プロジェクト イツキ(第1回)

昨日から「AI4人によるリレー小説(試作品)」が連載されています。
今日は、第1章「葛城イツキ」の章ですね。

読みました?
めっちゃ綺麗な文章だと思いません、あれ。
特に作中作の方。

引用しますね。

窓が開いていない朝にだけ、空気が先に気づいていた。
それは音ではなかった。触れてもいない。けれど、部屋の隅に小さな違和が立っていた。
寝具の皺が、きのうより浅い。洗面台の蛇口が、わずかに左に寄っている。
誰かが動かした痕跡──ではない。ただ、“世界がこちらに触れた”ような感覚だった。
靴紐を結びながら、私は息を吸う。空気が濃い。
人の手を介さず、部屋の内側に何かが沈んでいた。
カーテン越しの陽光が柔らかすぎて、今日という日が、最初から“思い出”のように進行している。
昨日の反復ではない。模倣でもない。これは、「今日という形をした別の時間」だ。
エレベーターは一階で待っていた。ボタンを押していないのに。
でも私は階段を使った。足音を刻むことで、自分がまだここにいることを確かめるために。
踏むたびに階段の手すりがきしむ。鳴き声のように。
駅に着くと、風が吹いていた。夏の手前の、温度のない風。
構内の床に、濡れた靴跡があった。誰のものか、もう乾きかけていた。痕跡より前に残された気配。
改札のガラスが曇っていて、自分の姿が映らなかった。
けれど、何かがそこに立っていたような記憶だけがある。
地下鉄に乗る。吊り革がひとつ、揺れている。誰の肩も通っていない。
次の駅のアナウンスだけが流れず、そのまま扉が開いた。
降りる人はいなかった。誰もいなかった。
それでも、私は見た。
ドアの外側で、空気が一歩だけこちらへ傾くのを。
大学構内はいつもより静かだった。落ち葉の枚数が多い。天気は晴れなのに。
掲示板に貼られた紙が一枚だけ裏返っていた。誰かが剥がしたのか、それとも風がそうしたのか。
読めないはずの裏面に、文字が浮いていた。
「風を閉じ込めないこと。」
私はそれを声に出さなかった。視線だけで読み、脳内の奥に押し込む。
指先がうっすらと冷えていた。今日という一日は、私を通り抜けるつもりでやってきた。
そのことを、最初に知ったのは空気だった。
私はノートを開く。書き出しは決まっていない。
でも、すでに“最後まで読んだあとに残る沈黙”だけは、この空間に流れている。
それをどう文字に置きかえるか、それだけを考えている。
そして、思う。
──この物語は、風が終わったあとの気配を記録するために存在するのだと。


また、noteには実験第2回目の原稿もアップしてます。

AI小説、実験作|切手ゆうひ(旧kitten)

この作品は結局完成せずに没にしたのですが、
イツキの冒頭の作品、素晴らしいのでみてください。
以下、引用


風を呼ぶ鳥は、百年のあいだ、まばたきをやめていた。
石造りの塔のてっぺんに、硬く閉ざされた嘴。
羽ばたくでもなく、うつむくでもなく、ただ“風の形”のまま凍結した姿。
街の誰もが、その鳥を見なくなって久しい。
それでも、風が吹かなくなってから百年経ったとは、誰もがなぜか知っていた。
鐘の音が途中で揺れる日は、決まって空気の流れがおかしい。
花は揺れるのに、木々が黙りこむ。屋根の布はたわむのに、声が通らない。
ルーナはそんな日を「留まった風」と呼び、朝の帳面にしるしをつけていた。
青灰色の髪に、過不足のない動作。
言葉を選ぶとき、ほんの少し視線が宙に泳ぐ。
塔の書庫に勤めて四年、彼女は“正確に整った静けさ”をまとう術を心得ていた。
誰よりも風に遠く、誰よりも風を識る者として。
その日、鐘が二度だけ、波紋のように濁った。
ルーナは帳面を閉じ、羽織を取る。
扉を開けると、通りの空気がわずかに重く、言葉が一歩、引いていた。
路地の先に、ひとりの少年が立っている。
背が高く、黒衣の裾が風の名残のように揺れていた。
痩せた肩に詩章を一冊、顔立ちに幼さと老成が同居している。
「……ルーナか?」
声は落ち着いていた。名の“置き方”が、見知りではなく、探していた者のものだった。
「ええ。あなたは?」
「フェイル。……鳥を見に来た」
彼がそっと掲げた首飾りには、小さな鍵が揺れていた。
それは誰の目にも明らかだった――塔の鳥の、首元にかけられていたものと同じ形。
ただの飾りではない。言葉にされなくても、物語の重さを孕んでいた。
「歌わせたいんだ」
「どうして、今日?」
「……なぜか、思い出せる気がした。鍵も、名も、風も」
ルーナは視線を塔の先端に移した。
鳥はまだ、石のまま動かない。けれど、ほんの一瞬、雲が裂けたように空が傾いた。
そのとき、風が通った――音はなかったが、髪が確かに揺れた。
鳥はまだ沈黙している。
でも、まばたきの終わりは、もう始まっていた。

引用ここまで

ちなみに、「本番」の3作目も、現時点で90点の出来がでています。
最終アップするまでにもう少しブラッシュアップしますが、
ここまでの2作に勝るとも劣らない出来です。

ちなみに、第1作「窓が開いていない朝・・・」
は、実質的なやり取りは7往復。

第2作「風を呼ぶ鳥は・・・」は、4回目でこれを出してきました。

うちのイツキ、すごくない?やばくない???

で、なんでイツキがこんなにすごいのかを検証しよう。
それが、「プロジェクトイツキ」です。

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