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一気読み「発達障害とダイエット」40キロ痩せた先生と高校に合格した生徒


第1話「先生!俺、筋トレに興味がある!」

青白い顔をした中学生。不登校で発達障害のケンスケ(仮名)が言った。
ずっと家にいて体力が落ちてきたのが心配になってきたらしい。

ここはNPO法人アジャスト犬山教室。
先生は自らも不登校だった経験を持つ凸凹公認心理師。発達障害や不登校の子供たちの興味関心に合わせて個別最適化された学びをデザインするのが得意だ。

この手法をジョイニングという。

随伴(ジョイニング)とは、セラピストが対象者のシステム(家族や個人の内界)に溶け込み、一員として振る舞うことで、内部から変化を促す技法のこと。

この手法は非常に効果的で、信頼関係を強固に築いていけると同時に、子どもたちの内面にも変化を起こすことができる。また、介入者である私自身にも変化が起こる。

誰にでも変化は苦しいし、不安なものだ。
その気持ちを生徒と一緒に共有できるから、一緒に体験できるから、心理師の私はこの方法を好む。

子どもたちの世界に飛び込む。
不登校で発達障害のケンスケと、心理師の私に楽しくて、劇的な変化が起こる。
今回の世界は「筋トレ」
どんな変化が起こるだろうか。

いつも通り「一緒にやろう!」と飛び込む。

ルールは子供たちと同じ条件で共に学び成長すること。
ケンスケは家にいる中学生だ。ジム、プロテインは無し。
じゃあ先生も家トレ。ジム、プロテインは無し。

スタート時の状況を整理しておくと
先生は40歳。体重は110キロ。運動経験はない。
ケンスケは中学生。不登校。発達障害。運動不足。

結論から言っておく。
3年後、先生は110キロから69キロになり、ボディビルの大会に出ることになる。
3年後、不登校で発達障害のケンスケは細マッチョになり、高校生になり元気に通う。

そんな凸凹の二人の試行錯誤の記録。
凸凹筋トレチャレンジ

第2話 ピラティスと懸垂

【先生】大人からスタートをきる。

体重110キロの巨漢がいきなりハードな筋トレをするのは自殺行為。
なにせ、ちょっと動くと膝が悲鳴を上げるくらいだ。
「これならできそう!」と見つけたピラティスにチャレンジしてみる。

ピラティスもきつい!!

正直、ナメていた。
画面上では、女性が優雅にピラティスをしている。
現実では、おじさんが苦悶の表情でピラティスのモノマネをしている。

膝を抱えて後ろに転がると首がミシミシ。
片手で上半身を支えていると右手がミシミシ。
老化と体重が容赦なく現実を見せてくる。
それでも1日数分で終わるから何とか続けられた。

この情けない有様をケンスケに共有した。
自分の体重すら支えられない現実は、心にくる。でも、この『かっこ悪さ』をケンスケに見せることが、支援の第一歩だった。

【生徒】「やった!1回、できた!」

ケンスケは自宅で懸垂にチャレンジした。
元々、活発な子。痩せ型なので、予想に反して身体が上がる。

翌朝、身体は筋肉痛でギシギシ。それが嬉しかった。
腕立て伏せも合わせてやってみた。
筋肉痛でギシギシだけど、アジャストに行く。
先生に共有すると嬉しそう。でも少し悔しそう。

先生は今までの生活を振り返って、後ろを向いた
生徒はこれからを考えて、前を向いた

すごく小さくて、重要な1歩を踏み出した。

第3話 コロナ禍襲来

コロナ禍になった。教室は1か月お休み。
それが先生とケンスケの凸凹筋トレチャレンジを激変させることになる。

【先生】太っていた原因がわかり、痩せ始める。

習慣になっていた外食。学習塾なので、終わる時間は22時。そこから事務作業をして深夜に帰るため、帰りに外食がお決まりのパターンだった。

緊急事態宣言。
そのルーティンがコロナ禍で外食ができなくなった。

それから一気に体重が落ち始める。2020年~2021年で15キロ痩せて95キロ。

環境が変われば、行動が変わる。心理学でいう『環境調整』の効果を、私自身が身をもって体験することになった。

こうなると体が軽くなり、筋トレが楽しくなる。
一日数分だったトレーニング時間は、1時間程度に増える。
ダンベル10キロを購入。トレーニングにバリエーションが出てくる。

ケンスケに報告する内容は、「かっこ悪さ」から、「楽しさ」に変わった。

【生徒】筋肉がつかない原因がわかり、勉強を始める。

コロナ禍で少し気分がリセットされて、少しずつ学校に行き始めた。
受けられる授業の1つが体育。
授業が始まる前に体育館で懸垂をやるのが楽しみになってきた。
少し、背中や腕が太くなってきた気がする。嬉しい!

でも、しばらくすると目に見えて筋肉が増えなくなった。
こうなると筋トレが楽しくなくなる。これだと、ただしんどいだけだ。

焦ってきて、アジャストで筋トレ仲間の先生に相談をすると、
「栄養とか骨格の勉強したらわかるかもよ」とアドバイスをもらう。
勉強は嫌いだけど、筋トレのために勉強をしてみる。

中学2年生理科の「消化・吸収」、「骨格」
先生に、図や動画で解説してもらって、理解していく。
筋肉に必要な栄養素や、筋肉がどのような働きをしているかを知る。

中学理科の『消化・吸収』。かつてはただの暗記対象だった文字が、『効率よく筋肉を作るためのバイブル』に見え始めた瞬間だった。

先生に報告する内容は、「楽しさ」から「興味深さ」に変わった。

先生は、コロナ禍で太っていた原因を知った
生徒は、コロナ禍で勉強が筋トレに役に立つことを知った

心理士のワンポイント解説:『学びが「自分事」に変わる瞬間』

不登校や学習に抵抗がある子にとって、教科書の文字はしばしば「自分とは無関係な記号」に見えています。 しかし、本人の強い興味関心(今回は筋トレ)と教科書の内容がリンクした瞬間、それは「生きた知識」へと変貌します。
無理に机に向かわせるのではなく、本人の『知りたい!』という欲求が爆発したタイミングで、そっと適切なツールを提示する。
私たちが大切にしているのは、この「支援のタイミング(レディネス)」を見極めることです。

第4話 先生は歯が折れ、生徒は心が折れる。

【先生】筋トレをしすぎて歯が折れる。

スタートから1年と半年が経ち、体重は25キロ減少した。
10キロダンベルでは物足りなくなり、41キロダンベルを導入。
めちゃめちゃ重い。だがそれが勲章のように思えた。

体重も順調に落ちてきた。体が軽い。楽しい。
しだいに、凸凹先生のこだわりの強さが牙をむき始める。
毎日のトレーニング時間の強度と時間が徐々に伸びてくる。
60分が70分になり、120分になるまで時間はかからなかった。
もっと強くなりたい!!!と毎日、限界まで追い込む。そんな日々。

ある日のこと。右の親知らずがとても痛い。
毎朝食べるぱさぱさの鶏むね肉が食べられない。
プロテイン無しのこのチャレンジに鶏さんは必須なのに。

意を決して苦手な歯医者さんに行くと
「筋トレで歯を食いしばりすぎて、奥歯割れてますよ!」と言われ
即、歯を摘出。2日間は筋トレ禁止。

グロいので白黒

ケンスケに共有すると爆笑された。

【生徒】筋トレをして心が折れる。

ケンスケは順調に筋トレを続けるが、学校の負担は大きい。
次第に筋トレをしない日が少しずつ増えてくる。

「今日もできなかった」とイライラする。
完璧じゃないと失敗。しだいに、ケンスケの白黒思考が牙をむき始める。

「できないなら、止めちゃおう」と思った。でもその前に、先生に伝えた。

先生は笑いながら
「毎日やるんじゃなくて、毎週やるに変えればいいじゃん」
と言った。

1日中に 1回以上筋トレをやるのが毎日継続
1週間中に1回以上筋トレをやるのが毎週継続
1か月中に1回以上筋トレをやるのが毎月継続
どれも継続。

「1週間継続」に切り替えた。先生の歯が折れた話はお腹が痛いほど笑った。
これって筋トレになるんじゃないか?
気持ちが楽になった。

先生は筋トレ禁止。体を休める。
生徒は筋トレ禁止。心を休める。

今回の学び:心理師が伝える『白黒思考』との向き合い方

『完璧でなければ意味がない』という考え方は、子供たちの挑戦の芽を摘んでしまいます。『スモールステップ』と『柔軟な目標設定』を通じて、完璧ではない自分を受け入れ、自己肯定感を育む支援は大切です。

第5話 先生はマッチョの大会に出ると決意、生徒は高校に行くことを決意

【先生】マッチョの大会に出ることを決める

先生が大切にしている支援の考え方は
「子どもに〇〇をしてほしいと思うなら、まず大人が〇〇をする」

子どもに本を読んでほしければ、大人が本を読んで楽しんでる姿を見せればいい
子どもに筋トレをしてほしければ、大人がムキムキになればいい
子どもに勉強をしてほしければ、大人が勉強を楽しめばいい
子どもにチャレンジしてほしければ、大人がチャレンジを楽しめばいい。

一緒に筋トレをしているケンスケはそろそろ次の進路を考える時期。
彼にとって大きなチャレンジになる。大きな不安や葛藤があるはず。
彼の不安や葛藤を共に感じるために、一緒に走るために、
先生も大きなチャレンジをしなければいけない。

「自分にとって、大きなチャレンジとは何だろう」と考えた。
大きな不安や葛藤があるアウェーな環境がいい。

「運動経験の無い元110キロのおじさんがマッチョの大会に出ること」を思いついた。

考えただけで怖い。
何キロ減量すればいいのか。どんな大会があるのか。何もわからない。
だが、それがケンスケと体験を共有することにつながると思えた。
ケンスケにマッチョの大会に出ることを伝えた。

【生徒】高校に行くことを決める。

自分が読み書きが苦手なことがわかってきた。
先生の勧めでキーボードを使うと、内容がするすると頭に入ってきた。
パソコンが勉強の相棒になった。

筋トレから始まった理科の興味は、社会へ広がってきた。
得意になったパソコンを使って勉強をしていく。楽しい。
自分が物の形を立体的に考えるのが得意なことがわかってきた。
先生の勧めで3Dプリンターで再現する勉強を始めた。

竪穴住居の再現

自分でも驚くくらい集中できた。
でも数学と国語はまだ怖い。数学なんて何もわからない。
でも、興味が不安に打ち勝った。
先生に「おれ、高校に行く!」と伝えた。

心理師の一言:並走者としての自己開示

支援者とは、高い場所から引き上げる人ではなく、隣で一緒に汗をかく存在でありたいと考えています。大人が自分の弱さ(110キロからの挑戦、未知への恐怖)を開示することで、子どもは「あ、怖くてもいいんだ」と安心し、一歩を踏み出す勇気を持てるようになります。

第6話 先生は減量でふらふら、生徒は受験勉強でふらふら

【先生】食べているものをリストアップする。

コロナ禍の時に「気軽に食べているもの」の影響を知った。

のどが渇いたときに気軽に飲んでいた微糖のコーヒー。(水分補給なら水を飲め!!)
微糖なのに砂糖さんが全然「微」じゃなかった。

スーパーに行ったときに見つけた半額のお惣菜。(安いからってたくさん買うな!!)
値段は半額だけど、カロリーは半分じゃなかった。

そんな「気軽さ」はコロナによって止められた。
代わりに体重の減少は110キロから80キロまで止まらなかった。

気軽さによって太ったんだなぁと思い知らされた。

体重の推移

【先生】目標を設定する

大会はレモンクラシック2024osakaに決めた。選手ファーストで初心者でも参加しやすいこと、情報発信が分かりやすいことが決め手だった。

次に目標体重を決めたいが、見当がつかない。
とりあえず痩せればいいや!と、がむしゃらにスタートを切った(これが大失敗だった。)
期間は半年。一ヶ月で2キロ減少をノルマとした。

【先生】暗中模索する

朝ごはんを固定した。旬の野菜と鶏むね肉、キノコ、カレースパイス、白米の毎朝カレーライス。

まとめて作って冷凍する。

昼ご飯と晩ご飯は奥さんが作ってくれる低カロリーご飯。おやつは食べない。
これだけカロリーを落とせば痩せるはずだと思った。

【先生】体重は落ちないけど、気力は落ちてくる

110キロから80キロまでの「ダイエット」は面白いくらい痩せられた。楽しかった。
80キロからの「減量」はなかなか減らない。スタートして2ヶ月で2キロしか減らない。
努力量は2倍なのに、結果は半分しかでない。

エネルギーが足りなくてフラフラする。
一日仕事をしていると途中で呂律が回らなくなってくる。

何か間違っている。でも、分からない。
全然、楽しくなかった。

ケンスケに、辛さを伝えた。

【生徒】興味のあることをリストアップする。

高校に行くことは決めたけれど、どんな高校があるのか、自分に何が合っているのか分からない。

先生と高校との相性表を作っていく。
「興味のあること」、「高校でやってみたいこと」をリストアップ。
でも、それだけじゃ足りない。
「どうしても苦手なこと」も考えてみる。
僕の場合、書くことがそうだ。字が歪んで見えて、気持ち悪くなってくる。

【生徒】目標を設定する。

興味のあることがもっと知れて、苦手なことにはサポートがある学校を探すことに決めた。

次に勉強の目標を設定したいけど、検討がつかない。
「無理のないペースでやればいいよ。昔に比べて、進路先は豊富だから焦らなくて大丈夫」と先生は言う。
先生に内緒で「みんなに追いつくこと」を目標に決めた。(これが大失敗だった)

【生徒】試行錯誤する。

先生は「大丈夫」と言ったけれど、不安はある。アジャストは宿題もない。
学校も少ない量しかでない。配慮なんだそうだ。
クラスのみんなは多いのに!本当に大丈夫なのか不安になる。

とにかく家で教科書を眺めてみる。やっぱり字が歪んで見える。
頭が痛くなった。
でも「みんなと同じこと」をすれば追いつくはずだと続けた。

【生徒】好きなことには専念できるけど、勉強はやる気は落ちてくる

アジャストでの「学び」は続けられた。興味のあることはどんどん腹落ちする。楽しかった。
みんなに追いつくための「勉強」は楽しくないし、頭に入ってこない。気が付くとゲームをしていたりする。
努力量は2倍なのに、結果は半分しかでない。
数学の教科書を読んでいるとフラフラする。
大好きなゲームも調子が悪い。

何か間違っている。でも、分からない。
全然、楽しくなかった。

先生に、辛さを伝えた。

二人の失敗ポイント

一緒に二人の失敗について考えていく。
共通点は「ありもしない目標をがむしゃらに追いかけていたこと」

先生は「とりあえず痩せる」
生徒は「みんなに追いつく」

「とりあえず」とは、どこまでなのか。「みんな」とは、誰なのか

自分の現在地を無視して、「外側の基準(とりあえず、みんな)」に自分を合わせようとした瞬間、あんなに楽しかった挑戦は、ただ自分を削るだけの「苦行」に変わってしまった。
先生は「健康」を置き去りにして、 生徒は自分の『心地よさ』を置き去りにした。
二人がフラフラになりながら辿り着いた答え。 それは、努力の量を増やすことではなく、「ものさし」を自分の中に作り直すことだった。

心理士のワンポイント解説:『外的な基準』がメンタルを削る理由

私たちが何かを「辛い」と感じる最大の原因は、努力の量そのものではなく、「コントロール感の喪失」にあります。

「みんなに追いつく」という目標は、自分の外側に基準があるため、どれだけ頑張ってもゴールが動いてしまい、自分で状況をコントロールできなくなります。これが学習性無力感や、今回のような「フラフラするほどの疲弊」を招きます。

大切なのは、他人との比較(外的な尺度)ではなく、自分の特性や現状に基づいた「自分専用の尺度」を持つことです。
「何キロ痩せるか」よりも「今の摂取カロリーは適切か」を。
「みんなに追いつく」よりも「自分に合う学び方は何か」を。
焦燥感に襲われたときこそ、一度立ち止まって、その『ものさし』が自分にフィットしているかを点検する必要があります。

第7話 自分だけの『基準』を見つける。科学的減量と、個別最適化された進路

【先生】自分だけのゴールを決める

今回の失敗の状況を整理してみよう。
ボディメイクの大会にでようと思ったスタートは「生徒とチャレンジを共有したい」と思ったから。
ゴールは「生徒が自分に合った高校に合格して、楽しく学ぶこと」。
けっして、自分がバキバキに痩せて大会で優勝することではなかった。

本来のゴールにたどり着くまでには、他にも様々なやる事がある。
もちろん「生徒に勉強を楽しく教える」もその1つ。
無理に減量をして、エネルギーが足りず、呂律が回らない状態は、減量以外の要素を犠牲にしているじゃないか!と気づく。
あぶない。あぶない。また、こだわりに飲み込まれて突っ走るところだった。

目標を再設定する。
「いい先生をしながら、健康的に痩せて、笑顔で大会にチャレンジする」

【先生】テクノロジーを使って、自分に合った方法を探す

摂取カロリーと消費カロリーの収支をマイナスにすれば痩せるのがダイエット。極端な話、食わなきゃ痩せる。ただし、脂肪も筋肉も減っていく。

摂取カロリーと消費カロリーを少しだけマイナスにしながら、筋肉を維持していくのが減量。栄養パランスを考える。筋肉は残り、脂肪が減っていく。

勉強をする。減量で大事なのはPFCバランス(タンパク質・脂質・炭水化物)
人工知能を使って、一日の食事の内容を分析していく。
細かい計算は苦手だから、1か月ごとに実行する作戦を決める。

そんな試行錯誤しているうちに、ケンスケの受験日が近づいてきた。

【生徒】自分だけのゴールを決める

先生と一緒に今回の失敗について状況を整理していく。
高校に行こうと思ったスタートは「自分は勉強が苦手じゃなくて、方法があっていない」と気づいたから。
ノートと鉛筆の勉強は無理だけど、キーボードを使ったら勉強ができる、
ゴールは「自分にあった高校に行って楽しむこと」
けっして、「みんなに追いつく」じゃない。

本来のゴールにたどり着くには、勉強以外にたくさんすることがある。
「高校を探す」こともその一つ。
僕が追いつこうと思っていた「みんな」って誰だ?
その「みんな」によって、また勉強が嫌いになりそうだった。
焦りや不安に飲み込まれて潰れてしまうところだったことに気づく。

目標を再設定する。
「僕の個性に合った高校を探して、勉強が好きなまま高校生になる」

【生徒】自分に合った高校を探す

先生と相談をして、通信制高校の合同説明会に行ってみた。
どの学校もすごくウェルカムな雰囲気、先生たちも優しそう。

印象的だったのは、パソコンで学習する学校がけっこうあること。
手書きのレポートの学校でも相談すれば、パソコンでレポート提出に変更もオッケーの学校もあった。
入試でもタブレットで受験もできるそうだ。

「最近の高校は、いろんな選択肢がある。探せば自分に合った高校は見つかる」
先生の言ったとおりだった。

先生と一緒に考えた「興味のあることリスト」を参考に高校を探していく。
3Dモデルを作るのが得意なことを、合同説明会で通信制高校の先生に伝えると
「それはすごいね!!」とびっくりしてくれた。

いくつか気になる学校の高校見学に行った。
先輩たちも楽しそうにしている。おしゃれな先輩たちがたくさんいる。
高校生はやっぱりかっこいい。あぁなりたいと思った。

たくさんあった高校の中で、自分に合う高校が見つかった。
背伸びをせず、入ってから自分がのびのび学べる場所。
受験をすることに決めた。

受験日はすぐにやってきた。

心理師のワンポイント解説:『その目標、誰のためのもの?』

努力しているのに行き詰まったとき、私たちは知らず知らずのうちに「目的」と「手段」を間違えてしまいます。 減量は「かっこよく健康であるため」の手段であり、勉強は「人生を豊かにするため」の手段です。それ自体が目的になり、自分を壊してまで追い込むのは、本末転倒といえます。

また、今の時代、苦手なことを根性で克服するのではなく、テクノロジーで補完するという考え方が不可欠です。 先生がAIでカロリー計算をしたように、生徒がパソコンでレポートを書くように。 「自分に合った道具」を使いこなして、「自分だけのゴール」へ向かう。 その『最適化』こそが、アジャストが大切にしている「学びのデザイン」の形です。

第8話 スランプのトンネルから抜け出した2人。先生はバキバキになり、生徒は合格を決める!

【先生】減量方法が決まる。

本格的な減量までに、しっかり勉強をして、PFCバランスを考え直した。
体重は順調に減ってきていて、やっとダイエットから減量に切り替えることができた。

2024年1月から2024年3月の変化は80キロから76キロ。
精神的にも安定し、体の元気も残っている。
これならいい先生も続けられる。

すぐにケンスケの入試当日がやってきた。

【生徒】高校が決まる。

受験までに、しっかり面接の練習をして、将来の夢を考え直した。高校、将来の夢を自分の言葉で語れるように。
不安は順調に減ってきていて、やっと「みんなに追いつく」から「前の自分を追い越す」に目標を切り替えることができた。

2024年1月に入試がある。
精神的にも安定し、心の元気も残っている。
これなら良い受験生ができる。(ちょっと不安だけど)

僕の入試当日がやってきた。

【先生】筋トレをして祈る。

受験当日。
不登校の子たちは、不安が極限になり入試当日に試験会場に行けない場合がある。一緒に筋トレに励んできた彼はどうだろうか。
祈りながら、一緒に取り組んできた筋トレをする。

一週間後。
ケンスケは「受験終わった!その日に『合格!』って言ってもらったよ!!」と報告してくれた。
※学校によって正式な発表の前に、口頭で合格が告げられることがある。彼が受験したのは柔軟に対応してくださる高校。彼の努力が伝わったのだろう。

【生徒】筋トレをイメージして動く。

受験当日。
怖い。面接で何も話せなくなったらどうしよう。
先生とやってきた筋トレを思い出す。最初は嫌々でも、ちょっとだけ体を動かすと意外と最後までできることが多かった。
寒さじゃなく、緊張でがちがちの足をベッドから下して、ちょっとだけ準備を始める。流れで制服を着る。歯を磨く。朝ご飯を食べる。諸々準備をして、家を出る。

何度も見学に行った高校なので、知っている先生が面接を担当してくれた。
「将来の夢は何ですか?」と面接官の先生
「はい。私の将来の夢はまだ決まっていませんが、デザインをすることに興味があります。塾で3Dプリンターでデザインを勉強しました」と僕。

そこからは早かった。
筋トレと同じ。始めてみると、意外とスルスルっと進む。
後で偉い先生に「君は合格だね。いつから登校練習しよう?高校に慣れなきゃね」と言ってもらえた。
合格まで、スルスルの延長にあった。

アジャストの先生に報告した。

【先生】生徒のその後をイメージする。

ケンスケは見事に合格を決めてきた。嬉しいし、誇らしい。
でも、これはスタートだ。

これから、生徒は高校生になる。入学式、初めての授業、同級生との関り。いろいろなことがチャレンジになるだろう。

彼のアジャストの卒業は3月末。目前に迫っている。
どんなアジャストのゴールを作り、どうやって彼を送り出すのか。
必死に考える。

【生徒】先生のその後をイメージする。

先生は順調に痩せている。昔の面影はもうない。前はベイマックスみたいな先生だった。ムキムキになってもベイマックスみたいに優しいけれど。
ボディメイクの大会挑戦は8月だから、その時、僕はアジャストにはいない。

先生は初めての大会に出る。もっとムキムキの選手と対決したり、もっと若い選手と対決したりするんだろうか。

僕のアジャストの卒業は3月末。目前に迫っている。
僕の卒業後、先生はどうやって大会にチャレンジするのか。
楽しみに想像する。

心理師のワンポイントアドバイス『スモールステップが不安を溶かす』

不登校や特性のある子にとって、受験当日の不安は、時に身体を硬直させるほど強大なものです。 そこで彼を支えたのは、「合格するぞ!」という強い意志ではなく、「とりあえず足を一歩出す」という、筋トレで培った身体感覚でした。

大きな目標に圧倒されそうなとき、私たちはフリーズしてしまいます。しかし、「靴下を履く」「玄関のドアを開ける」といった『意識せずともできる最小の行動』にフォーカスすることで、脳の不安中枢は沈静化し、身体が自然と動き出します。

また、二人がお互いの未来(先生の大会、生徒の高校生活)を想像し合っているのも重要です。これを「予期的肯定」と呼びます。
今の関わりが「合格して終わり」ではなく、その先の人生も続いていくという安心感が、卒業を控えた子供の心を安定させるのです。

第9話 40キロ痩せた先生の約束

【先生と生徒】成長を確認する

あっという間に別れの日。
不登校がきっかけで出会ったケンスケは、もうすぐ高校生。
一緒に筋トレもしてきた彼は堂々としていて頼もしい。

今までの振り返りをしながら、成長を確認していく。
「高校でこんなことあっても、俺なら大丈夫!」と思える要素を1つずつ丁寧に確認していく。

彼との関りの軸になったのは、筋トレと3Dプリンターやマインクラフト。
筋トレで理科の学習(例えば、中2理科の消化吸収の単元)
3Dプリンターで社会の勉強(例えば、金閣寺を勉強して再現)
マインクラフトで社会の勉強(例えば、弥生時代の暮らしを再現したり)
クリエイティブな子なので、この子のもの作りへの関心を通して大嫌いだった勉強に取り組んでいった。

弥生時代の再現

こうやって形に残っているので、お話に花が咲く。
それぞれの作品に思い出と成長が詰まっている。

ケンスケだけでなく、先生も「もう大丈夫!」と自信が大きくなっていく。
この数年で大きくなったのは、自信と知識と、もちろん筋肉!

【先生と生徒】約束する

ケンスケはこれまで頑張ったので、次に頑張るのは先生。
8月のボディメイクの大会に出るので、生徒にYouTubeで生配信されることを伝える。すぐにiPhoneのカレンダーに大会の日を登録してくれた。

先生の不安はたくさんある。大会までに絞り切りたいけれど
脂肪と同時に筋肉も落ちてしまわないだろうか
どんな食事が適しているだろうか。
体脂肪率が減ってきても、ちゃんといい先生はできるだろうか。

ケンスケと、110キロからスタートしたダイエットをの振り返りをしながら、先生の成長を確認していく。

他の生徒さんとやっていた魚捌きチャレンジ(次回はこのシリーズ)で魚を食べる機会が増えてから、順調に痩せ始めたこと
早く寝て早く起きると、前日の疲労を残さずに働けること

いろんな成功体験があった。自信が大きくなっていく。
この数年で、小さくなったのは先生の体、大きくなったのはもちろん筋肉!

最後に「いつか大会で入賞出来たら、あなたの高校に会いに行くよ」と約束をする。
キラキラの高校生に、バキバキの先生が会いに行くのだ。

【先生】40キロのダイエットに成功し、いざ大会へ!

4月。ケンスケはもう新生活をスタートしている。一緒に頑張ってきた彼は高校生。週1回していたお互いの頑張りを共有する機会はない。
あの子が高校生活を頑張っている場面を信じながら、先生も頑張っていく。

大会まで残り4か月。体重は76キロ。
体重は減ってきているが、別の不安が出てきた。
大会に出たことがないから、大会のポージングがわからない。見よう見まねでやってみるけれど、画面越しの選手とは全然違う。
いくら絞れたとしても、これじゃ勝負にならない。

ここで大きな決断をした。
ずっと守っていたルールが「生徒と同じ条件(ジム、プロテイン無し)」
でもケンスケも今は高校の先生に習っている。だから、先生も教わる。
よく見ている筋トレユーチューバーの加藤昌平選手にポージングレッスンをお願いすることにする。

5月。体重は75キロ
憧れの加藤昌平選手にポージングレッスンをお願いする。
初めてのジムは、何だか男臭い雰囲気でちょっと入りにくい。
右も左もわからない。
土足で入ってもいいのか迷っていると、近くのマッチョが優しく教えてくれた。そのマッチョが加藤選手だった。

いろんな動画を見てきたけれど、世間のイメージとは違い、マッチョはとても繊細で優しい。自分の体を丁寧に観察し、分析し、鍛え上げる。同じように頑張って鍛え上げた他者に対してリスペクトし、丁寧に接する。
その作業は自分の本業の心理師にも通じるなぁと思う。

指導前(上)、指導後(下)

肩甲骨を広げながら、腹筋を閉める。
不器用な自分は、言葉ではわかっていたけれど、スキルとして実行できたことはなかった。
自分は自己理解や他社理解の専門家ではあるけれど、身体の理解の専門家ではないから。
加藤選手が丁寧に自分の不器用さに付き合って、一緒に考えてくれる。
少しずつコツがつかめてくる。嬉しい。楽しい。

6月。
大会まで後、2か月。体重は73キロ
加藤選手に「後、5キロくらい絞ってください」と言っていただけたので、ゴールは70キロに決まる。
元々、110キロだったから40キロのダイエットをすることになる。

加藤選手にもう一つアドバイスをいただいたのが「日焼け」。考えたこともなかった!日焼けサロンが一瞬頭によぎったが、ちょっと怖い。
本を読むから(他の生徒さんとやってる「凸凹本読みチャレンジ」は後日掲載予定)、庭で本を読みながら日焼けをすることにする。

7月。体重は72キロ。
ここにきて停滞期が来る。2週間体重が変わらない。
変数で考えられるのは、日焼け、疲労、ストレスなどのむくみ。
むくみは水分だから大丈夫!とわかっていても焦ってくる。

無駄に焦ってもしんどいだけなので、自己分析をしていく。他にできることはないだろうか。
1つ思い当たったのは、小麦と水分。
元々、小麦と相性が悪いので小麦製品を一時的にカットする。
身体が水分を保持しなくても良いや!と思えるくらいの水分を摂る。
もう多くのことはできないから、この2つだけにこだわってみる。

8月。大会前日。体重は70キロ。
目標の40キロの減量に到達した。ここまで長かった!

大会前日のホテルで

心理師のワンポイントアドバイス

支援のゴールは、支援者がいなくなることです。
生徒さんが「自分なら大丈夫」と思える要素を一つずつ確認していく作業は、心理学でいう「自己効力感」の定着にあたります。
また、今回先生がプロの指導を仰いだ決断も、教育的に大きな意味があります。
私たちは往々にして「一人でやり遂げること」を美徳としがちですが、本当の自立とは、「困った時に、適切な専門家を頼れること(健全な依存)」です。
生徒さんが新しい高校で先生に心を開くように、大人もまた、自分の限界を認めて新しい師に学ぶ姿を見せる。 この「学び続ける姿勢」の共有こそが、離れていても二人を繋ぐ強い絆(メンタルモデル)になります。
卒業は「関係の終わり」ではなく、「お互いが別々の場所で、同じように挑戦し続けるフェーズ」への移行です。

最終話 40キロ痩せた先生の大会チャレンジ

【先生】アラフォー先生の挑戦 大会当日

不登校で発達障害のケンスケとの約束した
「大会で入賞出来たら、ムキムキの状態で高校に会いに行くこと」
そのために、元110キロでアラフォーの先生は生まれて初めての減量にチャレンジした。
結果、40キロ痩せたし、健康で動ける体を手に入れることができた。
もう十分満足しているけれど、不登校のあの子との約束は果たさなければいけない。せんせい、がんばる!

会場に着くと、マッチョの群れ!!!

周りを見渡すと、20代くらいの若者ばかり。
パンプアップ用のヨガマットを持っていたり、明らかに自分と違う「こなれ感」
服の上からでも、筋肉が詰まっているのがわかる。
あまりのマッチョの群れに萎縮しそうになるが、不登校だったケンスケが受験に臨むときの緊張も同じ感じだったんだろうな~と思い出すと肩の力が抜けた。
入場すると、まずは申し込んでいた記念写真を撮る。せっかくなので思い切りふざけたい。塾のムキムキ先生風の写真を撮ってもらう。

【先生】初大会にチャレンジ

サポートは奥さんにお願いをした。選手控室に女性は一人だけ。
エレベーターも女性に譲ったり、控室にいるマッチョたちはとても紳士的だった。
普段から黙々と体を鍛えている人たちは、偉そうでもなく、乱暴でもなかった。
見よう見まねでパンプアップをしてから、ステージ裏に行く。
周りは自分よりも二回りくらい年下で、二回りくらい体が大きいマッチョたち。
自分も筋トレをずっとやってきたので、その体を作る大変さがわかる。
何年も何年も体を鍛え、食べ物を我慢し、作り上げてきた体。
目の前にいる人たちの背景を考えると、つい尊敬の目で見てしまう。
達人たちに胸を借りるつもりでステージに上がった!

【先生】結果は?

ボディメイクの大会は得なスポーツだと思う。
例えばプロ野球だと、選手と同じベンチに座ることはできないし、選手のプレーを目の当たりにすることはない。
でも、ボディメイクの大会は精一杯筋トレして辛さを乗り越えて絞れば、憧れの身体をしたマッチョたちと同じステージに立つことができる。
これほど贅沢なことはない。
ステージ上。目の前に、必死の形相でバックポーズをする選手たちがいる。
その表情を見るだけで、積み上げてきた年数と努力の数が自分とは圧倒的に違うことがわかった。

真ん中の水色が私

結果は自分の名前が呼ばれることなくあっけなく終了。
4年かけて40キロダイエットをして、2年かけて筋トレをしたけれど、ステージの上にいたのはたった10分ほどだった。
初めてのステージは全く歯が立たなかった。
不登校のあの子との約束は守れなかった。
減量明けのケーキは頭がおかしくなるほど美味しかった。

【先生】タイムリミットは3年

さて、この文章を書いている今は2026年3月。
あの初挑戦の大会から2年の月日が流れた。
初大会の翌年2025年にまた別の大会にチャレンジした。初挑戦よりも絞り込み臨んだ大会はセカンドコールには呼ばれたものの表彰までは届かず。
またもや、バキバキの身体でピカピカの高校生に会いに行くことができなかった。
約束したケンスケは今年高校三年生になる。今年がラストチャンス。
最後の1年で結果を出すために、減量を始めている。
この文章は最終回だが、もし次の大会で入賞して彼に会いに行けたら「追記」を書こうと思っている。

最後に「人は相互に変化する」

「見つけてあげるよ!君だけのやる気スイッチ」
あのCMが苦手だ。
人を「ワンタッチに一方的に」変えることなんてできない。

人は変化を嫌う。変化は時間がかかり、負担がかかる。
不登校のあの子と私が数年かけて心身を変えていったように。
人は相互に関係しあう。子どもを変えようとすれば、大人も必ず変わる。
あの子が高校へ行き、私が40キロ痩せた。そんなお互いが内面の変化が起こったように。
「やる気スイッチ」
比喩なことはわかっていても、その裏に隠れた
大人の「変化をせず安全でいたい」という気持ちを勘ぐってしまう。
変化は子供も大人もしんどい。しかしそれを乗り越えて、お互いが影響しあうと、そのしんどさは半分変化の効果は2倍以上になる。
彼と出会わなかったら、私は数年以内に糖尿病になっていたと思う。
もしかしたら入院していたかもしれないし、この世にいないかもしれない。
お互いが恩人。そんな良い関りだった。

筋トレ余話「記憶に残らないカロリー」の恐怖

地元の犬山で講演会があると「なぜそんなに痩せれたんですか?」と質問をいただくことがある。

教育において、大人の心身の健康はとても大事。
太っていたころよりも、良い関りができている実感があるし、イライラすることも少なくなった。

嬉しくて、講演会ではニコニコ答えさせていただいている。

「ジムに通った!」とか劇的な変化でははなく、何気なくやっていた日常の行動を変えたら自然と痩せていった感覚が近い。
私はダイエットの専門家ではない。
「40歳、110キロ、運動経験無し」のおじさんが、なぜ痩せられたのかを心理師目線で考えていく。凸凹チャレンジのこぼれ話。

「記憶に残らないカロリー」の恐怖

自分の仕事は夕方から夜にかけて。
お昼ご飯を食べるのは12時なので仕事が終わる22時まで晩御飯を食べることができない。

教えているときにお腹が空くと集中が途切れるのは困る。
「ぐぅ」とお腹が鳴るのもちょっと恥ずかしい。
仕事が終わるまで授業の合間に簡単に取れるおにぎりやお菓子などを食べて空腹を紛らわせていた。

正直、お腹が膨れるものであれば何でも良かった。
何を食べたか記憶から消えるくらい何となく食べていた。
でも、記憶は消えても食べたもののカロリーは消えてくれない。
食べた分だけカロリーは蓄積していく。

また、拍車をかけたのは、脂肪細胞から排出される「疲労物質」
仕事が終わったときに疲れていて自炊する元気がない。
太れば太るほど「外食して帰るか」が多くなっていく。

時間帯が遅いので、外食の選択肢が少ない。
必然的にファミレスや中華レストラン。

今だからわかるが、当時食べていたメニューは脂質と炭水化物の塊だった。
ファミレスではフライドポテトをよく食べていたし、中華レストランでは油をたくさん使う。ラーメン、炒飯。
味が濃いものを食べると、ジュースが飲みたくなる。コーラにファンタにフラペチーノ。

自分がどんな内容のものを食べているのかを考えたことがなかった。
炭水化物、タンパク質、脂質を知っていたけれど、意識したことがなかった。
自分の体が悲鳴を上げている事実を見ていなかった。

どんどん太っていき、気が付けば110キロに達していた。
健康診断には、脂質異常症、脂肪肝、肥満と書かれていた。

記憶に残らないカロリーを見える化してくれたコロナ禍

そんなときに生徒と始めたのが、凸凹筋トレチャレンジ。
意気揚々と筋トレを始めたが、110キロ→95キロで体重は減らなくなった。成果が出なくなると、やる気は落ちてくる。

半年ほど体重が減らない我慢期間が続いたときに、あの世界的なパンデミックが起こった。
緊急事態宣言で飲食店は22時以降は開いていない。仕事が終わったころにはすでに閉まっている。
意識的に外出を控えるようにもなった。必要最低限の食材をスーパーで買い、自炊がメインになった。

仕事が暇になり、活動量も減った。
「あぁ。また太るなぁ」と諦めていたが、予想外のことが起こる。
緊急事態宣言の半年間で体重がスルスルと落ち始めた!

運動量は変えていない。むしろ、外出しないので活動量は減っていた。
ここで「運動で体重は減らない」と気づいた。

変わったのは食事だった。
油の多い中華料理、フライドポテト、フラペチーノを食べなくなった。
コロナに罹りたくないから、免疫を高めようと麹を作り始めた。
野菜をたくさん食べ始めた。

ここでもう一つの転機があった。
「凸凹さかな捌きチャレンジ」(今後、投稿予定)を始めたこと。
魚捌きに興味がある子と、魚捌きにチャレンジし始めた。
魚料理が増えてきて、肉料理が減ってきた。

麹、野菜、魚が自分の食事と体重を大きく変えてくれた。
比べるものができて、今まで記憶に残らなかったカロリーを可視化できた。
「食べ物で体重は減る」と気がついた。

何より変わったのは意識

嫌なことがあると決まり文句のように「老化だな」と言っていた。
走ることができない。集中が続かない。腰が痛い。
太って心身が動かないことを、時間のせいにしていた。

痩せて動けるようになると、全てのことに前向きになることができた。
心も体も軽くなった。
今はできることが増えるたびに自分の体に「今までごめんなさい。」と謝る。走ることができる。勉強に集中できる。飛んだり跳ねたりできる。

「あのまま太っていたらどうなっていただろう」と想像することがある。
おそらく、1年かからず糖尿病になっていただろうし、仕事も続けられなかったかもしれない。
生きていないかもしれない。

痩せて健康的な体は、ギリギリで戻ってきてくれた。運がよかった。
この健康がいつまでも続くように、栄養の勉強を続けている。
この楽しい仕事がいつまでも続くように、筋トレの勉強を続けている。
この楽しい人生がいつまでも続くように、様々な幸運に感謝を続けていく。

心理師のワンポイントアドバイス『無意識の行動と、環境の力』
私たちが「何となく」食べてしまう時、それは食欲ではなく、ストレスや疲労を埋めるための「自動操縦モード」になっています。
特に忙しい大人は、食べる行為が単なる「空腹補填」になりやすく、味わいや満足感が置き去り(記憶に残らない)になりがちです。

ここで注目すべきは、私が「自制心」だけで痩せたのではなく、コロナ禍という「強制的な環境の変化」で変わった点です。
心理学では、個人の意志よりも「環境」が行動に与える影響を重視します。

「頑張って痩せる」のではなく、「自然と痩せてしまう環境」をデザインすること。
これは不登校支援における「環境調整」と全く同じ原理です。
自分を責める前に、自分を取り巻く「環境のスイッチ」を点検してみる。
それが、心身を健やかに保つための第一歩になります。

ピカピカの高校生に、ムキムキの先生が会いにいく

不登校で学習障害のケンスケ(仮名)と一緒に筋トレを始めたのが小学6年生の頃でした。彼は引きこもりでガリガリ。私(公認心理師)は110キロでぶよぶよ。
それから二人で励まし合って筋トレを続けて、3年間が経ちました。
ケンスケは筋肉がつき自分に自信がつき、自分に合う高校に合格しました。
私は筋肉がつき自分に自信がつき、40キロ痩せることができました。

彼には感謝しています。健康診断でいつも脂肪肝などD判定だった私が健康的な体を手にいれることができたから。
感謝の気持ちから「先生が、いつかボディメイクの大会で入賞できたら、ケンスケの高校に会いにいくよ」と最後の関わりの時に約束しました。

それからは一人で筋トレを続けました。

ケンスケが高校1年生の年。
私は初めての筋肉の大会にチャレンジ。全く歯が立たず予選落ちでした。

ケンスケが高校2年生の年。
私は2回目の筋肉の大会にチャレンジ。少し手応えを感じましたが、やはり予選落ちでした。

今年2026年。ケンスケが高校3年生の年。今年がラストチャンスです。
今年を逃すと、ケンスケが卒業するので間に合いません。
私は3回目の筋肉の大会にエントリーしました。

今日のお話は、元110キロの公認心理師がラストチャンスの年にボディメイクの大会に挑戦した結果のお話と記録です。

ダイエットには何度も失敗してきました。このお話が読む人に少しでもお役に立てることを願っています。

ダイエットに使ったアプリ

子供たちの興味関心事に一緒にチャレンジするときは、彼らと同じ条件にしています。
中学生のケンスケのお小遣いでは、ジムも行けないし、プロテインも飲みません。私も同じ条件で、自宅でトレーニングをしていますし、プロテインも飲みません。
トレーナーもいないので、トレーニングも食事も自分で考えていきました。

減量は2月からスタート。2月時点の体重は80キロでした。
そこから6月21日の大会当日までに10キロ減らすことにしました。

使ったアプリは2つ。
オムロンの体重計と、ノートブックLMです。

オムロンの体重計はアプリで1週間単位の体重の平均がわかります。
摂取カロリーに関係なく、体重は日々変化します。
ストレス、疲れ、病気、便秘、睡眠不足などで浮腫み、体重が1キロ増えることもあります。
毎日の体重の増減に一喜一憂していると、心が疲れてしまうので、1週間平均の体重の減少を確認していきました。

ノートブックLMはグーグル社が提供しているAIです。
チャットGPTやジェミニと違う点は、使用者がアップした情報のみからアドバイスをしてくれること。
他のAIはインターネットから学んだ大量の情報からアドバイスをしてくれますが、個人にぴったりの意見は言ってくれません。これによって、毎回答える内容が変わったりして、混乱してしまいます。

ノートブックLMには、オムロンで計測した体重の推移や、日々の筋トレ記録、インボディの計測結果、食事内容などを入力していきました。そのファイルの中から意見を考えてくれるので、自分専用のAIして活躍してくれました。

日々の食事やトレーニング内容は、この二つのアプリを確認しながら考えていきました。

ダイエットに使った切り札

ダイエットを続ける半年間はとても長いです。
最初から、低カロリーな食事、ハードな運動にしてしまうと心身が疲れて続けることができなくなります。

そこで、1ヶ月ごとに切り札を使っていくことにしました。
例えば、
・2月:夜の白米をカット。
・3月:白米を玄米に変更。
・4月:魚を日曜、月曜、火曜、金曜に食べる。
・5月:アルコールをカット。
・6月:有酸素運動を入れる。
と1ヶ月ごとにやることを追加していきます。
こうすると、停滞期を防ぐことができますし、最初から飛ばしていないので続きやすいです。

体重は順調に落ちていき
2月は79キロ、3月は77キロ、4月に75キロ、5月73キロ、6月70キロと停滞期もなく、順調にダイエットすることができました。

日々の筋トレ、ダイエットを順調に準備することが出来たので、残すは大会当日のみになりました。

ダイエットに最適な食べ方

今年の大きな発見は蒸篭(せいろ)でした。

ダイエットの9割は食事と言われます。
消費カロリーよりも少ない摂取カロリーにすれば確実に痩せます。
わかっているけれど、続かない原因の1つが食事が楽しくなくなること。

パサパサの鶏むね肉。マヨネーズをつけないブロッコリー。
仕事をしながら、そんな食事を半年も続けられません。

イオンでぶらぶらしていると、3コインズで見つけた蒸篭。以前から興味がありました。購入して早速使ってみました。

パサパサになりやすい鶏むね肉も蒸すことでジューシーに仕上がります。
野菜の栄養価も落ちにくく、サラダよりも柔らかくて食べやすい。
彩も含めて楽しむことができました。

JBBFの奈良大会にチャレンジ

今回、エントリーした大会はJBBF奈良のオープン大会。
薬物検査もある厳格な大会を選びました。
今までの大会よりも落ち着いた雰囲気で、過ごしやすかったです。

ケンスケと約束したのは、入賞したら高校に会いにいくことです。
6位までが入賞できるので、6位以内を目標にしました。

今回、身長別と年齢別にエントリーしました。
身長別は二十代の若い子達ばかり。
年齢別はトレーニング歴が10年前後の選手ばかり。
トレーニング歴3年の私はどちらのカテゴリーでも挑戦者です。

大会結果は?

身長別は5位。年齢別は6位と、両方とも入賞することができました。

さぁ、バキバキの身体で、約束通り彼の高校へ行ってきます!

公認心理師のワンポイントアドバイス

「約束」というの最強のブースター』
人が行動を継続し、困難を乗り越えるとき、最も強い原動力になるのは「自分のため」ではなく、「大切な誰かとの約束(関係性)」です。

私にとって、2回の予選落ちを経てもなお、過酷な減量や自宅トレを続けられたのは「ケンスケにバキバキの姿で会いに行く」という約束があったからに他なりません。
心理学では、未来のポジティブなイメージを共有することを「予期的視点」と呼び、これが高いレジリエンスを生み出します。

そして何より、私が3年間かけて「負けても諦めずに挑み続け、最後に有言実行する姿」で見せられたこと。私の理想の教育です。

子どもに「頑張れ」「諦めるな」と言葉で指示するのではなく、大人が自ら「しんどいけれど、約束のために挑む姿」を生きた例題として差し出す。

ケンスケはこの夏、高校の門をくぐってくる私の姿を見て、言葉にならない「何か」を受け取ってくれるはずです。

「人は相互に影響し合い、共に変われる」。その大前提を、ケンスケとの出会いと私の身体が3年間の奇跡として、見事に証明してくれました。

よかったら、応援のいいねや、ダイエットの決意のコメントをしていただけると嬉しいです!どうぞよろしくお願いします!

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