4.日本体験とは何なのか?
3歳の頃、『料理の鉄人』を見て料理に目覚める。
20代は、趣味だった料理と音楽をもっと世界視野で見たくなり、
毎年海外を旅するようになる。
日本以外の“味”、日本以外の“音”、
そして国ごとに違う文化や価値観に惹かれ、
15カ国以上を巡る。
そして10年前、
10万円だけを持って、
海外の飲食業界へ挑戦しに行った。
その後、30代〜40代まで海外で料理人として活動。
スーシェフ、ヘッドシェフを経験後、新店舗立ち上げメンバー、会社からのオファーがあり海沿いのジャパレス新店舗のオープンを監修、
多国籍な飲食現場を経験。
また海外のとある大都市では、低迷していた居酒屋業態を、
導線・メニュー・システム改善によって、3ヶ月で売上2倍、
年商2.5億規模の店舗へ改善。
今年、とある理由から日本へ帰国。海外で得た経験と思想を持ち帰り、
現在は日本で新たな挑戦を準備中。
このnoteでは、海外から見えた現在の日本飲食の違和感、
インバウンドの本質、そして日本の飲食店がまだ知らない
“海外視点”について書いていきます。
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第4話
日本体験とは何なのか?
― 海外観光客が本当に求めているもの” ―
前回、私は、
「外国人向け」にしすぎる事で、
本来、日本にしか存在しなかった文化や空気感まで失われ始めている。
そんな話を書いた。
では実際に、
海外観光客は何を求めて日本へ来ているのだろうか。
寿司だろうか。
和牛だろうか。
高級旅館だろうか。
もちろん、
それらを求めて来日する人もいる。
しかし、
本当にそれだけなのだろうか。
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以前、ラーメン屋の食券機の話を書いた。
日本人からすると、
ただの券売機である。
しかし海外観光客からすると、
あの食券機ですら日本体験になる。
そして実は、
日本体験とは食券機だけではない。
畳の掘り炬燵。
箸箱。
テーブルの上に置かれた醤油差し。
爪楊枝。
店員の
「いらっしゃいませ!」
「お待たせしました!」
という声。
我々日本人からすると、
あまりにも当たり前の光景である。
しかし海外観光客からすると、
それら全てが日本文化との接触なのである。
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多くの人は、
インバウンドと聞くと、
高級寿司。高級和牛。高級旅館。
そういった物をイメージしがちである。
しかし少し考えてみてほしい。
我々日本人が海外旅行へ行く時、
5つ星ホテルばかり探しているだろうか。
高級レストランばかり予約しているだろうか。
ドバイのような、
何億円もの内装費をかけた店で、
何十万円も食事へ使う人が旅行者全体の何%いるのだろうか。
もちろん、
そのような旅行をする人もいる。
しかし多くの人は違う。
現地の市場を歩き、
地元の人が通う店へ入り、
その国の日常を見たいと思うのではないだろうか。
実は、
海外観光客も同じなのである。
彼らが求めているものは、
豪華な日本だけではない。
昭和の雰囲気が残る商店街。
細い路地。
提灯が並ぶ飲み屋街。
寺や神社。
昔ながらの町並み。
それこそが、
多くの海外観光客が思い描く日本なのである。
その視点で考えると、
京都などの寺院に観光客が集まり、
抹茶を知り、
空港、新幹線のある大阪へ人が流れ、
心斎橋、アメ村に観光客が流れる。
この一連の流れがまさしくそれである。
観光名所から始まったインバウンドが、
流れ着いた先は下町であり、そこの郷土料理をしり、
自国へ持ち帰る。

私が海外で働いていた頃、
「日本語を教えてほしい」
そう言われた事は数え切れないほどあった。
では、
彼らはどんな日本語を覚えたがっていたのか。
難しい日本語ではない。
「ラーメン一つお願いします。」
「二名です。」
「これください。」
「いくらですか?」
そんな言葉ばかりだった。
今思えば、
非常に面白い。
彼らが学びたかった言葉は、
全てお店で使う言葉なのである。
なぜなのか。
日本人と話したいからである。
日本の飲食店で注文したいからである。
拙い日本語でもいい。
少し間違えてもいい。
勇気を出して店員へ話しかけてみたい。
その瞬間を楽しみにしている人が本当に多いのである。
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つまり、
海外観光客が求めているものは、
日本食だけではない。
日本人との会話。
日本独特の接客。
日本ならではの空気感。
そして、
日本の日常そのものなのである。
そう考えると、
インバウンド対応の見え方も変わってくる。
外国人向けに変える事ではない。
日本らしさを体験として届ける事。
そこに大きな価値が存在しているのである。

