誇大に解釈される「福音派の影響力」
米国とイスラエルの合同の対イラン戦争が起こったことによって、日本のマスコミでは、私自身がその系譜に入るであろう「福音派」が取り上げられ、非常に驚いています。これまで、ユダヤ人に対する偏見、イスラエルについての無知と偏見については注視して見てきましたが、福音派に対して似たように取り上げられているので、驚いています。
テレ朝ニュースのモーニングショーの番組のまとめが、ウェブサイトに掲載されていたので、それに沿って論じていきたいと思います。
FBI捜査対象者の発言を引用
今、トランプ政権がイスラエルに肩入れをし、その結果、支持率を落としているという所から始まっています。そしてトランプ政権内の、国家テロ対策センターのジョー・ケント氏が、辞任した理由の言葉を取り上げています。
「この戦争がイスラエル及びアメリカ国内での協力なロビー活動による圧力から始まった」
まず、この人物を取り上げていること自体が問題です。いかにも、彼が良心的な判断で辞任したかのように引用されていますが、イランに関する発言前から、情報漏洩でFBIの捜査対象になっていました。
そして、彼は極右の、ユダヤ陰謀論者であることも知られています。
その信条の中での発言を、一部引用されているのです。むしろ、今の問題は、極右の専売特許であった反ユダヤ陰謀論が極左やリベラルの中で受け入れられている、という点でしょう(関連記事)。
米国のイスラエル支持は、トランプ現象ではなく「伝統的価値観」
次に当番組が取り上げているのは、「トランプ政権がイスラエルとの結びつきを強め」ている、ということです。元来、民主党政権も伝統的、歴史的に、ユダヤ人との結びつきは長いです。在米ユダヤ人も、リベラル傾向が極めて強いです。それは、米国において少数派として生きて来た経緯があるからです。
ユダヤ人としての苦難の歴史もあるため、黒人との連帯も強いのです。全米地位黒人向上協会や黒人への慈善活動にユダヤ人が深く関わっていました。公民権運動の主導者キング牧師は、そういった背景から、1967年の六日戦争を擁護したのです。反ユダヤ主義との闘いにも従事していました。
今、彼と同じ発言をしている人々は、「彼も牧師であるから、福音派の危険な、ハルマゲドンをもたらそうとしている一味」ということになりやしないか?と思います。
伝統的なユダヤ・キリスト教的価値観
私は福音派の系譜にいると思いますが、日本在住の、熱心なカトリック教徒の米国人が、イスラエルについて尋ねると間髪入れずに、"I stand with Israel"と言っていました。それは、もっと歴史的な、伝統的な価値観に根ざしていますし、政治的に保守の人であれば、大方、国家観としてイスラエル支持が正しいと思っています。
むしろ、民主党内から出て来た極左の反イスラエル主義、またMAGAの一部や極右から出て来ている反ユダヤ主義と反イスラエル主義は、混迷している米国社会の最近の現象だと言えます。
自由民主主義の保守論者であれば・・
そして日本の保守論客においても、そのほとんど全てが非キリスト教徒ですが、自由民主主義の価値観に基づき、国家の使命としてイスラエルを支持する発言をする人々がいます。
発言が目立つのは、中東イスラム研究者の飯山陽博士です。イスラエルをことさらに支持する理由は彼女にはないですが、研究者として、また自由と民主主義の価値観、主権国家の重要性などの原則から、反イスラエルに偏りやすい中東学界の中で、唯一、明確にイスラエル支持の発言をすることが多いです。
また、ジャーナリストの櫻井よしこ氏も同じです。イスラエルのコーヘン大使にインタビューを行い、北朝鮮拉致救出運動を強く支持する立場から、イスラエルの行動に学んでいる姿を見ることができます。
MAGAの一部の反発は、事実に基づいてない
ところで、立教大学の加藤喜之教授が、当番組では数多く引用されています。その初めのコメントが、「MAGAの一部も反発している」であります。
公平を期して言えば、MAGAの一部の反発は、別にイスラエルとの結びつきだけの反発ではありません。自国の国益以上に他国を重視する外交姿勢に対しては、どこに対しても反発しています。ウクライナに対する武器供与で、MAGAや一部の保守派も、バイデン前政権を批判しましたが、さらに進んで、イスラエルへの武器供与に対しても、肩入れに対して反発している動きがあります。
けれども事実は違います。MAGAの一国主義の考えとは裏腹に、対外的な働きは、リターンとして自国の益になっているという原則です。イスラエルに関して言えば、投資することによって米国はかなりの利益が戻ってきています。
キリスト教信仰理解の根本的間違い
次に加藤教授は、「福音は「救い主イエスの到来に由来」していて、独特の終末論的な世界観」を持っていると解説したようです。
もしかしたら、「福音は」は「福音派」というべきところを書き間違ったのかもしれません。(福音が、独特の終末論的な世界観と断じていたら、たぶん、キリスト教全体が猛反発をするでしょう。)
しかし、「福音派」が一定の終末論を奉じている、であっても、それは基本的な間違いです。終末論については、福音派の中でさまざまな見解があり、今に至るまで神学議論が活発な分野です。
おそらくは、ディスペンセーション神学にある終末論、すなわち、千年王国前再臨説、また患難前携挙説を意識していながらの発言なのではないかと想像します。
しかし、加藤氏の説明で、最も間違っていると感じるのは、次の見解です。
「終末の時にイスラエルを攻めてくる敵にイランが含まれている。最後の戦争でイスラエルを守るためにイランを攻撃することは、神の民としてなすべきことだという解釈」
これが、引用されている発言のうち、最も間違っています。
救いは神のわざ、終末は救いの完成
私も、聖書預言についての著書があるぐらい、終わりの日や聖書預言には関心の強い方です。
しかし、ハルマゲドンでイスラエルを守るために、イランを攻撃するなどという発想が、到底浮びません。これは、終末論以前の、キリスト教の根本教義から外れた、全く的を射ていない、藁人形の批判になっています。
キリスト教では、救いはこう展開します。①人は罪を神に犯した。②罪によって神から引き離された。③自分の努力や行いによっては救われない。④だから、神ご自身がご自分の独り子をこの世に遣わし、人として現れた。⑤彼が、十字架によって死に、私たち人間の身代わりとなって死なれた。⑥三日目によみがえり、弟子たちに現れた。
この使信を「福音(良い知らせ)」と呼び、この方を信じる者が罪が赦されて、イエスのよみがえりによる、永遠の命を持つのです。
ここに、何一つ、私たちの行いによって、神の働きに関わる余地などありません。人には、何一つ良いものがなく、堕落しており、ただ神の憐れみによって、キリストがしてくださったことによってのみ、救われると信じています。
これがキリスト教全体の教えであり(使徒信条)、少なくともプロテスタントの「恵みによる救い」の教えであり、福音派であればなおさらのこと、自分たち人間の入る余地のない、神の恵みの主権による救いを信じています。
神は、人が滅びるのを願われない
終わりの日については、こう考えます。「キリストによる神の憐れみが示されたのに、それを人々が拒み、悔い改めず、罪と不法が地上に満ちる。主は、長いこと忍耐しておられるのだが、最後には正しく裁かれる。」
そうした中で、イエスは弟子たちに、世の終わりについて起こることを語られたのです。キリスト者たちが世界で迫害され、また、イスラエルにも試練が起こり、滅ぼされかける。しかし、天変地異が起こり、そしてイエスが戻ってこられる、と教えています。(マタイ福音書24章)
だから、ハルマゲドンは罪の結果であり、それをイエスご自身も、その弟子たちも願っていない。けれども、そうなってしまうという現実を語っている。そこから救われるために、罪を悔い改めて、神を信じ、イエスを信じなさいと説きます。そして弟子たちには、しっかりとこれらのしるしを見て、目を覚まし、祈り、用意していなさいと命じておられます。
気象庁が地震を予測するが、地震を願っているか?
私は、気象庁の地震予報をたとえに使います。南海トラフ地震、首都圏直下型地震など、いつ起こってもおかしくない。備えるようにと呼びかけて久しいですが、誰も、①それが起こることを願っていない。②それを自分たちで引き起こそうと思っていません。そんなの無理に決まっています。
ハルマゲドンが起こり、イスラエルを助けるためにイランと戦うという発想は、この、キリスト教にある救いの教えから、あまりにも遠くに離れ、空想話のようになっており、まったく異質なストーリーになっています。
参照動画:
イスラエル支持よりも中絶・同性婚反対
そして、「福音派」がトランプ政権を支持する理由として、
1.イスラエル寄りの姿勢
2.中絶・同性婚などの問題で利害が一致」
ということを、番組があげています。
1.については、すでに論述したように、イスラエル支持は、もっと裾野が広く、福音派を越えて、民主党支持者にも通底している、伝統的な価値観に近いものです。必ずしも福音派だから、ということではありません。
2.については、福音派の支持は目立つでしょう。そして、終末論についてはいろいろな意見が分かれる福音派ですが、中絶反対に対しては、消極的にでもトランプ氏を支持し、投票した福音派の人たちが多いのではないか?と思います。同性婚の反対も、中絶ほどではなくても根強いでしょう。
というのも、バイデン前政権において、その前のオバマ政権においても、急進的にリベラル政策を推進したために、聖書的価値観が失われるのではないかという危機感はかなり強かったと思います。
しかし、プロライフについていうならば、福音派と同じぐらい、いやそれ以上に、長く生命尊重を信じ、教えとしてきたカトリック教会の支持も(消極的に)あったと思います。
目立ってはいませんが、トランプ支持の背景には、福音派だけに特化された価値観や政治思想ではないと言えるのではないかと思います。
「ポーラ・ホワイト牧師」について
さらに、福音派のテレビ伝道師ポーラ・ホワイト女史が政権内の「信仰局」のトップになったと報じています。
しかし彼女は、福音派の間では、その教えていることについて、保守的な福音派はかなり距離を置いている、独自の神学を持っており、しばしば過ちが警鐘されている繁栄の神学を奉じていると言われています。彼女については、再び後述します。
クリスチャン・シオニストとは?
加藤教授は、「福音派の6割」は、イスラエル維持・存続思想のシオニスト」と呼んでいます。すでに述べましたように、「人間の行いによって、神の計画を支えなければいけない」かのような、キリスト教の根本的教えを逆さにするような歪みのある表現をしています。
「ユダヤ人が、先祖伝来のゆかりの地、シオン(イスラエル)に帰還する。」というのがシオニズムであり、これを、啓蒙思想にルーツを持つかたちで帰還運動にしていったのが始まりです。世俗の運動です。
しかし、聖書信仰の復興の歴史も始まりました。ピューリタンの時代から、聖書には、終わりの日にイスラエルの回復が約束されていることを知り、それを説いていきました。それで政治の世界でも、目に見える形でイスラエル帰還運動が起こっているのを見て、これは神からのものだと信じるようになっていったのです。
つまり、「シオニズムは世俗のものだが、そこにも神が介在しておられる」ということで、少し遠巻きに見ながら神をあがめている、というほうが、実情に近いでしょう。
そしてさらに積極的に、従来のキリスト教会の迫害の歴史があり、ユダヤ人との和解の重要性を感じて、積極的に関わっている人々たちもいます。聖書の預言が実現していることを、当事者的な思いで参与している人々もいます。しかし、「自分たちで終わりの日、イエスの再臨を早める」という考えは、一切、持っていないです。
マシュー・テイラー氏の「イスラエル絶対擁護」解説は正しいか?
ジョージタウン大学の客員研究員である、マシュー・D・テイラー氏はこのように述べたそうです。
「イスラエルを守るためなら、米国の福音派の中には、たとえトランプ氏が第3次世界大戦を引き起こそうとも、経済を崩壊させようとも『神の御心』と言い張って支持し続ける人が一定数いる」
聖書預言を信じている福音派の私が見て、目眩がしそうなぐらい、びっくりする考えですが、なぜ、そんな藁人形的な過激な発言ができるのか、逆に興味が出ました。
彼の著作を調べると、以下がありました。
その一定数とは、いわゆる「新使徒運動」について取り扱っているものです。この動きについては、「福音派全体」としては、かなり距離を取っています。また、なかなか実態がつかめないのも実情です。日本でも著書や翻訳本があります。
ただ、私が疑問なのは、政治またトランプ政権を動かすほどの影響力になっているのでしょか?心象や類推ではなく、客観的事象として、まだはっきりとしたものを見ていません。
今回の対イラン戦争についてはなおさらです。テイラー氏の著作の要約を読みましたが、トランプ政権の信仰局のポーラ・ホワイト氏は、彼の警鐘を鳴らす新使徒運動とは異なる、カリスマ派の運動の中にいる人だと著述していいます。ただその運動の中の人々と関係はしている、というに留めています。
マルコ・ルビオ国務長官のイラン戦争の説明
閣僚の中に、トランプ大統領の側近、マルコ・ルビオ国務長官がいます。もし「福音派」を取り上げるなら、彼の発言や信仰に、もっと焦点を合わせるべきだというのが、私の個人的な思いです。チャーリー・カーク氏の追悼式で、彼は雄弁な福音宣教者となっていました。
この彼がもし、イスラエル支持のために、第三次世界大戦が起ころうが、経済が破壊しようが、神のみこころだと信じているのであれば、彼はトランプ大統領の側近ですから、分かります。しかし、彼はイラン戦争については、国務長官として、端的に、その開戦理由を何度となく語っています。
1.先制自衛と脅威の排除(イランの米軍への攻撃が切迫していた)
2.第二の北朝鮮阻止(核開発の永久放棄)
3.テロの「蛇の頭」の制圧(イスラム過激派の工作の黒幕)
4.文明の保護
5.イラン国民の解放への期待
6.力のよる平和
この是非は横に置いておいても、これは明らかに、この番組に出て来た論者が説明するような、宗教的動機ではありません。国の為政者であれば取るはずの、政治的、合理的な理由です。
政治家の宗教用語の使用 ≠ 宗教動機
ちなみに、ネタニヤフ首相も同じです。ネタニヤフ政権には、閣僚に極右議員はいますが、彼自身は世俗派であり熱いシオニストではあっても、トランプ大統領と同じく、宗教的な表現は使っても、主権国を守るための行動しかと取っていません。
宗教的な言辞を演説の随所に並べていることは、イスラエル政治においては頻繁に行われており、世俗派の政治家も行っていることです。初代首相ベングリオンは、左派の労働党であり、世俗派です。しかし「イスラエルで、奇跡を信じない者は現実主義者ではない」という有名な言葉を語りました。
米国政治もそうであり、歴代の大統領また政治家が、共和党、民主党変わらずに使っています。
民主党のバイデン大統領なども、プーチン露大統領から核の脅しを受けた時に、「ハルマゲドン」を懸念すると発言しています。政治文化の中で宗教的用語を使うのは、常のことです。
「第3次世界大戦を引き起こす」のは、神の御心でなくサタンの企み
先ほどの、テイラー氏の発言は、主流の福音派としては、真逆の説明です。福音派は、聖書信仰を持っています。ある中東関係の専門家が、正しく福音派をこう表現しました。「聖書を素直に信じている人たち」そのとおりです。
ハルマゲドンが言及されている聖書の箇所を引用します。そのまま、信じています。
13 また、私は竜の口と獣の口、また偽預言者の口から、蛙のような三つの汚れた霊が出て来るのを見た。14 これらは、しるしを行う悪霊どもの霊であり、全世界の王たちのところに出て行く。全能者なる神の大いなる日の戦いに備えて、彼らを召集するためである。
15 ──見よ、わたしは盗人のように来る。裸で歩き回って、恥ずかしい姿を人々に見られることのないように、目を覚まして衣を着ている者は幸いである── 16 こうして汚れた霊どもは、ヘブル語でハルマゲドンと呼ばれる場所に王たちを集めた。
世界の諸軍隊が、イスラエルにあるメギドに集結します。(ハルマゲドンは、「メギドの山」という意味のヘブル語)それを行っているのは、竜、獣、そして偽預言者です。竜は、12章ではっきりと「悪魔」と特定されています。そして悪魔にそのまま自分を明け渡した政治権力者として、獣が現れ、獣のスポースクマンが偽預言者です。
神ではなく、悪魔の勢力が、第三次世界大戦を引き起こすのです。当然、福音派は、「イスラエルのために第三次世界大戦が起ころうとも構わない」などと、まるで思っていません。
大統領府での「按手」の写真
当番組でも、拡散されたホワイトハウスでの写真が紹介されていました。
この姿を、あたかもトランプ大統領を神に仕立て上げ、祭り上げているかのように受け止め、拡散している学者などのXポストがありました。キリスト教会について、無知です。「按手」と言います。教会では人のために祈る時に、いつもしていることです。
そして歴代の大統領、例えばオバマ大統領も、大統領府で祈られている写真もあります。これも伝統的にしてきたことの延長であり、ことさらに危険であると仕立て上げるのは、いかがなものでしょうか?
しかも、戦争遂行のために、それを宗教的に是認するために祈っているとする文脈で紹介されています。これに対して、そこに参加した人々で二人、私が前から知っていた指導者がいました。一人はグレッグ・ローリーという伝道者・牧師です。彼が反論しています。
Some people say Christians are happy about war in the Middle East because we want to see Armageddon happen. Nothing could be further from the truth.
— Greg Laurie (@greglaurie) March 4, 2026
We want peace. In fact, the Bible specifically tells us to “pray for the peace of Jerusalem.” Our desire is not conflict, but that… pic.twitter.com/BkdKtcf8RI
「キリスト者たちが中東の戦争を喜んでいる、なぜならハルマゲドンが起こることを望んでいるからだ」と言う人がいます。しかし、それは全くの誤りです。
私たちは平和を望んでいます。実際、聖書には「エルサレムの平和のために祈りなさい」と明確に記されています。私たちの願いは紛争ではなく、この地域の人々が自由、とりわけ神を礼拝する自由を享受することです。
そして、もう一人、ジョニー・ムーアー氏も、少しだけ存じ上げています。彼は、世界の宗教少数派(キリスト教に限らない)のために奔走する人で、戦争を推進するとは裏腹の活動の実績があります。
ジョニー・ムーア牧師@JohnnieM はエブラハム・クーパー師とナイジェリアのキリスト教徒迫害を視察に行き、 https://t.co/fIEyDS2cdK昨年は「ガザ人道財団」を率いてガザ市民に直接食糧を配給。
— ユダヤ人と日本 / Jews and Japan (@JewsandJapan) April 18, 2026
最近「福音派」の影響力が語られるが、遠くから論じるのではなく、彼のような人物を直接知ることも必要。 https://t.co/pAYq4DWMBG
「軍事宗教自由財団」(MRFF)からしか出て来ていない情報
加藤教授は、米軍の指揮官が、兵士たちに、「トランプ大統領は、ハルマゲドンを引き起こし、イエス・キリストの地上への再臨を告げるために、イランで合図を火を灯すよう、イエスによって選ばれたのだ」と話していると、言っています。
この財団については、その代表個人の事しか出て来ず、今回の指揮官の発言についても、このサイトからの情報しか出てきません。裏が取れていないのでは?というのが現状だと思います。
Military.comという米軍関連のウェブサイトで、議員たちが、このことについて真偽を正す質問を、国防省にしているという報道だけがあります。
これが本当なら、かなり問題だと私も思いますが、米国政治において、戦争の継続には議会によって制限されており、この指揮官の発言が、どこまで影響を与えているかは、かなり根拠薄です。
ヘグセス国防長官の信仰
ヘグセス国防長官が「福音派を信奉」しているとの紹介があります。
しかし福音派の終末論は、多岐にわたります。そして、彼が信じていると思われるのは、亜流に属する「支配神学」や「再建主義」に近いものです。
しばしば、「ハルマゲドンを期待している」として、いわゆる「ディスペンセーション神学」が問題視されますが、実は、再建主義とは対極にある考えです。
ディスペンセーション神学を受け容れていれば、終わりの日に起こることはすべて「神がなされること」であり、「教会が関わることではない」ということです。ましてやハルマゲドンが起こる時には、その前に携挙にあずかると信じていますから、ハルマゲドンに関わりようがありません。イラン戦争がハルマゲドンを引き起こすなどという発想には、なりません。
かつて、加藤教授と同じ主張をしている人がいました。「核戦争を待望する人びと」は、かなり日本でも売れました。
上のページの書評に、実情をかなり正確に把握している方が、酷評をしています。この文章を読めば、すべて説明されていると言えるでしょう。
良く書けている本である。これを読むと、危険なアメリカのファンダメンタリストたちが、終末の早期到来を実現するために、核軍備やイスラエルを支援している・・・というような結論に、皆が至るだろう。
しかし、著者のハルセル氏は、イスラエルや(ディスペンセーション系前千年期再臨説を信じている)キリスト教ファンダメンタリストについて、どこまで知っているのだろうか。
正真正銘のキリスト教ファンダメンタリストたちは、終末の時は神が定めておられると信じている。よって、核戦争を人間が始めることにより終末が人間の力によって早まるなどということは、彼らによれば、ありえないことになる。もともと、キリスト教ファンダメンタリストたちによれば、最終戦争なるものは、ボーン・アゲイン・クリスチャンたちが天に挙げられてから(携挙されてから)の出来事なのである。携挙の事実が未だないのにも拘らず戦争を始めてどうなる、といったところだろう。更に付け加えれば、イスラエルの神殿建設も、携挙後の出来事だと信じられている。
もちろん、中には、核戦争や神殿建設を促進すれば終末が早まるんだ、というような、亜流の終末論を信じている人もいるのだろうけれど、もしそうならば、正統と亜流の終末論者の違いを押さえた上で論を進めるべきだろう。
ちなみに、イスラエルに住んでいる人々が皆シオニストというわけではないし、熱心なユダヤ教徒というわけでもない。それからブッシュ大統領だが、彼のPR戦略が功を奏して、彼の「篤信」は世界中に知れ渡っているが、歴代の大統領に比べて、教会出席率はぐっと少ない、という点をここに付け加えておく。
ブッシュ大統領をトランプ大統領に書き換えても、すべて今の状況に通じますね。
聖書預言の性質を、伝道者、高原剛一郎氏も以下の動画で説明しています。宿命論ではなく、人々が、神の預言を聞き、へりくだって悔い改めることができるように書いている、ということです。
宗教戦争で心配しなければいけないのは、イスラム・イラン政権のほう
結語のようにして、加藤教授は以下のように述べておられます。
「問題は一部の教会の中で信じられていることが、政府内、国防総省、軍関係者により語られること。これでは軍事作戦ではなく、宗教戦争になりかねない。宗教が軍事に関係してしまうと、自らが善で相手側はサタンや悪魔とみなし、妥協が困難になる」
この発言の問題は、次です。「この言葉をそのまま、今のイスラム・イラン政権に持って行ってください。」まさに、彼らこそが宗教的動機によって動いて来たし、動いています。
イランの憲法、革命防衛隊の指針の中に明確に、マーディ(イスラム版のメシア)の到来が示されており、それに基づいて現政権は、何度となく、長年に渡り、アメリカやイスラエルを除去しなければいけない癌として明言、事実、イスラエル残滅を目指すヒズボラ、ハマス、フーシ派に資金援助と技術援助を行い、さらに、イスラエルとアメリカを滅ぼすべく、核兵器の開発をしてきました。
これらを、論拠を挙げて証明することは実に容易です。膨大にあります。
「トランプ政権に福音派信仰」というならば・・
その宗教的な狂信こそが、この政権を動かしていると最も強く訴えているのは、トランプ政権の中では、マルコ・ルビオ国務長官です。
あえて宗教的動機というのであれば、キリスト教信仰の中で「宗教が政治や軍事に入って来てはいけない」という確信があるからこそ、自制があるからこそ、最大の警戒をしているのです。聖書に基づく終末論を知っているからこそ、「シーア派の終末論とつながる政治イデオロギー」が、余計に見えてくるのであり、それで警鐘を鳴らしていると言えるかもしれません。
宗教戦争というならば、初めからそう自分たちで言っている、イスラム・イラン政権、その国是に目を向けるべきであり、その破壊の対象とされている米国に向けるのは、「ねじれている」と感じています。
「福音派ヘイト」になる危険
むしろ、次のことを懸念します。ナチスドイツのヒトラーは、ユダヤ人が世界を裏で操っているとするシオン議定書を信じていました。しかし、ユダヤ人が世界支配をもくろんでいるのではなく、ヒトラーこそが、ドイツの第三帝国の後継者として、世界を支配する野心に駆り立てられていました。それをユダヤ人に投影していた、とも言えないのか?
宗教戦争の危険を言うならば、まず、その危険を、あまりにも明白に持っている現イスラム政権に向けるべきであり、その攻撃対象となっている米国が、そうであるというのは、宗教的動機で戦争をしてきたイランを、結果的に擁護することになりやしないか?というのが、
すでに世界中に反ユダヤ感情に基づく事件が数々起こっており、米国ではキリスト教会に対する事件が起こっているのです。私は去年、久しぶりに米国に行き、かつて通っていた教会を訪れましたが、他の教会も、セキュリティーに配慮していました。(参照動画)
これは深刻です。ユダヤ・ヘイトのみならず、福音派ヘイトが拡散されるのではないか?と懸念します。
