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川デスゲーム

ジリジリジリジリ。ミンミンミン。
太陽の音とセミの鳴き声がいつも以上に両耳にまとわりつき聞こえてくる。

「熱中症」という言葉がまだ無く「熱射病」と呼ばれていた時代。当たり前のようにクーラーがない田舎の中学校の美術室がストレスの塊で爆発寸前だった。誰もが発狂しそうで目が血走っていた。集められたのは総勢約40人ほどの男女が混ざった生徒と美術の先生。この中から「犯人」を見つけなければいけない。

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ことの始まりはこうだ。中学2年生の頃に1泊2日で林間学校に行くことがあり、行き先は山の奥の「少年自然の家」。1日目のお昼には川遊び、夕方には飯ごう炊さんでご飯。夜にはキャンプファイヤーや肝試しなどスケジュールが立てられており、事前準備から学年一同の生徒が浮足立っていた。
翌日、2日目の昼は「選べる学習時間」となっており、事前の集計で【川遊び】【山遊び】【読書】などから選べるようになっていた。それぞれの時間割に担当の先生が付いており、【川遊び】には美術の先生(30代小太り男性)。【山遊び】には社会の先生(40代細身メガネ男性)、【読書】には国語の先生(40代おかっぱメガネ女性)。

「選べる学習時間」は90分。【川遊び】は水着を来て川で遊ぶことができ、【山遊び】はハイキングや昆虫採集、【読書】は山の離れの小屋で読書をする。

ここで特筆するべき情報は国語の先生(見た目ほぼ日本人形)は学校内で特に厳しい性格で常に怒っている感じで学年の生徒のほぼ全員から嫌われていたことだ。

ボクは友達と話し合って「こんなもん【川遊び】一択やろ!誰が山の中で本を読むねん!」と配られたプリントに【川遊び】の部分に丸をして提出した。

後日、学年全員の集計すると【川遊び】約40人、【山遊び】約15人、【読書】4人。当然の結果だ。後日、それぞれ各教室で班分けなどの説明会をするという。

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ここで最初の美術室に戻る。ここに集められのは【川遊び】を選んだ生徒だ。昼休憩に緊急で集められたボクらは詳しい説明がなく何があったのかと顔を見合わせている。

「アンケートで川遊びを選んでないのに説明会に来てる生徒は誰や?数が合わないぞ。」美術の先生が入って来た。

どうやら事前のアンケートで【読書】を選んでいた生徒の1人が【川遊び】に黙って変更したらしく、「少年自然の家側」に伝えていた人数と「学校側」で集計してる人数が違うことが分かり「それは誰なのか?」と集められたのだ。

「え?そう言われても。」

当たり前だがほとんどの生徒がアンケートでも学校側でも【川遊び】を選んでいる。次第に生徒全員がザワザワしだして答えを出せずに数分経った。実際の時間にすれば2分も無いようだったが、教室の暑さと理不尽な説明に体感時間はかなり長く感じた。

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ジリジリジリジリ。ミンミンミン。

「おい!誰やねん!昼休憩終わるぞ!」と30代小太りが大声を出した。日本人形に惑わされていたがこの美術教師もまあまあ嫌なヤツだった。小太りだからか僕たち中学生以上に汗をかいている。だからと言って「犯人」は自首をしない。誰も【読書】なんてしたく無いのだ。

「おい!はよ言えや!暑いねん!勝手にしろ!」と小太りが近くの椅子を蹴って教室から出ていった。今なら確実に問題になりかねない行動だが、当時の僕らは「こんなに小太りが怒ってるの珍しいな」と呆気に取られながらも息を呑んでただただ見てるしか無かった。

大きな声が響き渡った緊張感が空気中に留まり。主導者がいなくなった美術室。理性を失った大人を失笑気味に冷静に見ていた残された生徒たち。

「マジで誰やねん」

ある生徒がしばらくしてボソッと口にした。
僕たちは真犯人は見つけることが出来るのか。

次回へ続く。

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