世界の軍事見本市
2007年にPHPのVIOCEに寄稿した兵器見本市の記事です。記事に際して3割以上減らすまえの原稿に加筆しました。兵器見本市がどのようなものかよく分かると思います。
世界中で開催されている軍事見本市
自動車業界でモーターショーが行われるのと同様に軍事の世界ではその軍事版というとべき兵器見本市が存在する。ニュースでよく報道されるパリや英国のファンボローの航空ショーも主役は軍用機であり、実質的にこれらも兵器見本市であると言える。
90年代 以降、世界でこの種の兵器見本市、或いはディフェンスショーの開催が増えている。それは戦後、冷戦構造の下、東側と西側の陣営に分かれて兵器のマーケットがソ連崩壊に伴って統合され、単一のマーケットになったことが大きい。かつてはこれらのショーに出展してたのは西側先進国及びその同盟国が主だったが、現在ではロシアをはじめ旧ソ連、及びワルシャワ条約加盟国、更にはアジアをはじめとした新興工業国からも多数の出展がある。
これらのショーには世界中の軍需関連企業が出展し、商談、また新製品を発表する場として活用している。軍事技術最新動向やトレンドを窺う格好の機会となっている。わけである。これらのショーにはユーザー、買い手たる各国の国防省や軍隊、警察、情報機関などがデリゲーション(視察団)を送りこんでくる。デリゲーションは単に最新兵器の視察をするだけではなく、ホスト国やその他の国々のカウンター・パートとの情報交換や信頼熟成を行うことも目的としている。またコンファレンスなども併設されたり、ショーがはけた後も、夜は主催者や大使館などのパーティ等開かれるので、この種のショーは軍人達の外交の場としても機能している。
その一つが、隔年でアラブ首長国連邦の首都アブダビにおいて開催されているIDEX(International Defence Exhibition)である。兵器の一大市場である中東最大のショーで、世界有数の規模を誇っている。今年は2月18日から22日の5日間にわたって開催され、世界約50カ国から862の出展があり、過去最大の規模となった。規模の拡大の理由は第一に、石油や天然ガスなど天然資源価格の高騰により、産出国が国防予算を増やす余裕が生まれたこと、第二にイラクやアフガンを中心とする「テロとの戦い」で欧米を中心に対テロやIED(即製爆弾)、市街戦用の装備など対テロ戦用の装備が大量に必要となったことが挙げられる。

何故アブダビでこのようなショーが開催されるかといえば、UAEはアラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール、サウジアラビアなど、湾岸産油国が加盟するGCC(湾岸協力会議)の有力メンバーで、インフラが整っており、大人数の参加者を収容するホテルも存在など、大規模な国際見本市を開催する条件が整っているからである。もう一つのGCCの有力国であるサウジアラビアは事実上鎖国状態であり、このような国際見本市を開催できない。因みに同じUAEの有力首長国であるドバイではIDEXと交代で隔年で航空ショーが開催されている。またUAEは、ペルシャ湾の出口に所在する戦略的要衝であり、またインド洋の面した西アジアやアフリカにもアクセスがよく、インド洋の交易の中継点として機能している。このため近隣諸国からの参加者も多い。
戦後中東は産油国が原油の輸出によって得た潤沢な外貨で近代兵器を買い漁ってきたため、世界有数の兵器マーケットとなってきたのである。また産油国の大半は工業的基盤が無いに等しい。このため当然購入した兵器の整備、訓練を自前で行ないので、メーカーとしては売った後の訓練、アフターサービスや消耗品の供給で延々と儲けられるので、中東は魅力的なマーケットなのである。
難しいアラブとの取引
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