世界の偵察・汎用軽4×4装甲車と軽装甲機動車
2007年に月刊軍事研究に寄稿した記事です。
ソ連が崩壊後、陸軍部隊の軽量化のトレンドとなり偵察、パトロール、連絡あるいは砲兵の前進観測なとと行った任務に4×4の軽装甲車が採用されるケースが増えてきた。これらの多く駆動系を新たに開発することなく、既存の製品を流用することで開発コストそれにともなうリスクおよび調達、保守コストを低減している。

この種の小型4×4装甲車の嚆矢は85年からフランス軍で配備が始まったパナールのVBL(Véhicule Blindé Léger)であろう。VBLは偵察、指揮通信、対戦車、無線中継など多用な派生型がフランス軍に配備されている。
また、ポルトガル、オマーン、クウェート、メキシコなど19カ国に輸出されて、2000輛以上が生産されているベストセラーである。乗員三名でホィールベースが2.45メートル、戦闘重量3.5トン程度とかなりコンパクトで、正に装甲ジープと表現するのが相応しい車輛である。
だが、さすがにこの小さな車体は使い勝手が悪く、ホィールベースを2.7メートルに延長したモデルが開発・配備されている。VBLは近年のフランスのアフガニスタン派遣部隊でも使用されているが、装甲及び耐地雷性能が十分では無く、フランス国防省は耐地雷を含めた増加装甲をパナール社に発注している。それも急場しのぎであり、フランス軍は代用の車輛の開発、配備を進めている。
VBL以降開発・配備された車体は90年代、PKOなどの教訓から装甲、特に耐地雷装甲などが強化され、より高い生存性が付加されている傾向にある。またサーマルイメージャーを搭載した監視装置、リモート・ウエポンシステム、ナビゲーションシステム、各種無線機類など搭載する機器は増加する傾向にある。このためこれらの装備をを収納するペイロードの余裕が見込まれて設計されていることが多い。このため車体は大型化する傾向にある。
今回は主として、既に実戦配備されている偵察、監視、観測などを任務とするこの種の車輛を紹介する。
パンサー
英国防省は英陸軍向けのFCLV(Future Command and Liaison Vehicle将来指揮連絡車輛)としてイベコのLMV(Light Multirole Vehicle軽汎用車輛)をパンサーの名で選択した。

LMVはイベコ社の軍用車輛部門がプライベートヴェンチャーとして開発したもので、正式名はM65E19WM(4×4)という。
駆動系にはハンヴィーのものを流用している。ハンヴィーは元来装甲化も想定した上で、冗長性を持たせた設計であり、量産されているのでコンポーネントも安い。
試作は2001年から行われ、10輛の試作車輛が製作された。車体の構造として特徴的なのは、シャーシの上に乗員用の非モノコック式のモジュラー型コンポーネントを据え付けていることである。これは車体下部を構成する四角いボックス状の構造物にロールバーを組み込んで、その上からモジュラー式のルーフ、フロントグラス、ドア車体下部の装甲版などを組み込んだものである。ロールバーが内蔵さているため、横転などに際して十分な強度を有している。
装甲版は通常5.56ミリから7.62ミリに耐えられるものが採用される(側面及びルーフは非装甲のコンポーネントも選べる)が、12.7ミリ或いは、14.5ミリ弾に耐えられる装甲も装着できる。もっともキャブ全体に重装甲を施すと機動力が低下するので、任務に応じて選択する必用があろう。更にドイツのIBE社の開発した増加装甲も装着が可能である。
底部の装甲は緩いV字型で、蝕雷時に爆風を逃す構造になっている。また装甲が複合材料をサンドウィッチしている。キャブ部分に装甲を集中しており、車体前部(エンジンルーム)や後部のカーゴスペースは非装甲である。地雷に関しては対人地雷に耐えられる。このあたりの設計にはコソボなどイタリア軍が参加したPKOからの戦訓が活かされているという。
燃料タンクは蝕雷時のダメージを最小限に抑えるため、キャブからできるだけ遠ざけるために、車体後部、カーゴスペースの下にレイアウトされている。
座席は前部が2名、後部が3名となっているが、5点式のシートベルトを採用し、衝突や蝕雷時の衝撃を和らげる設計となっている。
装甲以外にもエンジンルームから発熱を抑えたり、排気ガスの温度を下げるなど赤外線の発生を局限化し、生存性を高める工夫がなされている。車高も低く抑えられており、レーダー波の反射を抑えるようなデザインが採用され、更にレーダー波を吸収するコーティングが車体に施されている。またNBCシステムも標準装備となっている。

エンジンはイベコ社製のユーロ3対応のF1―C、4気筒ターボチャージャー付き190馬力ディーゼルエンジンを搭載している。トランスミッションは6速で、ブレーキはディスクブレーキで、タイアは325/85R16を使用、タイア圧調整装置も装備している。最大速度は時速130キロで、航続距離は500キロ、パワーレシオは28.46HP/Tとなっている。登坂力は最大60パーセントでこの時の限界速度は時速10キロである。渡渉深度は、通常は最大85センチであるが、シュノーケルを装着した型では最大、1.5メートルとなっている。
ペイロードは2.3トン、牽引力は通常2トン(最大4.2トン)となっている。空輸に関してはC-130で同時に2輛が搭載でき、空中投擲も可能である。またCH-47チヌークによる懸吊輸送が可能である。
FCLVは英陸軍の指揮連絡用の小型装甲車で、小隊、中隊レベルの指揮、バトルグール及び旅団レベルでの連絡、偵察、更に無線中継などを担当する小型装甲車である。
採用されたパンサーの内326輛は50口径機銃を装備したBAEシステムのリモートターレットSDW(Self-Defence Weapon station)がルーフに搭載されている、これは同社のSTAWS(Target Acquisition Weapon Sight)とラファール社が開発し、英AEI システムズ社がライセンス生産をするエンホーサーRCWS(Remote Controlled Weapon Station )を組み合わせたもので、BAEシステムズ傘下のセレックスS&AS社の非冷却式サーマルイメージャーを搭載している。また通信機としてはジェネラルダイナミックスUK社が開発したボーマン・システムを搭載している。残りの75輛は他のサーベランス&リモートウエポンシステムを搭載する予定である。
パンサーの主契約社はオルビス・ヴィカース(現BAEシステムズ)社で、イベコ社が車体を担当、SDWや通信機などの艤装をBAEシステムズ社が担当している。英陸軍は401輛のパンサーを発注、生産配備は06年配備が開始され09年まで生産される。契約は1億6千6百万ポンド(約332億円)である。英国防省は更に400輛程度の追加発注を検討している。
LMVはイタリア陸軍でもリンチェの名で採用されている。04年に60輛が納品され、モンテリベレッティ,の陸軍のテスト・センターに送られて各種のテストを行った後、特殊部隊、山岳部隊、空挺部隊などを含む実戦部隊に送られ部隊評価が行われた。これらの車輛の半分がレベル3の装甲型で、後の半分が非装甲型であった。装甲型の一部は現在アフガンに展開している部隊に配備されている。その後05年に陸軍は1150輛の発注を行っている。またイタリア海軍もサンマルコ海兵隊向けの評価として6輛を調達している。
その他ノルウェー陸軍も昨年25輛のMLVをオーダーしている。
MLVは通常のハードトップ型以外にも、特殊部隊用のソフト・トップ型、二名用のキャブで、NATO標準のパレット、5250シェルターを搭載できるトラック型も提案されている。
更にイベコはイタリア陸軍向けのLMVに火器の仰角が80度と極めて大きいリモート・ターレットSAPPHIRE(Search And Protect Panoramic Highly Integrated Remote Electric)を搭載したり、テレスコープ型の監視装置VISTARS(Vehicular Integrated Surveillance, Target Acquisition & Reconnaissance System)を搭載した偵察型を提案している。
RG-32M
RG-32Mはオルビス・ビッカースOMC(現BAEシステムズ・ランドシステムズOMC)が開発生産している。RG-32Mは同社(が吸収したTFM社の軍用車両部門)が、警察、準軍隊向けの軽4×4装甲車として90年代半ばに開発したRG-32(国連が多数平和維持活動用として採用)を発展させたものである。軍用に耐えられる高い防御力(特に耐地雷能力)が付加されている。乗員と装備を搭載し48時間のミッションが可能なことを前提にサイズとペイロードが決定されている。開発は90年代末から行われて、プロトタイプが01年に完成している。外見は同社のRG-32チャージャー(旧名ナエラ)を小型化したような外見となっている。例によって民生用のコンポーネントが多用されている。

乗員は5名で戦闘重量は当初5.1トンだったが、現在では7.5トンに増加している。車体後部のカーゴスペースをキャブとして使用した場合は更に増加する。より大型のRG-31はAPCとして使用されているが、より小型で小回りの利くRG-32Mは偵察、連絡など多様な任務に提案されている。
RG-32Mの車体は南ア耐地雷装甲車の常である装甲版を溶接したモノコック構造である。車体下部は蝕雷時の爆風を逃がすためにV字型となっている。このため車輪下でTNT6キロ相当の爆発、あるいはDM31地雷の爆発に耐えられる。V字型の耐地雷構造を有した装甲車は一般に車高が高くなるが、RG-32Mは全高を1.95メートルに納めている。
装甲は全周的に7.72×51ミリの通常弾に耐えられが、クライアントの要求によっては7.72×51ミリの徹甲弾に耐えられる装甲をチョイスすることも可能である。
座席は前部に二人、後部に3人並列となっており、後方席のルーフにはハッチが備えられている。キャブ後方は非装甲のカーゴ・スペースになっているが、これも装甲化することが可能である。後部のカーゴスペースを乗員席にすれば乗員が更に増やすことができる。
エンジンはシュタイアーのユーロIII、181馬力のM16TCAターボチャージャー付きディーゼルエンジンとアリソンの5速、S1000トランスミッションがパワーパック化されている。
エンジン周りも装甲化されているが、下部の耐地雷構造は有していない。タイアはミシュランの335/80 R20を使用している。最高速度は時速130キロで最大登坂力が60パーセント、グランドクリアランスは43センチ、航続距離は700キロとなっている。無論C-130等で空輸が可能である。RG-32のセールス・ポイントはこのクラスで、対戦車地雷に耐えられるというところだろう。
04年、スウェーデン国防省のFMVは同国陸軍向けに102輛のRG-32Mを一億八千万ラント(31億円)で発注した。最初のデリバリーは本年8月の予定となっている。これは南ア兵器産業界にとって過去最大の発注金額である。本年1月FMVは更に98輛のRG-32Mを追加発注した。
スウェーデン陸軍はRG-32Mをガルテンという名称で採用したが、車体後部までキャブを延長したモデルで、最大9名の搭乗が可能となっている。ペイロードは1.3トンである。また各種規格はスウェーデンに準じており、マイナス35度の低温環境においても行動できる。またフロントガラスには投石防止の開閉式のメッシュカバーが装備されている。フィンランドも昨年、6輛のRG-32Mを発注している。
イーグルシリーズ
90年代初頭スイス国防省は陸軍向けにモワーグ社に小型の偵察車輛の開発を依頼、95年にプロトタイプが完成した。これがレオパルド2を装備した装甲旅団の偵察車輛としてイーグルの名で採用され、156輛が1億5百万スイスフラン(84億円)で発注された。
イーグルはこれまた既に実績のあるAMジェネラル社のハンヴィーをベースに開発された。戦闘重量は5.1トンで、ペイロードは1.4トン。装甲はエンジンルームを含む全周的に30メートルの距離から7.62ミリ×50通常弾を防ぎ、また100メートルの距離からの7.62ミリ×50徹甲弾の射撃に耐えうるレベルが求められた。装甲には貫通した弾丸の跳弾を防ぐためにコンポジットの内張がなされいる。またフロントグラスは二分割されている。
乗員はキャブの前列が運転手と車長で車長席(右側)上部にはハッチが設けられている。
運転手にはナイトビジョンが装備されている。後部座席は無線手と、監視装置のオペレーター用席となっている。ルーフにはモワーグ社が開発した一人用キューポラ、MBK2が装備されている。MBK2はサーマルイメージャー(仰俯角+15~-12度)、7.62ミリ機銃(+20~-12度、通常携行弾薬数は400)、発煙筒発射器6基が装備されている。キャブの後部のカーゴ・スペースも装甲化されており、個人装備などを収容するが、かなりの容量がある。また後部大きく、上に開くタイプのハッチが装備されている。
また加圧式のNBC防護装備を標準装備として備えている。
エンジンはジェネラルモータース社の160馬力、タイプ6.5 1NAのディーゼルエンジンを採用、4速の4L80を採用している。
最高速度は時速125キロ、航続距離は450キロ、登坂力は60パーセントとなっている。タイアにはランフラット・タイアを採用しており、タイア圧調節装置も装備している。イーグルはデンマーク軍がPKO用として36輛を調達している。
イーグルII
98年にスイス国防省はイーグルを更にアップグレードしたイーグルIIの開発をモワーグ社に発注した。これは平和維持活動などの経験を反映させたもので、防御力と搭載量を向上せさたものである。戦闘重量が400キロ増えて、5.5トン、ぺーロードは200キロ増えて1.4トンとなっている。車体のサイズは変わらないが後部シートが変更されて、乗員数は4~5名と増えている。エンジン排気量は同じながら、馬力は160馬力から190馬力に強化されており、パワーレシオは31.3hp/tから34.5hp/tに向上している。このため不整地での走行性能は向上している。
フロントグラスの防弾ガラスもより厚くなっている。登坂力や航続距離は変わらずで、最高速度は時速119キロと若干落ちている。イーグルIIはスイス陸軍が175輛を調達している。
イーグルIII
2002年、スイス陸軍はM109自走榴弾砲を装備する砲兵隊のための前線観測用として、 イーグルIIをベースに開発された前方観測車、イーグルIII120輛を1億6千6百万スイスフラン(133億円)で発注した。イーグルIIIはハンビーECV IIのシャーシを採用、キャブの運転席以降のルーフが高くなり、この部分には前方及び左右に大型のい防弾ガラス製の観察用の窓が装備されており、良好な視界を確保している。これに伴い、後部座席の床は高くなっており、その床下はカーゴスペースに利用されている。
監視装置としてはマスト式のドイツ、STNアトラス・エレクトロニック(現ラインメタル・ディフェンスエレクトロニクス)社のBAAシステムが採用されている。これはドイツ・オランダ共同開発の偵察車輛フェネックにも搭載されている。これにより7キロほどの距離の観測が可能となっている。これがナビゲーションシステムやデジタルマップと統合された火器管制装置に送られ、リアルタイムで目標を砲兵部隊(大隊、中隊レベル)に転送することができる。乗員は4名で、戦闘重量は5.8トン、ぺーロードは700キロ、航続距離は400キロとなっており、耐地雷装甲のキットも用意されている。更にオプションでより強力な耐地雷装甲キットなども用意されている。
モワーグ社はイーグルI、IIの低いルーフで、MBK2を搭載した偵察型も提案にしているがこちらは採用されていない。戦闘重量は4.15トン、ペイロードは1.65トンで車高はIIより7センチ高くなって1.82メートルで、パワーレシオは24.8hp/tと落ちている。タイア圧調整装置、NBC防護装置などはオプションとなっている。全体のバランスとしては寧ろイーグルIIの方が良いだろう。
イーグルIV
モワーグ社は新たに更に大型のイーグルIVをプライベートベンチャーとして開発した。これはベースには同社が買収したデユーロ社の汎用4×4、ディユーロIIのシャーシを採用ている。現在デューロの生産は拡大されたモワーグ社のクラウツリンゲンの工場で生産されている。ディユーロIII(当初はデューロIIが使用される予定であった)はハンヴィーより大型であるのと、自社製品でこれを採用すれば経営効率も高くなる。
また非装甲型のデューロや装甲型のデューロを採用しているカスタマーには兵站が共用できるという利点もある。イーグルIVは戦闘重量7.6トンペイロード2.4トンとこれまでのイーグルシリーズを大きく凌駕している。乗員は4~5名である。装甲に関して詳細は発表されていないが、全周的に小火器に対する防御がなされているが、高い耐地雷防御力を備えている。またレベル3までの増加装甲、レベル2aまでの耐地雷用付加装甲がオプションで用意されている。

エンジンはカミンス社の5.9リッター245馬力の6気筒ディーゼルエンジンを搭載、トランスミッションはアリソン社の5速タイプ2500SPを採用している。最大速度は時速120キロ、登坂力は60パーセント、航続距離は480キロで、パワーレシオは33.0hp/tである。
イーグルIVのランチカスタマーはデンマーク軍である。デンマーク陸軍は現用のイーグルIの代替として05年に90輛を発注し、昨年11月から納入が始まり、今年中に納入が終了する予定となっている。
これらには通信機、バトルマネジメント・システムなどが搭載され、BAEシステム参加のボフォース社のリモート・ターレット、Lemurがルーフに装備される。デンマーク軍は昨年11月、外国での平和維持活動向けとしてデューロのIII P装甲野戦救急車26輛の購入を決定した。これはイーグルIVと併用することで兵站が軽減できる。
また現在ドイツ陸軍は戦闘重量が5.3~7.5トンの汎用GFF (Geschützte Fuhrungs-und Funktionsfahrzenge 、4 x 4軽装甲車)グループ 2の調達する。
その最終候補としてイーグルIVとRLS(ラインメタル・ランドシステム)とイベコ社がジョイントベンチャーを組んで提案しているLMV(カラカルという愛称が付けられている)が残っており、今年3月末までに最終決定がなされる予定である。なお、モワーグ社とKMW(クラウスマッファイ・ウェグマン)社は採用された場合にはKMWがライセンス生産とシステム統合を担当する方向で協議が進められているという。
グループ2は総調達数千~二千輛が計画されているが、初期調達数は八〇~一〇〇輛程度になる見込みである。
フェネック偵察車
フェネックは独蘭共同開発の偵察車輛であるが、元来オランダのSPエアロスペース・アンド・ヴィークルシステムズ社(98年にRDMテクノロジー社がSPエアロスペース・アンド・ヴィークルシステムズ社を買収、プロジェクトを引き継いだ)がプライベート・ベンチャーとして開発していたMPC(Multi Purpose Carrier)で、最初のプロトタイプは92年に完成している。軍用の軽4輪車輛と、軽量のAPCの間を埋めるカテゴリーの車輛 としてして開発された。

その後、MPCは独蘭共同開発の軽偵察車輛に選ばれ、ドイツ側のパートナーとしてKMWが選ばれた。96年にはSPエアロスペース・アンド・ヴィークルシステムズ社によてプロトタイプが完成し、KMWが偵察マストなどの装備類の艤装を担当した。
フェネックの車高はかなり低いような印象を受けるが、全高は1.7メートルなので他の同様の車輛と比べて低いわけではない。乗員席前方は三方に大きめの防弾ガラスの窓を採用しており、視界がよい。反面乗員室後部の左右の窓は小さく、その下に小さめのドアが備えられている。
これは車体の構造的な強度を上げるためであろう。車体はアルミニウム装甲の全溶接構造で、表面には防弾鋼板を貼り付けている。全体的に傾斜を用いたデザインとなっており、良好な被弾経始性を有している。防弾は7.62ミリ徹甲弾に耐えるレベルで、増加装甲の装着も可能である。対人地雷から乗員を保護する耐地雷構造も有している。
乗員は3名で、キャブ前方中央が運転手席となっており、ルーフには円形のハッチが存在する。後部が車長、偵察装置の操作員用となっている。右側ルーフにはペリスコープが装備されている。
また、GPSやデジタルマップなどのナビゲーションシステムが装備されている。車体中部には360度旋回可能な12.7(オランダ軍仕様)ミリ機銃ないし、7.62ミリ機銃、40ミリグレネードランチャー(ドイツ軍仕様)を搭載できるリモートターレット(仰俯角-10~+30度)が搭載されている。右側にはマスト式の監視装置が搭載されている。
これはSTNアトラス・エレクトロニック(現ラインメタル・ディフェンスエレクトロニクス)社のBAAシステムで、先端にサーマルイメージャー、レーザー測距儀、ビデオカメラを搭載している。マストは最大3.29メートルまで伸ばすことができ、仰俯角は-30~+30度となっており、監視レンジは7キロ(レーザー照射は10キロ)となっている。車内にはVHF及びHF通信機、インターコム、データ・トランスミッションなどがGPS搭載されており、リアルタイムで偵察したデータや映像を転送できる。その後ろがエンジン・ルームとなっている。
戦闘重量は10.2トンとこのクラスでは最も重い部類に入る。ペイロードは1.7トンで、装備を降ろせばもう2名を乗車させることがる。エンジンはドイツ社のBF-2013C 6気筒240馬力のターボチャージャー付きディーゼルエンジンで、トランスミッションは6速である。最高速度は時速112キロ、登坂力は60パーセント、パワーレシオ:30hp/t、航続距離は1000キロ(不整地460キロ)となっている。
NBC防護装置、ウインチ、エアコン、消火装置などがオプションとなっている。
01年に独蘭両国はメーカーとの間で合計612輛のフェネック調達契約を結び、03年から納入が行われている。
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