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MRJと日本の防衛産業の問題点


 2007年に月刊「諸君!」に書いたMRJの事業化が難しいという記事です。掲載ページに制限があったので縮めましたが、これがそれ以前のロングバージョンです。これまた「予言の書」、となりました。当時はテクノナショナリズム大好きな軍オタから袋叩きにあいましたが、どちらが正しかったは今更いうまでもないでしょう。

 日本に旅客機開発の当事者能力やありや?

 航空防衛産業に国家ビジョン無し。 官庁の縦割りが航空行政を歪めている。国家に防衛航空宇宙産業を育成していくグランドデザインがない。 

 三菱重工はリージョナルジェット市場に参入すべく70~90人乗りのMRJ(三菱リージョナルジェット)の開発を進めている。国内ではYS-11以来の国産旅客機としてメディアでも取り上げられ話題になった。

 MRJは平成15年にNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の環境負荷の低い小型旅客機の研究開発及び試作をおこなうというプロジェクト、「環境適応型高性能小型航空機研究開発」に応募し、同機構の助成事業に選ばれたものである。機体は複合材料を多用して機体を軽量化、また新型の効率的なエンジンを搭載するなどして、他社製品より2割ほど高い燃費、広いキャビンを売り物にしている。

 08年から本格的な開発を行い、12年には就航させる予定となっている。開発費用1200億円、事業化には7000億円がかかるといわれる一大プロジェクトである。

 6月に行われた第47回パリ航空ショーではMRJの胴体モックアップが公開され、また既に約1200億円とされている開発資金の経産省は内、400億円を提供することを決定している。

 航空産業は先端技術の塊であり、単に航空機メーカーだけではなく、各種コンポーネントから素材産業まで経済的、および雇用の幅広い波及効果がある。また航空技術の基礎研究は軍用機にも応用できるので、その成果は軍用機=自衛隊の機体の開発にも応用できる。

 現在我が国の航空産業は防衛省の需要と、民間分野ではボーイングやエアバス、エンブラエル、ボンバルディアなど航空機メーカー大手がその売り上げの柱となっている。

 しかし防衛費は先細りが予想され、下請け仕事だけでは将来的に高い技術を維持できる保障はない。また元請け企業の都合に引っ張り回される可能性もある。また自動車は我が国の工業の牽引役ではあるが、既に国内市場は飽和しておりこの先大きな成長を見込むのは困難であろう。航空産業を新たな分野として育成すべきである。

 筆者は政府が航空産業に投資をすることに反対しているわけでない。むしろ航空宇宙産業の育成を強力に推進し、自動車、造船、工作機械などと並ぶような我が国の基幹産業にまで育成すべきだと思っている。
 国産旅客機が事業として軌道に乗れば、国家レベルで極めて大きなメリットがある。そのためにはこう的資金の投入も必要不可欠である。

 だが、筆者にはMRJのプロジェクトは途中で挫折、経産省が投資する資金は死に金になると悲観的な予想している。

 まず第一に、当の三菱重工にプロジェクトを何が何でも成功させるといった気位が感じられない。第二にのような巨大プロジェクトには三菱のみならず他のメーカーの協力が必要だが、そのようなコンセンサスが業界にない。第三に経産省および国家に航空産業育成のグランドデザインが欠如しており、防衛省、国交省、財務省など関係省庁の間に充分なコンセンサスが出来ていないからである。

 三菱重工のやる気を推し量れるエピソードを紹介しよう。
 先のパリ航空ショーにおいて三菱重工がスポンサーとなって日本大使公邸を借りてMRJのプロモーションのためのレセプションを行った。ところが参加者約300名の内日本の業界関係者が約250名、フランス人が30名、その他二〇名ほどがスウェーデン人などであった。

 パリ航空ショーは英国のファンボロウ航空ショーと並び、世界中の航空業界関係者が集まる航空業界最大のイベントである。レセプションを開くのであれば、プロモーションのために潜在的顧客である各国のエアライン、プロジェクトに投資をしてくれそうな投資会社や銀行、リース会社(旅客機はリースで運用されることが多い)メディア特に航空専門誌などの関係者を招待すべきだろう。
 そうすれば招待客から意見交換や要望をくみ上げることもできたろう。在仏日本大使館によると外国人の参加者を絞ったのは大使公邸のキャパシティの問題であるとことだったが、ならば初めからホテルの宴会場を借りればいいだけの話である。
 千載一遇のチャンスに、わざわざレセプションを開いておいて日本人同士で飲み食いしているようではやる気を疑われても仕方あるまい。

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