リメンバーFSX 戦闘機は空自の玩具ではない。
2009年の月刊諸君!の記事次期戦闘機商戦当時の話で、今読んでも空自の戦闘機選定の問題点や防衛産業の振興などについて示唆するところがあるかと思います。ぼくは今でもユーロファイターが最適解だったと思います。F-35は日本の航空産業に技術の移転もなく、維持コストがとんでもなく高い。だからユーロファイターの補完でF-35Bを2個飛行隊ほど入れればよかった。
戦闘機はアメリカ製ありきでいいのか
ブッシュ政権はイラクがアルカイダと連携している、大量破壊兵器を保有している、と主張して英国と共にイラクに侵攻した。だが、衆知のようにそのような事実は無かった。しかも戦後、速やかにイラクを平和的かつ政治的に安定させるという目論見もはずれ、膨大な戦費を費やし、財政赤字を拡大してきた。しかも昨年以来の経済危機以来、米国経済は悪化の一途を辿っている。
そんななか、バラク・オバマ氏が第44代合衆国大統領に就任した。オバマ大統領の喫緊かつ最大の課題は米国経済と米国政府の財政の立て直しであろう。「チェンジ」を合い言葉に戦ったオバマ大統領は国防方針に関する大きな見直す、特に国防費の大幅な削減は必至だろう。アメリカが依然世界唯一の超大国であることに変わりはないだろうが、その軍事的なプレゼンスが低下することは避けられまい。我が国もこれまでの国防の過剰な米国に盲目的に追従する、あるいは過度の依存を改める時期に来ている。
我が国の国防の基本方針は有事、即ち戦時に際しては、自衛隊は米軍が増援にくるまで持ちこたえれば宜しい、というものである。このような前提で長年防衛力が整備されてきた。だがそれは本国の増援を待つ植民地軍の発想ではないか。先の戦争時、我が国の侵攻に際して、ひたすら米本国から増援を当てにしていたフィリピン軍と大差はない。
本来独立国は自国だけで国防を全うするのが筋である。それが難しいから同盟を結ぶ。同盟国の助力は独自防衛を補完するものに過ぎない。少なくとも自の国は自分たちので守り抜くと意気込みは必要である。
ところが、我が国では防衛省のみならず、政治家、官僚、マスメディアに至るまで、戦争など起こりっこない、万が一戦争になっても米軍が「騎兵隊」宜しく助けにきてくれる、そのようなあなた任せの無責任かつ弛緩した空気が蔓延している。
故に自衛隊が事実上、軍事行動を起こせないような法的な不備が長年放置されてきた。国を守るために戦うと「犯罪者」になる。そのことを指摘した栗栖統幕議長は「シビリアン・コントール」に反したと解任された。その後、近年になってやっと有事法や国民保護法などが成立したが、未だ自衛隊の手足を縛る法律は多い。海自がインド洋で対海賊作戦に従事できないのもこのような規制の為である。
このような異常な環境は防衛省や自衛隊から国防の当事者意識を奪ってきた。かつての防衛庁は内閣の外局であり、防衛政策を策定する必要も無く、単なる自衛隊の管理者にすぎなかった。このため装備調達計画にしても、実際の戦争を想定しない単なる「買い物リスト」と化してきた。兵器はあくまで自衛隊が軍隊らしく見えるため道具に過ぎないのである。「いや、実際に戦争で戦う気がある」というならば、何故自衛隊の戦略燃料備蓄がゼロなのか。予備役、特に将校の予備役が殆ど存在しないのか。
このため自衛隊は米国、米軍の言うことを聞いていればいい、米軍の真似をしていれば間違いないという伝統ができあがってきた。おまけに制服までも米軍に酷似している。このような悪しき伝統こそが自主防衛の最大の敵であり、当事者意識の欠如の元凶となっている。そもそも、初めから他国を当てにし、自国を真面目に守る努力をしない国を同盟国が自国の若者を血を流してでも助けるだろうか。
ヘンリー・キッシンジャーは「大国は同盟国のために自殺はしない」と述べているが、例えば中国に「たかが尖閣諸島という小島」が占領された場合に、米国が中国との全面的な戦争のリスクを冒しても、憲法で戦争が出来ない我が国代わって戦争を起こして奪回してくれるだろうか。
特定に国に主要な兵器の供給を依存すると、その国に生命与奪件を握られることになる。だが、我が国では政界にしても官界にしても、米国製の兵器を買わないと、アメリカ様から叱られる、あるいはアメリカ様怒らせてしまうと決めつけている。まるでマインドコントロールを受けているかのようだ。しかも米国軍隊は外征型である。地球の裏側で、百万を超える自軍および同盟軍の兵站を支える力を持っている。これは他のどの国も真似はできない。我が国がそのような国の軍隊の真似をしても有用であるはずもない。
また歴代政府は米国からの防衛装備の調達を対米黒字減らしの方便とすら捉えていた。例えば世界中に展開する米海軍ですら200機強しか調達してこなかったP3Cオライオン哨戒機を、海自は100機以上も調達してきた。また本来空母部隊の防空用に開発された高価なイージス艦の導入も空母を持たない我が国に必要性があったどうか疑問である。
加えていえばソ連が存在していた時代、海自の護衛艦は長年対潜能力だけは異様に突出していた。これらは日本を守るためではなく、第7艦隊を守るためと批判されても仕方あるまい。海自、特に艦艇乗組員は慢性的に人員不足であり、現在の体制であればもあと2万人ほど人員が必要という声もOBから聞かれてくる。高価な米国製装備よりも人員を増やし、艦艇に充分な乗員を確保する方が戦力としては健全だいえるだろう。
米軍の猿真似が好きな自衛隊
陸自では米軍が採用した汎用車ハンヴィーに酷似した高機動車を採用したが、道の狭い都市部が多い我が国でこのような横幅の長い車輛が必要だったとは思えない。しかも米軍ではハンヴィーを陸海空海兵隊4軍の5車種の統合により兵站を簡素化、また量産による調達コストの削減というコンセプトのもと導入したが、自衛隊ではそのような車種の統合も行われなかった。単に米軍と同じようなものが欲しかったとしか思えない。
その中で航空自衛隊は三自衛隊の中でもカウンターパートたる米空軍に極めて忠実である。空自の導入した空中給油機KC767の空中給油システムは米空軍の採用しているフライングブーム方式のみを装備している。ところが海兵隊や海軍機はプローブ・アンド・ドローグ方式という別な方式を採用しているので、空自のKC767の給油は受けられない。空自は米海軍や海兵隊ですら「同盟軍」と見なしていないらしい。因みにKC767のランチ・カスタマーであるイタリア軍は両方の方式を併用している。
この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?
