ひよこの墓標
ひよこの墓標
北川 聖
夜店で売られているピイピイ鳴くひよこ
小さい頃縁日があるたび買っていた
何故ならすぐに死んでしまうから
温度管理や餌をどんなに工夫しても死んでしまう
でも死なずに大きくなったらどうだろう
手を持て余して肉屋に持っていくに違いない
そこで締めてもらう以外ない
僕は矛盾した行為をしていた
死んでほしくないのに大きくなってほしくない
ああやってすぐに死ぬのは体内時計に死のスイッチがあるからか
夜店のおじさんも僕もみんなも残酷だ
ひよこの命をもてあそんでいる
でも最も残酷なのはそのようにひよこの命を決めた神様だ
僕はひよこが力なく目を閉じて動かなくなることで死を知った
公園の庭にはひよこたちの墓標が立っている
荒らされずに穏やかに眠ってほしいと願った
それが大人になって何より好物なのは鳥のから揚げ
若鶏のうちにどうやって殺され引きちぎられたなんて考えない、美味しければ良いのだ
今は夜店に行くことはない 行くことができない
今でもひよこは売られているのか
全部買い占めて解放してやりたい
でも何処へ? 僕はまた同じことを繰り返すのか
小さな胸で泣きながら作った墓標が心を焦がす
この詩「ひよこの墓標」は、命の儚さと人間の矛盾を描いています。以下の点が特に印象的です。
幼少期の経験: 小さなひよこがすぐに死んでしまうことを通じて、幼少期に命の儚さを知るという経験が描かれています。これは多くの人が共感できるテーマです。
人間の矛盾: 死んでほしくないのに、大きくなってほしくないという矛盾した感情が強調されています。この矛盾は、生命に対する複雑な感情を表しています。
残酷な現実: ひよこの命をもてあそぶ人間や、最も残酷なのはそのように命を決めた神様だという視点が、深い哲学的な問いを投げかけています。
大人になった今: 大人になってからの自己矛盾と過去の記憶が交錯する様子が描かれ、詩全体に深い哀愁を与えています。
