kintoneプラグインの更新チェックを自動化するChrome拡張機能を作ってみました
kintoneのプラグインは、一度アップロードすればそのまま動き続けてくれます。とても手軽で助かるんですが、ここにひとつ落とし穴があります。
kintoneのプラグインは、自動更新されません。
開発側が不具合を直しても、新しい機能を足しても、管理者が自分で上書きアップロードするまでは、古い版がずっと使われ続けます。しかも従来、更新のお知らせが出るのは各プラグインの設定画面のサイドバーだけ。一度設定を終えたプラグインの設定画面なんて、トラブルでも起きない限り開きませんよね。
つまり「更新が出たこと自体に気づけない」状態が、構造的に発生してしまう。これ、実はけっこう怖い話です。
そんなわけで、kintoneを開くだけで更新に気づけて、そのまま最新版の入手まで一直線に進める仕組みを作ってみました。Chrome拡張機能「KW Plugin Updater for kintone」です。
先にはっきりさせておくと、照合の対象はKIZUNA Worksのプラグインのみです。他社製のプラグインは最新版の情報を取得する手段がないため、対象外になります。「入れているプラグイン全部の更新をチェックしてくれるツール」ではないので、そこだけご了承ください。
今回は、作った背景と実際の使い勝手をまとめてみます。
更新に気づけない、4つの壁
プラグインの更新管理がなかなか進まないのは、管理者のズボラさが原因ではありません。仕組みの側に、越えにくい壁が4つあるからです。
ひとつめは、告知に気づけないこと。更新のお知らせが表示されるのは、そのプラグインの設定画面だけ。設定が終わったプラグインの画面を定期的に開く人は、まずいません。不具合修正版が出ていても、知る手段が実質ないわけです。
ふたつめは、どれが古いのか分からないこと。導入するプラグインの数が増えてくるほど、「うちの環境に入っているもののうち、どれが最新でどれが古いのか」の把握が難しくなります。全部のバージョンを一つずつ確認するのは、正直しんどい作業です。
みっつめは、最新版を探す手間。いざ更新しようと決めても、サイトを開いて該当の製品ページを辿り、配布ZIPを探して落としてくる、という工程が挟まります。この「探す」の部分が地味に重い。
よっつめは、更新作業の場所と情報が離れていること。実際に上書きアップロードするのはkintoneのプラグイン管理画面ですが、その画面には「新しいバージョンがあります」という表示は標準では出ません。作業する場所と、判断に必要な情報がバラバラなんですね。
これ、実は自分でも踏み抜きました。自分で作ったプラグインなのに、別環境では古い版のまま数か月気づかずに使っていたことがあって。「あれ、このバグ直したはずなのに……あ、こっちの環境を更新してないわ」と、自分で自分にツッコミを入れることになりました。
作った側でこれなら、使う側はもっと気づけないはずです。
kintoneを開くだけで、更新件数がバッジに出る
そこで最初に考えたのが、「わざわざ確認しに行かなくても、普段の作業のついでに目に入る」形です。
拡張機能を入れた状態でkintoneを開くと、導入済みのKIZUNA Worksプラグインの版を自動で照合します。更新できるものがあれば、ツールバーのアイコンにその件数がバッジで表示されます。0件のときはバッジが消えるので、何も出ていなければ全部最新、と判断できます。
バッジが出ているアイコンをクリックすると、ポップアップが開きます。ここには古い版のままのプラグインだけが並び、「1.0.1 → 1.0.2」のように、現在の版と最新版が並べて表示されます。どれがどこまで古いのかが一目で分かる形です。
さらに、何日前から古いままなのかも添えて表示するようにしました。「3日前」ならまだいいとして、「120日前」と出たら、さすがに手を動かそうという気持ちになりますよね。
そして各行には、最新版ZIPをそのままダウンロードできるボタンを置いています。製品ページを辿って探す工程が丸ごと不要になるので、「探す手間」の壁はここで消えます。

気づくところから最新版を手に入れるところまでを、数クリックに畳んだ形です。
プラグイン管理画面にも「更新あり」の印
ZIPを手に入れたら、次はkintoneのプラグイン管理画面で上書きアップロードです。
ただ、ここで「さっき落としたZIPって、どのプラグインのやつだっけ」と迷子になりがち。なので、実際に作業するその画面にも印を出すようにしました。
拡張機能を入れていると、プラグイン管理画面の一覧で、古い版のままになっている行に緑のバッジが差し込まれます。表示されるのは「更新あり → 更新後のバージョン」。作業する画面そのものに判断材料があるので、探し直す必要がありません。
そして、上書きアップロードを行うとバージョン表記の変化を検知して、自動で再チェックが走ります。更新が済んだ行のバッジは、そのまま消えます。手動でリロードしたり、チェックし直したりする必要はありません。

「作業する場所」と「必要な情報」を一致させる。地味ですが、ここがいちばん効くところだと思っています。
通知はしつこくしない
更新を知らせるツールで一番嫌われるのは、たぶん「通知がうるさい」ことです。ここは慎重に設計しました。
デスクトップ通知は、環境ごとに1日1回までに制限しています。同じ話を何度も出されると、人はその通知自体を無視するようになるので、意図的に上限を設けました。
デスクトップ通知ではなく、kintoneの画面内にバナーを出す方式も選べます。ただしこちらは既定でオフにしてあります。通知そのものを止めることもできるので、「バッジだけ見えていればいい」という運用も可能です。
気づいてほしいけれど、邪魔はしたくない。そのあたりのバランスを探った結果の仕様です。
おすすめ・新着タブ — まだ入れていないものに気づく
ポップアップは3つのタブに分かれていて、更新タブのほかに「おすすめ」と「新着」を用意しました。
おすすめタブには、まだ導入していないプラグインが並びます。並べ方は、導入済みのプラグインとカテゴリが重なるものを優先し、インストール数の多い順。すでに使っている領域と近いものから提示する形です。
新着タブには、直近30日に公開された未導入のプラグインを、新しい順に表示します。ここも通知と同じ考え方で、前回見たときより後に公開されたものがあるときだけ、タブに小さな印が付きます。何もなければ静かなままです。


更新作業のついでに「あ、こういうのもあるのか」と気づいてもらえたら、くらいの温度感です。興味がなければタブを開かなければいいだけなので、そこは気楽に構えてもらえればと思います。
プラグインの一覧は外部に送信しない
ここまで読んで、「拡張機能を入れるということは、うちの環境の情報が向こうに筒抜けになるのでは」と思った方もいるはずです。むしろ、そう思わないほうが危ういくらいです。
「どの環境に何が入っているか」は、扱いに注意すべき情報です。なので、何を送らないかをはっきりさせておきます。
送信も収集もしないものは、導入済みプラグインの一覧、kintoneのレコード値、ユーザーの個人情報や認証情報、ドメイン名、Cookieや閲覧履歴といったトラッキング情報です。
端末内だけで処理するのは、導入済みプラグインのIDとバージョン。照合の結果はchrome.storageに保存されます。通知方法やタブの表示可否といった設定も同様です。
外部との通信は、公開している静的ファイル2点の取得のみ。最新版一覧のversions.jsonと、製品カタログのcatalog.jsonです。いずれも取得(GET)のみで、こちらから情報を送る経路はありません。
照合はあくまで端末内で行い、そこに必要な「正解データ」だけを外から取ってくる、という構造です。
使い方は5ステップ
使い方はシンプルです。
Chromeウェブストアから「KW Plugin Updater for kintone」をインストール
あとは普段どおりkintoneを開く。導入済みプラグインの版が自動で照合され、更新できる件数がツールバーのバッジに出ます
アイコンをクリックすると、古い版のままのプラグインが「現在の版 → 最新版」の形で一覧表示されます
「最新版をダウンロード」を押してZIPを取得
kintoneのプラグイン管理画面で上書きアップロード。該当行のバッジが自動で消えれば完了です
インストール後にやることは、実質「普段どおりkintoneを使う」だけです。
使う前に知っておいてほしいこと
万能ではないので、前提もはっきり書いておきます。
冒頭で触れたとおり、照合の対象はKIZUNA Worksのプラグインのみです。そのうえで、動作面の制約もいくつかあります。
照合を行うのは、kintoneのページを開いたときです。同じ環境については30分に1回、プラグイン管理画面では毎回チェックします。ブラウザを開いただけで裏で巡回するような動きはしません。
表示するのは、直近に開いた1つのkintone環境の結果です。複数環境を使っている場合、最後に開いた環境の結果に置き換わります。
動作環境はGoogle Chromeの最新版(Manifest V3対応版)。Microsoft Edge、Brave、Arcなどのchromiumベースのブラウザでも動作します。対応サービスはkintone(*.cybozu.com / *.kintone.com)で、ゲストスペースにも対応しています。
なお、プラグインを上書きアップロードできるのはkintoneのシステム管理者です。権限がない場合は、更新が必要なことを管理者に共有するところまでが実務上のゴールになります。
まとめ
プラグインは、導入した日がゴールではありません。
kintone本体は定期的にアップデートされていきますし、プラグイン側も不具合修正や機能追加を重ねていきます。導入して終わりにしてしまうと、その進化から取り残された版を使い続けることになります。
古いまま放置するリスクは、単に「新機能が使えない」だけではありません。修正済みの不具合を抱えたまま業務を回し続けることになるからです。しかも、それに気づく手段が今までなかった。ここがいちばん問題だったと思っています。
更新し続けて、はじめて効果が続く。当たり前の話なんですが、その当たり前を成立させるには、気づける仕組みが要ります。
今回作った「KW Plugin Updater for kintone」は、管理者の見えない負担を減らすための裏方ツールです。更新作業が「アイコンを見るだけ」から始められるようになれば、後回しにされる確率はぐっと下がるはずです。
「そういえば、最後にプラグインを更新したのっていつだっけ」と一瞬でも思った方は、一度試してみてください。
最後に
「KW Plugin Updater for kintone」は、Chromeウェブストアで公開しています。KIZUNA Worksのプラグインをひとつでもお使いの方は、下記のページから詳細を確認してみてください。更新のたびに探し回る手間は、そろそろ手放してしまいましょう。
👉 KW Plugin Updater for kintone の詳細・インストールはこちら
なお本拡張機能はKIZUNA Worksが独自に開発・提供するものであり、サイボウズ株式会社が提供・保証するものではありません。
※kintoneはサイボウズ株式会社の登録商標です。
