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お手盛りのガラパゴス 防衛産業は「今日もやりたい放題」



2015年のZAITEN5月号掲載記事です。

「武器輸出三原則」の改訂を目指すことを決めた安倍政権。「国際紛争の当事国またはそのおそれのある国」への輸出を認めないという項目を削除した「武器輸出管理三原則」を3月には閣議決定する方針だ。
 そんな中、昨年末に、住友重機械工業が防衛省に納入する機関銃の試験結果を改竄していたことが発覚。しかも、40年近くにわたって改竄を続けていた。発覚を受けて、防衛省は今年5月までの5カ月間、指名停止措置を発動。住友重機械は6200万円余の損害賠償を支払うこととなった。しかし、わが国の防衛産業の“お手盛り”はこればかりではない。世界標準から著しく乖離した兵器に多額の国費が投じられ、自衛隊員は業務用の被服を自腹で購入しているほど。わが国防衛産業の「やりたい放題」を改めて告発する。

 富士重工は防衛省が62機を調達する予定だった戦闘ヘリAH-64Dアパッチ10機に減らされ(その後3機が追加発注された)、メーカーであるボーイング社に支払ったライセンス料やラインの構築費などの初期投資を回収できなくなったとして、国に約350億円の支払いを求めた訴訟を起こした。だが、東京地裁は2月28日、この請求を棄却した。 
 アパッチは機体調達だけでも5千億円以上、整備や近代化などを含めれば1兆前後のビジネスになったはずだった。ところが防衛省と富士重工はまともな契約を結んでいなかった。いわば「口約束」でこのような巨額の取引を行ったことなる。今回の請求棄却は、毛調達の契約が極めて不明確だったと裁判所が裏付けした形になる。
 
 アパッチの調達停止は陸自の見通しがあまりに粗雑で、予算が確保できなかったためだが、このような「口約束」で巨額の取引を決めるなど、民間では勿論諸外国の軍隊でもありえないデタラメさだ。常識的に考えれば上場企業の仕事のやり方ではない。
 だが、このような取引はアパッチだけではなく防衛省と防衛産業界では「当たり前」だった。だが、この一件以降、企業側にリスクが大きいとして、平成20年度以来初期投資に必要な費用は別途「初度費」として支払われるようになった。
 「日本の常識は世界の非常識」と喝破したのは評論家の竹村健一氏だが、「防衛省・防衛業界の常識は世間の非常識」なのだ。性能の怪しげな国産兵器が世界の相場の3~6倍以上で調達されている。無論これらの費用は我々の税金から支払われている。まさに税金を食い散らかしている状態なのだが、が、政治もマスメディアもあまり注意を払わないために放置されてきた。スキャンダルが起こるとその時々に話題になるが本質が議論されずこれまできた。

 防衛省も防衛産業も「常識」が欠如している。防衛装備は民間企業で言えば設備投資だ。諸外国では例えば戦車を何のために何輛、いつまでに、そして総額いくらで揃えるかという計画を議会に提出し、プロジェクトが許可される。ところが我が国の場合、数も、いつまでにそれを揃え、総額がいくらかも国会に提出さず(当然議論されず)、初年度の調達予算が決定される。これでは計画が無いに等しい。
しかも調達数は毎年変わる。調達数がゼロ、という年もある。これでは生産をする企業は、毎年の売上も、生産ラインを5年維持するか20年も維持するかもわからず、まともな生産計画を立てられない。にも関わらずメーカーは仕事を受注し、生産を行っているのだ。民間企業どころか、公共事業や諸外国の軍隊でもこんな胡乱な調達は行わない。
筆者はこのことをフジテレビの番組で森本敏元防衛大臣に質したが、氏は「装備調達は公共事業とは違う」と言い放った。換言すれば調達数も調達期限、総額も分からないが、それのどこが悪いのだと発言したのだ。
 安倍政権は武器禁輸緩和の推進に熱心だが、防衛産業のお寒い実態を知っているのだろうか。

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