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FT合成燃料こそが大本命 軍隊から始まる燃料革命 

2008年に月刊VOICEに寄稿した、合成燃料の話です。

 イラク戦争を期に急騰が始まった原油は一バーレル150ドル台に達し、世界各地ではバイオ・エタノールや燃料電池など様々な代用燃料の開発が進められている。

 筆者は航空機や自動車の燃料としては主として石炭や天然ガスからFT(フィシャー&トロピッシュ法)、あるいはGTL(ガス・トウ・リキッド)によって合成された燃料こそがその本命と考えている。FT燃料の歴史は古く、実績もあるのだが、我が国ではさほど注目されていない。そのFT燃料の可能性をここで論じてみたい。

 一昨年前から米国防総省と米空軍は石炭由来のFT燃料を実用化するための実験をB-52爆撃機を使用して行い、昨年からは実際にC-17輸送機など大型機で従来から使用しているケロシンの一種JP-8と、FT合成燃料を半々にブレンドして使用している。

 技術的には100パーセントFT燃料に切り替えても問題はない。近い将来、空軍のほぼ全ての航空機がFT燃料を使用することになる。海軍、海兵隊、陸軍もこれに追従するだろう。

 米国防総省がFT燃料を導入した動機はいくつかある。第一に燃料費の高騰である。米連邦政府の燃料関連支出の内九割が国防総省が占めている。特に空軍の燃料消費は突出しており、〇六年度は六六億ドルで〇五年から実に三二パーセントも高騰している。現在米軍はイラク及びアフガンでの作戦行動を行っており、このため燃料の消費も増えている。一般に航空機のパイロットの技量は飛行時間に比例する。燃料費削減のために訓練を減らせばパイロットの技量の低下、即ち戦力の低下を意味する。

 経産省の専門家によるとFT合成燃料は石油が一バーレル八〇ドル程度であれば充分石油由来燃料に競合できるという。つまり今のままの原油価格が続くのであればFT燃料の導入により大幅な燃料費の削減が可能ということになる。

 第二に安全保障上の問題である。米国も原油の供給の多くを政情が不安定な中東に依存している。つまり石油以外の原料を燃料とすることで燃料の安定供給を図ろうという意図がある。石炭や天然ガスは石油に比べ、世界中に遙かに偏り無く存在している。無論米国内にも多くのガス田、炭田が存在する。米国の大規模ガス田は枯渇しつつあるが、中小の天然ガス田が無数に存在する。天然ガスを輸出する場合大規模な低温液化設備が必要であり、大規模ガス田でないとペイしない。このため輸出に向かない中小のガス田をFT燃料の製造に利用すし、有効活用する意義は大きい。

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