英海兵隊旅団司令部訪問記
2017年に取材し2018年コンバットマガジンに寄稿した英海兵隊旅団司令部の取材記事です。
英海兵隊は370年の歴史を持つ世界最古の海兵隊である。英海兵隊はSASやSBSなど英軍の特殊部隊出身者の6割を輩出するエリート部隊である。このため特殊部隊隊員も多くが海兵隊で訓練を行うこともあり部隊のセキュリティは大変厳しく取材も制限されている。筆者は6年前日本人ジャーナリストとして初めて英海兵隊訓練センターを訪問し、今回、プリマスに所在する英海兵隊第3コマンドウのストーンハウス旅団司令部及び各部隊に同様に日本人ジャーナリストとして初めて取材を許された。

英海兵隊は単なる水陸両用部隊ではない。その任務は原潜基地警備や北海油田の警備、ノルウェー駐留、英海軍艦艇に同乗しての艦艇防御や、臨検、山岳戦、コンバットレスキュー、他国との信頼熟成のための支援、など多様であり、熱帯から極寒地帯での戦闘能力も有している。地上戦闘部隊として将兵の質も高い。このためアフガニスタンでも英軍地上部隊の主力として戦った。なお臨検はレベル1~4まで通常の艦艇に乗り組む海兵隊、レベル5以上がSBSの担当となる。中核となるは第40、第42、45コマンドウはそれぞれ兵力が360名ほどの大隊規模の部隊で各6個の中隊を擁している。43コマンドウは兵員約550名で、海軍の艦艇に同乗しての警備や、原潜基地警備などを担当しており寒冷地戦闘、近接戦闘、ヘリや艦艇からの狙撃などのエキスパートを養成している。
今回は第3コマンドウ旅団副司令、トニー・デ=レヤー大佐以下、参謀長、最先任曹長、各部隊長などからレクチャーを受け、部隊を見学した。当日はまず部隊全体の説明と将来コンセプト、ついで旅団司令部の指揮通信システムに関してのレクチャーを受けた。
英海兵隊は12日で北欧、トルコ、アイスランド、北アフリカに遠征が可能で、同様に15日でグリーランド、北米東部、アンゴラ、中東などへの遠征が可能、40日で北米西部、南米、オーストラリア、極東への展開が可能である。
現代の英海兵隊の戦術
説明によれば英海兵隊では既に第二次大戦型の大規模な敵前上陸は想定していない。それはドローンの発達なども含めて防御側のISR能力が向上し、また誘導兵器の長射程化、携行化が進んでいるために旧来の敵前上陸では損害が大きすぎるからだ。これはある意味先の大戦で編成されたコマンドウの原点に戻るとも言えるといえる。なおコマンドウとはボーア戦争で活躍した騎乗した少人数による襲撃部隊のことで、先の大戦時にチャーチル首相が新たに編成された襲撃部隊にこの名前を与え、それを引き継いている。
第3コマンドウ旅団の総兵力は現在4489名で、海兵隊員3427名、英海軍の327名、陸軍904名、英空軍8名となっている。なお海兵隊の砲兵連隊・工兵連隊(大隊規模)は陸軍の部隊である。

英軍の上陸作戦部隊は沿岸攻撃群(Littoral Strike Group:LSG)と称されており、上陸作戦は水陸両用任務部隊司令部(COMATG:Commander Amphibious Task Group)が担当する。COMATGは航空、水上、潜水戦力、水陸両用部隊を統合運用し、海上及び上陸作戦を統制する。COMATGは第3コマンドウ旅団司令部に隣接して設けられて恒久的に統合作戦に備えている。スタッフは英陸海空軍海兵隊の他、オランダ、オーストラリア軍からも参加している。


LSGは空母(クィーンエリザベス及び、プリンス・オブ・ウェールズ)を中核とした部隊で、F-35Bによって部隊のエアカバーや対地攻撃も独自に行える。揚陸艦艇などからなる2個の沿岸攻撃部隊(Littoral Strike Unit)を有している。英海軍と海兵隊は沿岸から30乖離に留りLSUの出撃拠点となる。揚陸作戦は原則夜間に行われる。1個中隊規模のコマンドウ・グループ1個が小型舟艇、ホバークラフトなどの舟艇によって上陸、もう一個のコマンドウ・グループが最大起点から110海里まで奥地なで海軍のマーリンMk3や陸軍のHC.Mk6チヌークなどのヘリコプターによる機動が可能である。つまり作戦は2個コマンドウ・グループが基本とっており、作戦実施は最大シーステート4まで可能とされている。また上陸後は海上からの支援を受けて最大28日の作戦継続に耐えられるとされている。

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