性だけは決めておきたい。目標管理とは未来を支配するためのものではない。自分がどちらを向いて歩くのかを決めるためのものだ。
人格を磨き、行動を積み重ね、巡ってきた機会を掴める自分でいる。そのための仕組みだ。
来年もまた、手帳の最初のページを開こうと思う。
