blender 5.2 薄い壁 - Thin Wall
blender 5.2より、プリンシプルBSDFシェーダーに、新オプション値「薄い壁」が加わりました。直訳だと壁になりますが、薄い紙、布などが光を通す挙動をより物理的に正確に再現するオプションのようです。
環境 Blender 5.2.0 , Mac Mini M1 OS 14.4
基本
下のようなオブジェクトを用意し、ソリッド化モディファイアーで幅0.01mの厚みを加えた。
ソリッド化モディファイアーの適用は必須ではないが、厚さゼロの表面は非現実的なので、厚みを付けた方が「薄い壁」の効果も現れやすいようだ。

パワー50のポイントライトをオブジェクト内部に設置した。

レンダーエンジンをCyclesに変更し、レンダープレビューで確認。
「薄い壁」機能は、EEVEEでも動作するが、現状で効果が顕著で物理的な再現性はCyclesの方が高い。

「薄い壁」は、ほとんどの場合、サブサーフェスとセットで動作するので、サブサーフェスのウェイトを1.0とし、サブサーフェスを有効化。

サブサーフェスは、蝋やひとの肌などおもに有機的な物質の内部を光が通る現象を再現する機能で、「半径」は上からRGB(赤緑青)を表し、光が内部の物質に当たって反射する光の色を指定できる。デフォルトの半径の値はほぼ赤を表すので、表面が赤みを帯びている。

また、「スケール」は、光が浸透する距離を表し、異方性(Anisotropy)は、デフォルトのゼロでは、内部の物質に当たった光は全方向に反射し、値がマイナスの場合は手前に、値が正の場合は、向こう側(光の進行方向)に反射しやすくなる。

「薄い壁」にチェックを入れ、有効化。

オブジェクト内部のポイントライトの光が透過し、薄い紙のような材質の表情がリアルに表現されている。
なお、「薄い壁」が有効な場合、サブサーフェスの、半径、スケールの値は無効化される。このため、前述の通り、デフォルトの「半径」の値で現れる赤の反射光はない。

異方性が-1.0の場合、光はほぼすべて手前に跳ね返るので、光は透過しない。1.0では光の進行方向に反射するので、多くの光が透過している。
これまで、適度に光を透過させたいランプシェード、カーテン、木の葉などのマテリアルは、半透明(Translucent)BSDFをミックスさせるなどすこし工夫が必要だったが、そのようなマテリアルにはとりあえず「薄い壁」を有効にし、様子をみながらその他の値を調整してもよいだろう。

また、「薄い壁」は、ガラスマテリアルにも適用できる。顕著な差はないが、「薄い壁」をONにした下図右の方が、若干影が薄く、光を多く通している。インテリアシーンの窓ガラスなどに適用した場合、レンダリング時間の軽減にも役立つと思われる。

まとめ
透明、半透明のマテリアルの表情は、周囲の環境やライティングにも左右されますし、適正な設定を見出すのにちょっと苦労することが多かったのですが、ある意味、スイッチひとつで、比較的リアルな透光感を出せる便利な新機能だといえるでしょう。参考まで。
