90歳のわたしから見た、あのとき立ち止まってゆるした日 ──未来から見た自分を考える“あの瞬間”をイメージ。
序文
[このnoteはフィクションですが、カウンセラーは実在します。]
もし90歳の自分が、今の私を見つめるとしたら──。
「あの時、ゆるそうとしてくれてありがとう」
そう微笑んでくれる気がします。
職場で感じた小さな痛み、家族とのすれ違い、自分自身に対する苛立ち。
それらは、ただの“つまずき”ではなく、私の感情が真剣に叫んでいたサインだったのかもしれません。
このエッセイは、「ゆるせないまま、心のどこかで引っかかっている感情」と、丁寧に向き合っていった記録です。
“誰かをゆるす”ことよりも、“ゆるせない私”を受け入れることが、何よりも難しくて、でも何よりも優しい選択だったと気づいた瞬間。
90歳の私が過去を振り返ったとき、
「ちゃんと向き合ったあなたを、誇りに思う」と言えるように。
“いま”という時間でしかできない、心の棚おろしが、きっと未来の自分を救ってくれます。
読んだ方の心にも、静かに寄り添う物語となれますように。
今日の時間について
ダイキ: 今日は、皆さんと少し特別な時間を持ってみたいと思っています。普段は、今抱えている悩みや関心ごとについて自由に話していますが、今日はちょっと視点を変えて、未来の自分に会いに行く旅をしてみませんか?
とみこ: 未来の自分?なんだか面白そうですね!でも、未来って考えると、ちょっとドキドキもします。
あさこ: 旅、良いですね!未来への旅、どんな感じになるのかな。楽しみです。
ダイキ: ありがとうございます。今日のテーマは、「自分がもし90歳になったとしたら、今の人生の道のりを振り返って、嬉しく思うことや、もしかしたら後悔することってあるだろうか?」という問いです。90歳になった自分になりきって、今の自分自身を見てみるようなイメージですね。
とみこ: 90歳!想像もつかないですが、なんだかすごく遠いところから、今の私を見ている感じかな。
あさこ: 自分が90歳…白髪が増えて、腰も曲がってるかな?でも、きっと色々な経験をしてきたんだろうな。
ダイキ: そうですね。遠い未来から今の自分を振り返ることで、今の選択や気持ちがどんな意味を持つのか、少し違った角度から見えてくるかもしれません。この問いは、このコミュニティで「転機ワーク」というものをやっている時に扱っているテーマなんです。参加された方からは、「とりあえず、なんでもやってみればいいんじゃない」という気づきがあったり、「今の人生に後悔はない」と思えたり、新しい発見があったという声も聞かれました。
とみこ: へぇ、面白そう。私も、このコミュニティで色々な方とお話していると、「あ、こういう考え方もあるんだな」とか「自分だけじゃないんだな」って気づくことがたくさんあって、気持ちが楽になるんです。今日のテーマでも、何か新しい視点が見つかるかもしれませんね。
あさこ: はい、私もここで皆さんと話すのが、視野が広がってすごく楽しいです。自分の知らない世界を知れたり、自分自身のことを深く考えるきっかけになったり。90歳の自分がどう思っているか、考えるのは初めてです。
ダイキ: ありがとうございます。今日の時間は、正解や不正解を探すものではありません。ただ、自由に想像して、心に浮かんだことを言葉にしてみましょう。私が皆さんの話を「聞く」という役割をさせてもらいますが、気軽に、話しやすいことからで大丈夫です。
90歳になった自分からの問いかけ
ダイキ: では、まず目を閉じて、ゆっくり深呼吸してみましょうか。暖かい光が降り注ぐ場所で、穏やかな時間を過ごしている90歳の自分を想像してみてください。たくさんの人生の出来事を経験して、遠い目をして、今の、この瞬間の自分を見つめています。その90歳の自分が、今の皆さんに向かって、問いかけています。
ダイキ: 「ねえ、今のあなた。これまでの人生の道のりを振り返って、特にキャリアブレイクという経験をした頃のことをどう思っているかな?その後の物事の展開を、嬉しく思っているだろうか?それとも、あの時の選択を間違ったと、少し後悔しているだろうか?」と。
ダイキ: さあ、その90歳になった自分から、どんな声が聞こえてくるでしょうか。心の中にふと浮かんだイメージや言葉を、教えていただけますか?
それぞれの90歳
とみこ: (少し間をおいて)うーん…。私の90歳の自分は…なんだか、ホッとしているような顔をしている気がします。あの時、無理するのをやめて、立ち止まることを選んで良かったね、って言ってくれているような。
ダイキ: ホッとしているんですね。無理するのをやめて、立ち止まったこと、それが90歳になったとみこさんにとって、大切な選択だったと感じられているようですね。
あさこ: 私の90歳の自分は…なんだか、くしゃっと笑っている顔が見えます。あの頃は色々なことに悩んでいたけど、全部含めて「面白かったね!」って思ってくれているんじゃないかな。特に、海外に一人で旅に出たり、色々なコミュニティでたくさんの人に出会ったり、若い時に色々な経験をして良かったね、って言ってくれてる気がします。後悔…うーん、あんまりしてないかな。
ダイキ: 面白かったね!と笑っているんですね。若い時の色々な経験が、90歳になったあさこさんにとって、かけがえのない宝物になっている様子が目に浮かびます。
とみこ: あさこさんの90歳、素敵ですね!私も、あの時、今の会社を思い切って辞めて、キャリアブレイクを選んだ時は、周りの目がすごく気になったし、「これで良かったのかな…」って不安と焦りでいっぱいでした。特に私はもう40代だし、これからどうなるんだろうって。でも、90歳になった自分は、その選択を「良かった」と思ってくれているみたい。
ダイキ: 不安や焦りの中でも、立ち止まる勇気を持てたんですね。その勇気が、未来の自分にとって大きな意味を持ったようです。
あさこ: 私も、新卒で入った会社を3ヶ月で辞めた時は、本当に絶望しました。周りの友達はバリバリ働いてるのに、自分は何やってるんだろうって。その後も、仕事が合わなかったり、人間関係が難しかったりして、短期で退職を繰り返して。転職活動をしても「また辞めるんじゃないか」って見られるのが怖かったり。でも、キャリアブレイクという考え方を知って、「あ、こういう時間の過ごし方もありなんだ」って思えるようになって。今は、色々なことに挑戦してみたり、自分自身と向き合う時間を持てています。
ダイキ: レールから外れてしまったような感覚や、周りとの比較で苦しい思いもされたんですね。でも、そこでキャリアブレイクという考え方に出会って、自分のペースで生きることを肯定できるようになった。それが、今のあさこさんの色々な挑戦に繋がっているんですね。
過去の経験から見えてくること
ダイキ: とみこさん、90歳の自分が「ホッとしている」と言ってくれたのは、どのような経験があったからだと思われますか?過去の出来事や、そこから感じたこと、学んだことなど、もう少し聞かせてもらえますか?
とみこ: そうですね…私は、これまでずっと「こうしなくちゃいけない」「これが普通だ」って思って生きてきた気がします。特に、女性だからとか、長女だからとか、色々周りの期待に応えようとして。仕事でも、やりたいことより「安定」とか「ちゃんと働かなきゃ」って気持ちが強くて。頑張りすぎて、適応障害になったり、心と体のバランスを崩すことが多かったんです。
ダイキ: 周りの期待に応えようと頑張って、心身の調子を崩してしまったんですね。それは、とても辛い経験だったと思います。
とみこ: はい。特に、一度病気になって退職した後、再就職がなかなかうまくいかなくて、長い間仕事がない期間が続いたことがありました。その時は「自分には価値がないんじゃないか」ってすごく落ち込みました。仕事がないと、人とのつながりも減ってしまうし、社会から取り残されたような孤独感を感じて。
ダイキ: 仕事を失ったことで、自分の価値や社会とのつながりまで失ってしまったように感じたんですね。その孤独感は、このコミュニティに来ている多くの方が経験していることかもしれません。雑談部屋でも、キャリアブレイク中の孤独感について話したことがあります。
とみこ: そうなんです。でも、その「どうしようもない」と思っていた時期に、思いがけずNPOの立ち上げに関わることになったり、色々な働き方を経験する中で、「あれ?自分って何がしたいんだろう?」って立ち止まるきっかけができたんです。あと、私は子供を産むことができなかったんですが、それは女性としての価値がないってことじゃないんだ、人としての価値は色々な面にあるんだって気づいて。自分が凝り固まった考え方をしていたんだなって。
ダイキ: 辛い経験や予期せぬ出来事が、自分自身や人生について深く考えるきっかけになったんですね。そして、人との出会いや多様な経験を通して、自分の価値観が変わっていったんですね。まるで、重い鎧を少しずつ脱いでいくように。
あさこ: とみこさんの話、すごく分かります。私も、社会人になってから、「働くってこんなにつまらないの!?」って絶望したり、「なんでこんなに頑張ってるんだろう?」って思ったり。仕事が合わなかったり、職場の雰囲気が難しかったり、体調を崩したり。いつも、周りの期待に応えようとか、「ちゃんと」しなくちゃって思って、自分に無理をさせていた気がします。
ダイキ: あさこさんも、自分に無理をさせてしまうことがあったんですね。特に若い頃は、周りと同じように進まないと、って焦りやすい時期かもしれません。
あさこ: はい。でも、コロナ禍で留学が中止になって、予期せず休学したのが、初めての「キャリアブレイク」だったんです。その時はすごくネガティブに捉えていたんですけど、今思うと、あの時間があったからこそ、自分が本当にやりたいことや、自分に合った働き方について考えるきっかけになったんです。
ダイキ: 予期せぬ出来事が、結果的に自分を見つめ直す大切な時間になったんですね。その経験が、その後の人生にどう活かされているか、少し教えてもらえますか?
自分と向き合う今の取り組み
あさこ: はい。一度立ち止まって、自分に無理をさせすぎないこと、そして自分の心の声を聞くことの大切さを知って、今は焦らず、自分の「好き」や「興味があること」を大切にする時間を持っています。海外旅行が好きなので、一人で旅に出たり、このコミュニティで色々な方とお話したり、読書をしたり、自己理解のために色々試したり。
ダイキ: 旅や人との交流、読書などを通して、自分自身のことを深く知ろうとしているんですね。
あさこ: はい。旅先で出会った人たちとの会話や、そこで見た景色から、たくさんの新しい気づきをもらっています。あと、ここでは、同じようにキャリアブレイクを経験している方や、色々な働き方をしている方がたくさんいるので、「自分だけじゃないんだな」って安心できるんです。周りの目を気にせず、自分のペースで進むことの良さを実感しています。
とみこ: 私も、キャリアブレイクの期間になって、ようやく自分を大切にする時間を持てるようになりました。以前は、仕事がないと時間が余っているようで、何かを詰め込まなくちゃって思っていたんですけど、今はゆったり過ごすことも大切だって思えるようになりました。心身の調子も、仕事をしている時よりずっと良いです。
ダイキ: 以前は、時間があると何かを詰め込みがちだったんですね。でも今は、意識的に「余白」を作ることを大切にできているんですね。
とみこ: はい。あと、子供の頃に本当はやりたかったけど諦めていたことにも挑戦しています。例えば、歴史が好きで、今は地域の歴史観光案内のボランティアをしたり、大学で歴史を勉強したりしています。仕事とは違う「好き」に時間を使うことで、自分の心が満たされるのを感じています。そして、このコミュニティで色々な方と交流することで、自分一人で悶々と考えていた時にはなかった新しい視点や気づきを得られています。
ダイキ: 素晴らしいですね!子供の頃の「好き」を再び見つけて、それに時間を使えているんですね。そして、ここでの人との交流が、新しい気づきを与えてくれている。雑談部屋で「やりがいを感じること」について話した時、料理をすることや、それを食べてくれることにやりがいを感じるという話が出ましたが、「好き」が自分を満たしてくれる、というのは共通することかもしれません。
取り組みで生まれた変化
あさこ: 私にとって一番大きな変化は、自分の気持ちに正直になれたことです。以前は、嫌なことやつらいことも「普通だから」「みんなやってるから」って我慢して、自分の心に蓋をしてたんです。でも、体調を崩したり、キャリアブレイクを経験したりして、自分の心の声を聞くことの大切さに気づきました。今は、嫌なことは嫌だって言える勇気を持てるようになってきました。
ダイキ: 自分の心の声に耳を傾けて、正直な気持ちを表現できるようになってきたんですね。それは、自分自身を大切にすることに繋がりますね。
とみこ: 私も、以前は周りの目が気になって、自分の状況を素直に話すのが難しかったんです。でも、ここでは皆さんが温かく受け止めてくれるので、安心して自分の気持ちを話すことができます。特に、同じように適応障害や心の不調を経験した方とお話すると、「あ、私だけじゃなかったんだ」って、すごくホッとします。
ダイキ: ここでの交流が、安心して自分をさらけ出せる場所になっているんですね。それは、このコミュニティが目指していることの一つでもあります。
あさこ: あと、旅を通して、色々な価値観に触れられたのも大きいです。特に、海外では、働くことに対する考え方や、人生の楽しみ方が日本と全然違うって感じて。それが、私自身の「こうあるべき」という固定観念を壊してくれました。働くことだけが人生じゃない、もっと自由に、自分の心に従って生きて良いんだって思えるようになったんです。
ダイキ: 海外での経験が、日本の「常識」にとらわれていた自分に気づかせてくれたんですね。働くことや人生に対する新しい見方が生まれたんですね。
90歳で笑っていられる未来のために
ダイキ: 今のお話を聞いていると、お二人とも、過去の辛い経験から大切な学びを得て、今の取り組みに繋げていることがよく分かりました。では、最後に、これらの経験や取り組みを通して、90歳になった時に「ああ、良い人生だったな」「あの時、こうして良かったな」と心から思える、そんな未来のビジョンを教えていただけますか?
とみこ: 私の90歳のビジョンは…「自分の人生を楽しみ尽くしたな」って思えることかな。これまでは、誰かのためにとか、周りの期待に応えるために生きてきた部分が大きかったから。残りの人生は、子供の頃にやりたかったことや、新しく興味を持ったことに、もっともっと挑戦してみたい。そして、ここで出会った皆さんみたいに、色々な価値観を持つ人たちと、フラットに楽しくお話しながら過ごしたいです。
ダイキ: ご自身の「好き」や「やりたいこと」を大切に、人生を楽しみ尽くすんですね。そして、人とのつながりを大切にする。素晴らしいビジョンですね。
あさこ: 私のビジョンは、「自分の好きを大切に、夢中になれることを見つけて、心地よく生きる」ことです。焦って次の仕事を探すんじゃなくて、このキャリアブレイクの期間で、自分自身とじっくり向き合って、本当に心からやりたいことを見つけたい。そして、人とのつながりを大切にしながら、自分らしい働き方を見つけていきたいです。旅をするように、好奇心を持って色々な世界を見ていきたいです。
ダイキ: 自分の心に従って、夢中になれることを見つけ、心地よい働き方を実現するんですね。そして、旅のように新しい発見を続ける。あさこさんの行動力と好奇心が、未来を切り開いていくのが目に浮かびます。
ダイキ: (自身の経験を少し織り交ぜながら)私自身も、以前は仕事が「上手くいく」ことだけが幸せだと思っていました。病気で休職したときは、自分の価値が見えなくなってしまったようにも感じましたが、このコミュニティで皆さんと出会い、色々な働き方や生き方があることを知って、視野が広がりました。仕事だけが人生じゃない、人間関係や自分の興味関心に時間を使うことも大切だって、改めて感じています。
ダイキ: お二人の話を聞いて、90歳になった時に「あの時、立ち止まって良かった」「自分の心に正直になって良かった」「色々なことに挑戦して良かった」と思えるかどうかは、今のこのキャリアブレイクの期間をどう過ごすかにかかっているんだなと感じました。不安や焦りを感じることももちろんあるけれど、それは皆同じ。ここで出会った仲間と話し、お互いの経験や考えを分かち合いながら、自分にとっての「良い人生」を模索していくことが、未来の自分を笑顔にする力になるんだと思います。
今日のまとめ
ダイキ: 今日の時間も、あっという間でしたが、90歳になった自分からの問いかけを通して、お互いの人生や価値観について深く知ることができた貴重な時間だったのではないでしょうか。
とみこ: はい、本当にそうですね。90歳の自分が「ホッとしている」って言ってくれたことで、今の自分が進んでいる道は間違っていないのかもしれない、って少し自信を持つことができました。過去の辛い経験も、今の自分に繋がっているんだなって思えて、なんだか全てを肯定できたような気持ちです。
あさこ: 未来の自分からの視点って、すごく新鮮でした。悩んで立ち止まっている今の時間も、未来の自分が「面白かったね!」って言ってくれるなら、もっと自由に、色々なことに挑戦してみようって勇気が出ました。
ダイキ: お二人の気づきを聞けて、私もとても嬉しく思っています。今日のこの会話が、これからの日々の小さな一歩や、大きな選択のヒントになれば幸いです。これからも、この場所で、安心して自分の気持ちを話したり、他の人の話を聞いたりしながら、それぞれのペースで進んでいきましょう。
ダイキ: 今日は、本当にありがとうございました!
とみこ: ありがとうございました!
あさこ: ありがとうございました!
